DISC REVIEW
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全米2位の大ヒットとなった2009年リリースの『Awake』で頂点を極めたポスト・グランジなアメリカン・ロック路線は前作『Rise』を経て、この9thアルバムで大胆にシフト。リフを軸にしたバンド・アンサンブルや男女ツイン・ヴォーカルなど、彼ららしい魅力は残しながら、ダンス・ビートを取り入れるなど、ポップに迫る曲の数々に驚かされる。中にはコンテンポラリーなR&Bの影響が感じられる曲もある。彼らなりに現代のポップ・ミュージックにアプローチしたという印象だが、もともと、幅広いバックグラウンドを持っていたバンドだから、『Awake』がゴールというわけではなかったのだろう。2003年リリースの『Collide』が『Awake』に至る路線のスタートになったように、このアルバムも何年後かに、ターニング・ポイントとして再評価されそうな気がする。 山口 智男