FEATURE
NEW FOUND GLORY
2011.10.11UPDATE
Writer 山本 真由
NEW FOUND GLORYは、今年で結成14年目という歴史を持つバンドだが、常にフレッシュな存在であるという、ポップ・パンク・シーンの中でも稀有なバンドだ。
というのも、彼らは非常に多作で、コンスタントに約2年おきに新作アルバムを発表し続け、しかもその間にカヴァー・アルバムやスプリットやEPまでリリースしており、それら全てが一定のクオリティ以上の作品であるため話題が尽きないからだ。2000年前後のポップ・パンク・シーンが華やかだった頃、同時期に活躍していたDrive-Thru Recordsのレーベル・メイトたち、FENIX TXやMIDTOWNは解散してしまったし、ALLISTERやTHE STARTING LINEは一度活動休止してしまって、かつての勢いをなくしてしまったし…。まぁ、他のバンドと比べても仕方ないが、それにしても、NEW FOUND GLORYがいかに安定感のあるバンドか分かるだろう。
過去のインタビューで、スタイルを変えることなく長く続けていられる秘訣として、“自分たちがやっていること、自分たちがやりたいことに対してずっと誠実でいるっていうことが大切”とJordan Pundik(Vo)が語っているが、まさにNEW FOUND GLORYとはそういうバンドなのだ。
結成初期のころは、(どんなバンドでもそうだとは思うけれど)ライヴの集客も全然無く、たった4人のオーディエンスの前でプレイしたりしていたらしい。でも彼らがその時思ったことは落胆ではなく、“楽しかったから、またやろうぜ!”だったのだ。自分達がやりたい音楽を、1人でも2人でも一緒に楽しんでくれるヤツらが居れば続けたいという信念が、多くのキッズの共感を呼び、彼らの存在を不動のものとしたのだろう。
そんな彼らの放つニュー・アルバム『Radiosurgery』は、彼らの最大の魅力である“楽しさ”が収録全曲にわたってしっかり詰め込まれている。Epitaph Records移籍第1作目であった前作がどちらかと言えばシリアスでハードな“渾身のアルバム”だったのに対して、今作は良い意味で“とっても余裕なアルバム”だ。
アルバムからの1stシングルでもある1曲目「Radiosurgery」に代表されような、彼らの得意とするポップでキャッチーなグッド・メロディを前面に押し出したシンプルな楽曲が並ぶ。NEW FOUND GLORYのハードコアな一面が好きなファンにとっては多少物足りない気もするかもしれないが、この爽快なキャッチーさを楽しむだけで十分だと感じさせられる程、楽曲の1つ1つに存在感があり、飽きさせない構成になっているのだ。
新しいバンドたちが、どんどんジャンル・ミックスして新しいサウンド・スタイルやテクノロジーを取り入れて複雑化していくシーンの中、これ程単純明快で“ザ・ポップ・パンク”とでも言うような堂々としたスタイルの貫きっぷりは、最早大御所の貫禄だ。常に変わらぬスタンスで“キッズの求めるもの”を表現してきた彼らだからこそ出来た作品であると思う。
また、NEW FOUND GLORYは以前から“自分達のルーツをキッズに伝えていくこと”を大切にしてきたバンドであり、GORILLA BISCUITSやLIFETIMEなどのカヴァーを披露してきたが、本作ではUSオリジナル・パンクを代表するバンド“RAMONES”のカヴァーを収録している。ゴリビスやLIFETIMEが彼らのハードコアな一面のルーツであるとしたら、RAMONESは彼らの持つポップさの原点と言えるだろう。
しかも、そのカヴァーのまた楽しそうなこと!聴いているとじっとしていられないくらいワクワクします。是非ナマで聴きたい!兎に角ライヴが楽しみ!
リリースのたびに来日してくれている彼らのことだから、またきっと新曲を披露しに日本にも来てくれるはず。それまで、一緒に歌えるくらいしっかりアルバムを聴きこんでおこう!
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