DISC REVIEW
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解散を発表し、現在最後のツアーを行っているSUM 41。"PUNKSPRING 2024"での来日も記憶に新しい彼らが、1996年から30年近くにも及ぶ活動の集大成となるラスト・アルバムをリリースした。本作は、タイトルに"Heaven :x: Hell"とある通り、二面性のあるバンドの音楽性が、それぞれ10曲ずつで楽しめる2枚組のアルバムだ。"Heaven"サイドには、多くのファンにとって青春の思い出として脳裏に焼きついている、やんちゃなSUM 41の面影が強く出た、疾走感溢れるノリの良いキャッチーなポップ・パンクが並ぶ。また"Hell"サイドには、メタル・ライクなギターと鬼気迫るシャウトが満載のヘヴィな内容となっている。しかし、面白いのは"Heaven"を聴いてもメタル・フリークなDave Bakshのギターが主張するヘヴィな楽曲があり、"Hell"を聴いても隠し切れないポップネスが随所に表れているところだ。それこそがまさに彼らの魅力、有終の美を飾るに相応しいバンドのすべてが詰まった作品となった。 山本 真由