INTERVIEW
STONE SOUR
2012.10.16UPDATE
2012年10月号掲載
Member:Corey Taylor (Vo)
Interviewer:KAORU
-2部構成の大作を作るということは、バンドに大きな転換をもたらし、新たな可能性を探る作業が念入りに行われたのではないかと思うのですが、作業は大変でしたか?これまでのSTONE SOURのやり方と決定的に違った部分はコンセプト・アルバムであるということ以外にもありましたか?
もちろん努力を惜しまず取り組んだけれど、非常にクリエイティブだったから大変だとかそういう思いはなかった。決定的に今までと違う部分はレコーディングした場所、プロデューサー、そして曲の作り方、取り組み方だったね。
-アルバムの中で1番最初に出来上がった曲はどれでしょうか?その曲を元にアルバムのトータルが見えてきた感じですか?
俺が1番最初に完成させた曲は「Gone Sovereign」で、この曲でアルバムのトーンが決まったんだ。やりたかったことは、このエキサイティングなモーメントでアルバムのオープニングを飾ることだった。この曲でアルバムが今までと全く違うものだということがわかって、期待感を増したかった。本当に曲作りが楽しめたし、すごく誇りに思えるよ。
-スケール感の大きさに圧倒されますが、これまでのSTONE SOURが持っていたスケール感を更に増幅させるために、音質的にもかなり工夫をほどこしたのではないでしょうか。プロデューサーのTOOL、MUSE、STAINDなどを手がけているDavid Bottrillは作品にどのような影響を与えてくれましたか?
これは別のチームを組んで作り出せたサウンドだと信じている。最初からDave Bottrilにしかできないと思っていたよ。彼が携わった作品はどれも最高で、彼の洗練された取り組み方にはいつも魅了されていた。彼なら自分たちが何を求めているか、どんな結果にしたいのかすぐに理解してくれるとわかっていたんだ。それが1番音質的な工夫だった。彼はSTONE SOURの1番良い部分を引き出すことができるし、それを芸術に変える才能がある人なんだ。彼のお陰だと言っても過言ではない。それと、ミキシングをしてくれたJoeyが音楽の中にあったエネルギーを前面に出してくれた。非常にユニークな音が出来上がったと思う。ヘヴィでダーティーなんだけど、すごく暖かみのあるサウンドになっている。Daveとは知り合いじゃなかったけど、ずっと彼のファンだったんだ。TOOLからPeter Gabrielまで、彼がプロデュースしたものは大好きなんだ。彼に連絡した時、すごく喜んでくれて、快く引き受けてくれたよ。
-ストリングスのアレンジは誰が手がけたのですか?演奏は生ですよね?「Tired」は特に素晴らしかったです。
アレンジは俺とプロデューサーのDaveで考えたんだけど、演奏は彼の知り合いに頼んだ。特定の音のイメージがあって、それをどうしても音楽に組み込みたかったから、編曲家と意見をぶつけ合ってできたものなんだ。俺がやりたかったことの本質を、彼は本当に理解して形にしてくれたと思う。特にストリングスでは彼の才能が発揮されてみんな満足しているよ。
-「RU 486」も大好きな曲なのですが、STONE SOURがこれまでに培ってきたヘヴィネスの集大成でもあり、新機軸でもあると思います。この曲について解説をお願いします。
このトラックは“アーユー・フォーエイティシックス”って言うんだけど、実はアメリカで出回っている中絶の薬の名前なんだ。だけど、曲自体は中絶と全く関連性がないけどね。比喩的に使っている。ストーリーのアグレッシヴなキャラクターの1人を物語っている曲で、彼が主人公を攻撃する歌なんだ。主人公が自分について考えていること、世の中について考えていること、今まで決心してきたことについて、この曲は問いかけて、攻撃しているような感じなんだ。自分の中にある力を見つけて、人生で何がしたいか、それをどうすれば実行できるのかって考えさせる曲になっている。
-「The Travelers」はPart1とPart2の間に数曲挟まれていますが、元々は繋がっている曲ですよね?このアルバムのテーマを象徴している曲ではないかと思うのですが、「The Travelers」の最終形は来年リリースされる『House Of Gold & Bones Part 2』に収録されるのでしょうか?
いや、それはない。これらのアルバムのクールなところはテーマが戻って来ることなんだ。Part 2で「Consecration」という曲があって、“Trilogy”と呼んでいる3部作の1曲なんだ。これが「The Travelers」のこだまのような曲だと思ってくれればいい。もちろん「The Travelers Part 3」とは言ってないけど、内容は続いている。両アルバムでテーマが戻ったり、交差したりするから、聴き所だと思うよ。作るのも楽しかったし、常にPart 1を思い出しながら聴ける。
-アルバム・セールスが音楽シーン全体で低迷している現在、アルバム・トータルを聴くことに意義のある『House Of Gold & Bones』がリリースされることは大きな意義があると思いますし、この情報量の多さは新鮮な衝撃を与えると思います。ご自身ではこの作品の意義をどう考えますか?
クリエイティヴなエネルギーに努力を組み合わせると現象的なものが作れると信じている。音楽業界にいるポップ・アーティストや、陳腐でくたびれたミュージシャンに強い影響を与えて、バンドやアルバムよりもっと大きなものの一部になることを勧めると思う。俺たちにとってはエキサイティングなものを作り出すことに意義があったんだ。これによって他のバンドがもっといろいろな駆け引きをしたくなったり、もっと大胆なことがしたくなるかもしれない。今の時代のバンドって、シングルのことしか気にしてないみたいだろ? 1曲だけ出して、みんなが買うことしか頭にない。俺たちはその考えから180度別の方向に進んだんだ。1曲のヒットではなく、もっと大きなものを求めたんだ。