INTERVIEW
GOB
2008.05.24UPDATE
Member:Tom(Vo/Gt)
Interviewer:MAY-E
-あなた方自身の今作もセルフ・プロデュースでしたよね。
うん。レコーディングの進行なんかをみて僕らも学ぶ部分があったし、それが今回のアルバムをセルフ・プロデュースしようと思ったきっかけでもあったんだ。セルフ・プロデュースだったことで、いつもより時間が掛かってしまったっていうのもあるけどね。特に今回の場合は、レコーディングに締め切りを設定していなかったんだ。レコーディングっていうのは、例えば絵を描いたり小説を書くのと同じで、「終わり」というものは無いんだよ。そこで終わろうと思ったら終わりになるんだけど、例えばここをもっとこうしようって色を足したり、肉付けをしたり、そんな風にやりようはいくらでもあるわけで。締め切りを持たずに、自分達が納得のいったところで終わろうって思っていた分、時間がかかってしまったんだよね。
-締め切りに関してレーベルから催促されたり、何か言われることはなかったのですか?
うん、このアルバムはどこのレーベルにも所属していなかった頃に作ったものなんだ。アルバムを作ったあとでもレーベルを探せば絶対見つかるだろうと思って作っていたし。それで実際にレコードが完成して、アクエリアス(カナダのレーベル)と話をしてみたら、自分達のやりたいことをちゃんと理解してくれたんだ。今の音楽業界は、レーベルが大きくなればなるほど音楽ダウンロードが増えてCDが売れなくなる状況だろ?だからCDセールスに対してすごく後ろ向きな見方をしているレーベルが多い。こういう考えは、自分達にとってマイナスになると考えたんだ。今回、こういう風に音楽業界が代わっていってる状況を踏まえた上で、自分達の考えを100%理解してくれているレーベルを見つけて、そこからリリースすることが出来て本当に良かったと思っているよ。
-今、音楽ダウンロードの話が出ましたけど、最近ではレディオヘッドの新作のDL販売が話題になりましたよね。あなたはこのようなダウンロード販売についてどう考えていますか?CDとしてリリースすることに拘りはありますか?
そうだね。自分自身が音楽を手に入れたのはLPだったし、形のあるものを手に入れることに対しての拘りは持っているから、音楽ダウンロードは味気なさを感じることはあるね。だけど、気軽に音楽を手に入れられるダウンロードが普及していくのは止められないだろうね。CDにしろ何にしろ、形があるものを自分が持ちたいという気持ちはみんなきっと持っているだろうから、しばらくはCDというフォーマットも残るだろうとは思う。だけどiPODが出てきて、iPODの中に数千曲の音楽を入れているほうが、数千枚のCDを買うよりも利便性はあるわけだよね。地球温暖化もそうだけど、そんな風に世相や経済が変わっていく中で、音楽ダウンロードは今後ますます増えていくだろうと思っているよ。
-全く同感です。
ただ、ダウンロードには反対というわけでは決してないんだ。僕らはオーストラリアでPENNYWISEとツアーをしたことがあるんだけど、そのPENNYWISはネットで最初の1週間だけ新曲をタダでダウンロードできるようにして、その後CDをリリースするという方法を取った。基本的にバンドっていうのは今も昔もアルバムを出してアルバムのリリースだけで食べていこうと考えているわけではないんだよ。バンドっていうのは、ツアーのチケットや物販の売り上げで食べていくものだって思っているから、CDを買ってもらうこと自体には実はそんなに執着はなかったりする。どちらかといえば、より沢山の人に聴いてもらって、沢山の人にライブに来てもらうほうがバンドにとっては良い事なんだ。例えば、500万人の人にタダで新曲を聴いてもらって気に入ってもらえるのは、5万人にCDを買ってもらうより価値のあることだと僕は思っているよ。
-なるほど。では、バンドの質問に戻しますね。まず、GOBのメイン・ソングライターは誰になるのですか?
今まではテオも少し書いていたんだけど、僕がメインで書いていたんだ。だけど今作は、テオが書いた曲のほうが多くなったよ。
-今作では、キッズがモッシュやダイブをしたくなるようなスピーディーなパンクソングが減ったように感じましたが、これはテオが書く曲が増えた為でしょうか?
誰が書くかってことより、僕もテオも、ソングライティングのスタイルが少しずつ変化してきているんだよね。ファースト・アルバムはスピーディーだったり、セカンドはメロウな曲もあったりと、アルバムごとにイメージが違うのはそのせいだね。それと、単なるポップ・パンクのスタイルではなく、パンクロックとして一枚のアルバム作っていくと、ただ速い曲だけではなくなるんだ。だから、今作でミドルテンポの曲が多くなったのはたまたまだよ。
-そのようなミドルテンポの曲で特に感じるのですが、展開や演奏にも工夫が見られますね。新しくチャレンジしたこと、こだわったポイントがあれば教えてください。
どうもありがとう。今回はコード進行とかリフとか、色んなアイデアから発展させていったんだ。ヒップホップのアルバム制作のプロセスに似ていたかもしれないなぁ。基本的にパンクの場合は演奏を録ってから歌入れをするんだけど、今作では、まずはじめに歌入れをして、それから周りを肉付けしていったんだ。こういう部分は新しいチャレンジといえるだろうね。