INTERVIEW
MUCC
2016.06.09UPDATE
2016年06月号掲載
Member:逹瑯(Vo) ミヤ(Gt)
Interviewer:KAORU
-逹瑯さんはどのようなことを意識しましたか?
逹瑯:曲のテーマに"孤独"みたいなものを詰め込むイメージを受けたので、そういう歌詞をつけて、自然とこうなりましたね。そこからギターのテーマに橋渡しをするような歌い方というイメージです。
-そしてこの曲は、L'Arc~en~CielのKen(Gt)さんがプロデュースを手掛けていますね。
ミヤ:Kenさんとは"M.A.D"のツアーを2ヶ月間一緒に回ったんですけど、曲の構成や演出、演奏のことなど、いろいろなアドバイスをいただいたんです。例えばAKiは新人なので、"20年選手のバンドと一緒にやるにはこのくらいしっかりやらないと"ということとか。逆にうちらはホール・ツアーをやったことがないので、"ホールでやるんだったらこうした方がいいよ"とか。もうツアーのトータル・プロデュースですよね。"社長"って言ってもいいくらい(笑)。Kenさんのそのプロデュース力が大好きなので、"もう1回音源を一緒に作らせてほしいです"ってお願いして今回、引き受けていただきました。『球体』(2009年リリースの9thアルバム)をプロデュースしていただいてから7年経ったんですけど、その当時、技術的にできなかったことも今はできるようになった部分もあるし、今タッグを組んだら、より良い作品が作れるんじゃないかなと思って。それで、Kenさんが"この曲でいきたい! この曲が最高だ!"って言ってくれたのが「ハイデ」だったんです。どこにいってもこの曲だったら響くし、難しい説明はいらんと。とにかくシンプルでいいからって。
逹瑯:今回Kenさんがいてくれて一番良かったなと思ったのは、歌詞で一度行き詰まったときに相談できたんですよ。今まで歌詞を書いてるときに相談したことがなかったので、"ちょっと悩んでるんですよね~"って言ったら"じゃあちょっと話そうか"って言ってくださって。そこでKenさんと会話しながら出てきたワードが結構あったので、話せてすごくよかったです。
-相談できるってすごく大きなことですよね。
逹瑯:そうですね。相談するときって、何を歌いたいのかをわかりやすく説明する工程があるから、自分もそこで一度整理するんですよ。そうすることによって取っ散らかっていた考えがまとまってくるし、より明確に、何が言いたいのかが見えやすくなるんですよね。この感覚は今までになかったので面白かったですね。そこからは、その応用をしていきました。例えば、"後半はこの言葉を入れたい、だとしたら前半のこの言葉ってなんのことなんだろう?"、"この言葉をもうちょっとわかりやすく言うと、こういうことなのかな?"っていう考え方になってきて。そうやってカップリングの歌詞も出てきたんです。
-「ハイデ」の歌詞はシンプルですが深読みできるし、絵というか、風景みたいなものが自然と頭に浮かんできました。
ミヤ:サビは歌のメロディが乗ってないから、そこには音しかないんですよ。その音で、その余白で、それぞれが感じたように踊ってほしいですね。
-そしてシンセのメロディもすごくいいですね。コードに相乗効果をもたらすようなフレーズもあって。シンセを弾いている田中義人さんはこれまでもMUCCの楽曲に参加されていますよね。
ミヤ:はい。田中義人さんは「ニルヴァーナ」(2012年リリースのシングル表題曲)と「HALO」(2013年リリースのシングル表題曲)もやっていただいた方ですね。
-Track.2「KILLEЯ」は、ヘヴィでグルーヴ感がすごくて、さらに展開がもう......めちゃくちゃ激しいですよね。裏打ちのリズムのところではすごくアンセミックな感じになりますが、そこからブレイクダウンが入っていたり。かと思えば、すごいツイン・ギターが入ってきたり。
ミヤ:この曲は、今まで自分が影響を受けた音楽のすべてを詰め込んで組曲にしようと思ったんです。ファンクとラウドが混ざっているようなリフから始まって、スカに入ったあとメロコア・ビートになり、そこからブレイクダウンになって、ヘヴィ・ロックになったかと思いきや、X JAPANになるという(笑)。
-(笑)これは本当にびっくりしました。
ミヤ:ちょっとふざけてると言えばふざけてるんですけど、「ハイデ」がシンプルなメッセージを投げかける曲だとしたら、「KILLEЯ」は真逆で、もっとごちゃごちゃしたメッセージ。今の音楽シーン、特にラウド系にある楽曲って、普通にまとまってると面白くないと言うかのように複雑な曲が多いじゃないですか。それをみんな理解して楽しんでるし、リスナーの回路は複雑なものに慣れてると思うんですね。そういった意味で複雑なものを表現しているんだけど、歌詞は意外とシンプルだったりする。だからこの曲は、うちららしいかなって思います。いろんなことをやってきたので、ヒストリー的にも聴けるし。
-MUCCだからこそのユニークな発想ですよね。先人へのリスペクトがあるからこそオマージュがある。そういうことをここまで出している曲ってなかなかないと思います。
ミヤ:最初はアニメ用にプレゼンしていたシンプルな曲だったんですけど、暗めの雰囲気もあったので、そこに組曲っぽいものを後半に足していったら、ちょっとふざけてて面白いなと。前作にもそういう曲はあったけど、もうちょっとふざけてもいいかなと思って、もっとごちゃ混ぜにしました。