DISC REVIEW
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今ここに陰陽座が生還を果たしたことは、大いに祝福すべきことだ。ここ数年の間に心身共にダメージを負っていたはずのヴォーカリスト 黒猫が、以前にも増して美しく力強い歌声を響かせる様はひたすら感慨深く、徹頭徹尾あらゆる意味で練りに練られた作品性もあいまって、寸分の隙さえなく繰り広げられる陰陽座の荘厳なる物語は、聴き手のことをどこまでも呑み込んでゆくのである。再生の場面が感じ取れる冒頭の3曲「霓(器楽奏)」、「龍葬」、「鳳凰の柩」といい、11分半にわたるドラマチックな大作「白峯」にしても、聴き手は必ずや圧倒されることだろう。"忍法帖シリーズ"最新作にあたる「月華忍法帖」も必聴だが、つくづく"妖怪ヘヴィメタル"とはよく言ったもの。陰陽座のこの復活ぶりは人間離れしていると言っていい。 杉江 由紀