INTERVIEW
NoisyCell
2016.10.17UPDATE
2016年10月号掲載
Member:Ryosuke(Vo/Gt) Ryo(Gt/Scream/Prog) Kiara(Ba) Tatsuya(Dr)
Interviewer:山口 智男
-日本語詞になった途端、メロディや譜割の感じがいきなり変わってしまったら、それはそれでどうかと思いますしね。
Ryosuke:そうなんですよ。やっぱ、メロディを殺さないような言葉選びをしていかきゃいけないし、だからと言ってそれだけになっちゃうとかっこつけた言葉ばかりになってまったく意味が伝わらなかったり誠意が感じられなくなったりするので、そのバランスが難しかったですね。あと、言葉のパズルのような感覚でも作ってました。例えば、"「ア」って言うのと「イ」って言うのでは、言葉の強さが違うから、ここは「ア」は使えない"とか。
-「Lily」のBメロのメロディ展開が結構J-POPっぽい感じに聞こえたんですけど、そこは意識しているんでしょうか?
Ryo:意識しました。さっき言った「Mirror」、「Halo of the Moment」の順番で作って、その次に作るのは"リードになる曲を"ということで、リード曲の条件をいろいろ考えたんです。そしたら、やっぱり"J-POP"というキーワードはあって、改めてBUMP OF CHICKENとか、RADWIMPSとか、昔から好きだったASIAN KUNG-FU GENERATIONとか聴いてみたんですよ。だから、この曲が日本語詞になるのは必然だったのかもしれないです。
Ryosuke:Bメロはヤバいですよ。あそこが聴きどころですね、俺的には。
Ryo:ただ、そういうアプローチをしながらも、俺らのラウドな感じは殺したくなかったんです。そこでやりすぎちゃうと、ただのJ-POPになっちゃうので。J-POPの要素とPay money To my PainやNICKELBACKとか、そういうラウドなガシッとした要素もミックスしつつ作りました。
-そういったキャッチーな試みをしている一方で、そうじゃない試みもしていると思うんです。例えば、個人的にすごくいいなと感じながらちょっと意外だったのがTrack.4「Black Smoke」。この曲はかなり攻めていますよね?
Ryo:だいぶ攻めましたね。最初に作ったワンコーラスはもともとラウドロック調で、"オイ! オイ!"って掛け合いをするようなマッチョな曲だったんですけど、その中のオルガンのフレーズが印象的だったので、PABLOさんと"これパンチが効いてるから振り切った方がいいかもね"ってことになりました。前作で言うと、ファミコンの音がかなり入っている「CONTINUE?」っていう曲があって、それも最初ギターで作ってたんですけど、もっと振り切ろうってことになってファミコンの音を加えたんです。それと同じようなことを今回、「Black Smoke」でやってみたんです。
Ryosuke:今回の振り切り曲です。
Ryo:なおかつ渋い曲でもあるから、おじさんキラー的な曲になるといいかなって(笑)。前作でも「Pool of Water」は"おじさんが好きそうな感じにしようぜ"って作ってたんで、そういう曲が毎回あってもいいのかなと。
Ryosuke:"渋すぎない?"ってなったもんね。
Ryo:"ちょっとヤバいんじゃないかな"って言ってたんですけど、そういう曲をやっている人がいないってところもポイントで。ラウドとかそういうの関係なくやっちゃおうぜっていう思いがありましたね。
-そしてもう1曲、インダストリアル風というか、ゴシック風というか。Track.5「do{Parade;}」のような曲は前からやっていたんですか?
Ryo:近い曲はやってましたね。そういう雰囲気のある重たい曲も好きなんですよ。今回、作りながら"世界観のある重い曲が欲しいね"って言ってて、最後に作った曲なんです。重さ的には前作の「Last Theater」が近いのかな。ああいうダークな世界観って、もともと持っているんだから出した方がいいと思って。ライヴでは「Last Theater」の前にやるインストの曲があるんですけど、その続きという気持ちで作ってみました。
-エレピのフレーズがちょっとジャズっぽいというか、映画のサントラっぽくもありますね。
Ryo:"「ファイナルファンタジー」で使用されたら気持ちいい曲"というコンセプトで、湧き上がるものをただただ形にしていっただけなんです。
Ryosuke:もともとは、歌も通しで入ってたんですよ。
Ryo:Aメロがあったんですけど、Ryosukeが"サビにだけ歌詞が乗っている方がいい"って提案してくれて。それも振り切るじゃないですけど、やっちゃった方がいいってことで、こういう形になりました。
-これからライヴで新曲を演奏していくわけですが、手数が多いうえにリズム・パターンも激しく変わるし、Tatsuyaさんはかなり大変そうですね?
Tatsuya:もともとNoisyCellの曲は好きだし今回の曲もかっこいいと思うので、その熱量だけで大丈夫だと思います。
Ryo:初めてスタジオに入ったときは緊張してガッチガチだったんですけど、向上心の塊なので今はもう適応しています。練習量はたぶんハンパないんじゃないかな。
Ryosuke:呑み込みがものすごく早い。
Kiara:ベースも難しいんですよ。今回の曲はキャッチーなんですけど、だからって簡単なわけじゃない。11月5日に渋谷GARRET udagawaで開催するワンマン(※"NoisyCell presents 「Colors」Release One-man Live")までに、これまでの曲も含め、曲に対する理解を深めなきゃと思ってます。
Ryo:これまでサポートしてくれた人たちがすごすぎましたからね。最初の『Your Hands』(2014年リリースの1stミニ・アルバム)はT$UYO$HIさん(Pay money To my Pain / The BONEZ)、『Sources』はATSUSHIさん(ENDER / ex-GUN DOG)に弾いてもらって。
Kiara:それがプレッシャーなんですよ。
Ryo:でも、そこは若さとやる気でカバーしてくれればいいかな。
Kiara:そうですね。プレッシャーが逆にやる気にもなるんで。
-今回、バンド・サウンド的にはどんなアプローチを?
Ryo:それも結構変わりましたね。『Sources』まではトラックをどんどん重ねていく作り方だったんですよ。すごい数の音が鳴ってて煌びやかな感じだったんですけど、今回はギターの本数も同期の数も減らしていこうって考えが前提にあったので、プレイもシンプルになっていると思います。ライヴを意識しながら作ったからということもあるんですけど、ギターも2本で演奏することを前提にしていました。それぐらい削ぎ落として、よりシンプルなものにしていった方が聴いたときに、ガーンと来ると思ったんですよ。歌も同様に、レコーディングの段階ではコーラスも3声、場合によっては4声重ねたんですけど、レコーディングしながらRyosukeの歌の説得力が上がっていることがわかって、それならコーラスもそんなに入れない方が伝わるんじゃないかと。だから、せっかく録ったコーラスもミックスの段階でほとんどカットしたんですよ。それぐらい今回はシンプルに突き詰めていきました。