DISC REVIEW
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デビューから35年を経たスーパー・ギタリストのクリスマス企画盤は、最新のプレイ・スタイルを踏襲しつつ、時にドリル奏法を挟み、時に高速アルペジオを楽曲の主体に据えるなど、随所に往年の"らしさ"を織り込んだ奥深い作品となった。ヴォーカル・ラインをギターで表現するスタンスは一貫しており、クリスマス・ソングの珠玉のメロディたちがPaul流のギターの旋律に変えられ、そのトーンにはテクニックに裏打ちされた様々な表情が与えられている。大半のトラックは一発録りで収録されており、ジャズ、ブルースの実力派をメンバーに加えたバンド編成ならではのグルーヴや、生々しい演奏の息遣いが感じられる贅沢な音源に仕上がっている。"聴き飽きた曲を、どうすればまた聴きたいものにできるか"という自身のテーマを体現した1枚。 米沢 彰