DISC REVIEW
-
1990年のメジャー・デビュー作『人間失格』から、数え年で25周年を迎える3人組の22thアルバム。前作『萬燈籠』の作風を踏まえた重厚なリフで押すキャッチーな曲調が多く、そこに一筋縄ではいかないバンドのこだわりも練り込まれた強力作。うねり上げたグルーヴにゾクゾクする「なまはげ」は個人的にイチオシのかっこ良さ。本物の木魚とこの曲のために購入したエレキ・シタールが効果的な「悉有仏性(しつうぶっしょう)」、鈴木がリード・ヴォーカルを務めた抜群のポップ性を発揮した「生まれ出づる魂」、アコギの響きと転調しながら独特の浮遊感を運ぶバラード風の「リジイア」など楽曲の個性も実に豊か。ロラン・バルト、ポオ、宮沢賢治など本、小説を題材にした歌詞とサウンドの融合も唯一無二。 荒金 良介