DISC REVIEW
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近年、バンドの結成メンバーにして、その端正なルックスで絶大な人気を誇るフロントマン、Andy Biersackによるソロ活動が話題を集めていたが、バンドとしては前作『Black Veil Brides』(2014年)以来、約3年3ヶ月ぶりとなる最新フル・アルバムをリリース。プロデューサーにJohn Feldmannを迎えた本作は、もともと持っていたアクの強さ、前作のようなヘヴィさは影を潜め、往年のメロディアスなハード・ロックや、キャッチーでポップな要素が増えた印象だ。クサめなツイン・リード、ギター・ソロにせよ、非常にタイトなリズム隊にせよ、各プレイヤーの演奏は自身の役割からはみ出るようなことはなく、あくまで楽曲ありきの姿勢が窺える。Andyによる特徴的なバリトンは深みを増し、表現力も向上した。バンドとしての成長が刻まれた作品であることは間違いないが、決定的なキラー・チューンに欠けることが悔やまれる。 井上 光一