FEATURE
ALESANA
2011.10.10UPDATE
Writer MAY-E
「スクリーモなんて呼んでくれるなよ!俺たちの呼び方はALESANA以外、他にないぜ!」なんてかっこいい発言が取材中に飛び出してしまう、そんな“俺様キャラ”がナイスなノース・カロライナ出身の6人組ALESANA。これまでに行った3度の来日公演を全て熱狂の渦に巻き込んできた、(本人たちの意思に反して)今や“スクリーモ・シーンの顔”となっている代表格バンドだ。
ALESANAはTragic Heroから1stアルバム『On Frail Wings of Vanity and Wax』(06年)でデビュー。その後FEARLESS RECORDSに移籍し、2ndアルバム『Where Myth Fades to Legend』(08年)、3rdアルバム『The Emptiness』(10年)をリリースしている。
前作『The Emptiness』は、あるひとつのストーリーに基づいたダークでミステリアスなアルバムだった。いわば“ALESANA流ホラー映画”。このようなストーリーが綴られるアルバムを作ることが、バンドの中心人物であるShawn Milke(Vo&Gt&Piano)が長年描いていた夢だったという。その『The Emptiness』を引っ提げての来日となったSCREAM OUT FEST 2010での東京公演1日目のアルバム『The Emptiness』をまるごとプレイするというサプライズも、初期2枚と手法を変えて挑んだアルバムへの自信の表れだと言えるだろう。
さて、その『The Emptiness』を経てリリースされる今作『A Place Where the Sun Is Silent』は、“Act One: The Gate”と“Act Two: The Immortal Sill”の2枚組からなるトータル16曲にも及ぶ大作だ。前作『The Emptiness』の規模を上回るコンセプト・アルバム、というわけだ。
「プロデューサーのKris Crummettは曲ごとに切り離した考え方ではなくて、アルバム全体をひとつの作品として取り組んでくれる。バンドの良いところを引き立てるだけじゃなくて、それぞれのバンドらしい音作りもしてくれるんだ」と、Shawn Milke(Vo&Gt&Piano)は『The Emptiness』でのKrisの仕事ぶりを高く評価していたが、やはり今作でもKris Crummettを再びプロデューサーに起用している。
しかし、『A Place Where the Sun Is Silent』はただの『The Emptiness』の延長にあらず。前作同様に台詞を用いたストーリーテリングな展開ではあるが、ALESANAらしい狂気を前面に押し出した前作と比べ、今作はうんとキャッチーな印象だ。前作を“映画”とするなら、今作は“演劇”。女性ヴォーカリストを迎えたピアノ・バラードのデュエット曲と共に舞台のカーテンは開く。
ピアノやバイオリンなどのストリングスを用いた壮大なサウンド・メイキング。メロディは極めてキャッチーで、驚くほどポップなトラックもあるが、ALESANAにとっての最重要ファクターである“猟奇的なスクリーム”と“攻撃性”もちゃんと共存している。レトロとモダンのバランスが抜群で、メタルとストリングスの整合性も素晴らしい。『Where Myth Fades to Legend』にも近いキャッチーさが戻ってきたが、過去作とは全くの別物だ。エレクトロばかりに頼ろうとする軟弱なスクリーモ・バンドにこそ聞かせたい、実にクリエイティヴなアルバムである。エピタフ移籍第1弾に相応しいこの力作で、シーンに再び風穴を開けて欲しい!
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