DISC REVIEW
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コロナ禍のこの3年間、リリース日を決めずに自由に、腕によりをかけて作り上げてきた今作。ここで紡がれる音楽が、日々の心の機微を映し、そして毎日を過ごすちょっとしたアイディアやスパイスとなったならば、あの長い時間がもたらしたものはネガティヴなものだけでないと思える。LOW IQ 01の音楽的な芳醇さを感じる作品に仕上がった。ブルータルなリフを振るうハードコアからルーツ・ミュージック、極上にフレンドリーなポップスまでジャンルを自在に行き来し、博識な音楽オタクでありながらキャッチーなファン心や、年齢を重ねてお洒落さに味も出てきた彼ならではのフィルターを通した13曲。オーガニックで、口当たりはライトだが、時を忘れて没入するマジカルで甘美なロック・アルバムだ。これなんだよな。 吉羽 さおり