DISC REVIEW
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名実ともにUKを代表するヘヴィ・アクトのひとつとなったARCHITECTSの9thアルバム。過去作、特に前作『Holy Hell』(2018年)でもその傾向は見られたが、今作ではメロディを意識した歌唱がより前面に押し出され、エレクトロやストリングス、クワイアやホーンまでを大々的に取り入れたサウンドに進化。BMTHはもとよりLINKIN PARKまでも脳裏に浮かぶ、美麗な歌メロが主軸だが、そこに暴力的なまでの徹底したヘヴィネスが溶け込むことで、壮大でシリアスな独自の音世界を見事に描ききっている。焦燥感を煽るフレーズが印象的なTrack.3、多彩な要素が過去と現在の橋渡しを担うかのようなTrack.4、ライヴでの合唱が待ち遠しいTrack.14と、表面上は大胆な変貌を見せる本作だが、安易な路線変更ではないからこその、筋の通った完成度の高い楽曲群は、多くのリスナーに好意的に受け入れられることだろう。 菅谷 透