DISC REVIEW
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RACER X、MR.BIGでの活躍で名を上げ、今もなお世界最高峰ギタリストの呼び声高いPaul Gilbertの16作目となるソロ・アルバム。今作も前作同様にインスト曲のみで構成され、超絶テク+激エモ・フレーズが飛び交う圧巻の仕上がり。フュージョンのノリが多めだった前作と比べるとロックやブルースの原型に迫るようなアプローチが多用された今作は、Paulの最初のソロ作品がJimi Hendrixのトリビュートだった事実を想起させるとともに、Paulがいかに多くの音楽を消化し吸収してきたかを見せつけてくる。コロナ下で制作された今作は、窮余の一手として全パートをPaul自身がプレイするという荒業で完成にたどり着いた。あとにも先にも同様の作品は生まれないのでは? という意味でも十分に面白い1枚。 米沢 彰