FEATURE
Vans Warped Tour Japan 2018
2018.03.14UPDATE
2018年03月号掲載
Writer TAISHI IWAMI
ドライヴィンなメロディック・パンクと、スケートボードやBMXの超絶パフォーマンス。お茶の間のテレビでも多くの人が目にしたことがあるであろう、疑う余地のないイメージと熱狂。それらを現場に落とし込んだ、フェスティバルそのものがアメリカ全土を回る"Vans Warped Tour"の、大規模フェスとしては初となる日本上陸が決定した。
同ツアーの歴史は1995年にまで遡る。"スケートボード×音楽"という試みが本国の若者を中心とした多くの人々の心を掴み、やがてアメリカ最大規模のフェスティバルへと発展。メロディック・パンクやハードコア、ラップ・メタルやニュー・メタル、エモ/スクリーモ、それらの流れに連なるオルタナティヴ・ロックやヒップホップなど、ラウドロックの時代性を広く反映するラインナップが注目を集めるようになる。そして、アップカミングなアーティストの登竜門として、且つストリート叩き上げのベテランの重要な活動の場として、確固たる地位を築きあげた。
その経緯は、過去に日本から参加したバンドの流れを見てもよくわかる。1990年代にインディペンデントな活動でパンクを広め、キッズたちに希望を与えたHi-STANDARD。そういった先輩バンドやオーセンティックなスカからの影響を奔放にミックスしたオレスカバンド。ニュー・メタルやデジタル・ロック、エモ/スクリーモといった、かつて隆盛を誇った音楽の魂を受け継ぎながら、世界レベルで現在進行形のロックを鳴らすCrossfaithやcoldrain、ONE OK ROCK。遠く離れた国のシーンの流れも押さえるアンテナの高さがあるうえでの今回の開催は、単に"世界の有名フェスが日本にやってくる"ということ以上の説得力があるのではないだろうか。
世界のロックを前進させたレジェンドと、国内バンドとの共演。確かな文脈とそこにある未来を感じとれ!
まずは初日、3月31日の魅力となると、KORNとLIMP BIZKITという1990年代発のラップ・メタル/ニュー・メタルの二大巨頭が出揃っていることだろう。KORNは、独特のダーク且つ鉛のようなヘヴィ・サウンドを軸に、ヒップホップやエレクトロニック、ダブステップといった様々な音楽の要素を、時代の流れとともに取り入れる進化と、ロック・バンドたる原点回帰を繰り返し、今日までチャレンジを続けてきたカリスマだ。LIMP BIZKITは、切れ味鋭いラップとバンド・サウンドを、圧倒的にポップなフックをもって融合し、日本では"ミクスチャー"と呼ばれるジャンルまるごと、その人気を急激に加速させ一大ムーヴメントを築いた。同じ時代を生きながら、ストイックなイメージの強いKORNと、エンターテインメント性を推し進めたLIMP BIZKIT。ある意味対照的ではあるが、両者ともロックが持つ可能性そのものを大きく広げた、偉大なバンドであることは間違いない。
そして、彼らに続く出演陣も見逃せない。まさにラップ・メタル/ニュー・メタルからの影響が色濃い、硬派なメタルコアにエレクトロニックの要素を取り入れたOF MICE & MEN、ポップ・パンクやエモの根強い人気を示すTONIGHT ALIVE。国内からは、RIZEのフロントマンとしても知られるJESSE(Vo/Gt)が、バンドマンとしての生き様を追求するThe BONEZ、ジャパニーズ・カルチャーを象徴するアイドル枠から"楽器を持たないパンク・バンド"BiSH、先述したように、すでに本国のツアーを経験しているCrossfaithとcoldrainらが熱い1日を演出する。
続く2日目、4月1日は、1990年代初頭にロックとヒップホップを融合させ、ここに集結するほとんどのバンドが活躍できる土壌そのものを作ったと言っても過言ではない、パイオニアたちが日本の地を踏む。RAGE AGAINST THE MACHINEからTom Morello(Gt)とTim Commerford(Ba)、Brad Wilk(Dr)の演奏隊に、PUBLIC ENEMYのDJ Lord、そしてChuck DとCYPRESS HILLのB-Realというふたりのラッパーが加わった新バンド、PROPHETS OF RAGEの登場だ。それぞれが築き上げてきたことに対する気負いはなし。思いっきりRAGE AGAINST THE MACHINEたるサウンドにPUBLIC ENEMYとCYPRESS HILLのラップが乗った、振り切ったパフォーマンスによる凄まじい化学反応を、とくと味わってほしい。
さらに、"Vans Warped Tour"の核たるスケート・カルチャーと音楽を結びつける、アメリカ西海岸の生き字引き SUICIDAL TENDENCIES、メロディック・ハードコア・シーンのベテラン PENNYWISEの出演も決定。百戦錬磨のレジェンドたちが持つ、本物のパンク・スピリットを体感することができる。そして"パーティーするなら俺を呼べ"のキャッチ・フレーズでお馴染み ANDREW W.K.、もはや日本が最大のホームのZEBRAHEAD、国内からTOTALFAT、HEY-SMITHとパーティー・バンドが来た日には、幕張が揺れに揺れることは間違いない。元FACTのHiro(Vo)、Takahiro(Gt/Vo)、Kazuki(Gt/Vo)による、オルタナティヴ・ロックやハードコアの情熱をモダナイズしたSHADOWS、前衛的な曲展開と抜群のポップ・センスが入り混じるa crowd of rebellion、ストレートなバンド・サウンドで人気上昇中のDizzy Sunfistら、国内の最新型ラウドロック勢にも注目だ。
現在、日本全国には相当な数のフェスがあって、それぞれに想いや意味がある。しかし、音楽とスケートボードやBMXといったスポーツ、そこにまつわるファッションなど、芯を持ってトータル・カルチャーを打ち出すフェスは多くない。"Vans Warped Tour Japan 2018 Presented by XFLAG"では、それを20年以上積み重ねてきたことで生まれた、何よりもリアルで価値がある歴史的文脈とそれが指す未来を、ただ楽しむだけで感じることができる。そして、本イベント翌日からのあなたの生活は、より豊かになることだろう。
"Vans Warped Tour Japan 2018 Presented by XFLAG"
"Vans Warped Tour Japan 2018
Presented by XFLAG"
3月31日(土)、4月1日(日)
幕張メッセ9~11ホール
OPEN 11:00 / START 12:00
3月31日(土)
KORN / LIMP BIZKIT / BiSH / The BONEZ / coldrain / Crossfaith / DEADLY APPLES / ISSUES / MONOEYES / MUCC / OF MICE & MEN / OLDCODEX / シシノオドシ / Survive Said The Prophet / TONIGHT ALIVE / Xmas Eileen
4月1日(日)
PROPHETS OF RAGE / PENNYWISE / ANDREW W.K. / ZEBRAHEAD / SUICIDAL TENDENCIES / a crowd of rebellion / BAND-MAID / COUNTRY YARD / Dizzy Sunfist / HEY-SMITH / THE LAST INTERNATIONALE / LOVEBITES / PassCode / ROS / SHADOWS / TOTALFAT
チケット一般発売中
1日券 ¥11,000
2日券 ¥19,000
オフィシャル・サイト
http://www.warpedtour.jp
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