INTERVIEW
人間椅子
2014.06.16UPDATE
2014年06月号掲載
Member:和嶋 慎治 (Gt/Vo)
Interviewer:荒金 良介
-和嶋さん、今日は"Ozzfest Japan 2013"(※人間椅子出演)のTシャツ着てますね。
いや、次に撮影の取材があるもんで、この話でもしようかなと。
-普段から愛用してるのかと思いました。
いやいや、恥ずかしくてとてもそれは......(笑)。
-では、いろいろと話を聞きたいんですが、まず今回の紙資料に25周年と書いてますが、本来なら結成27年目ですよね。これはいつからカウントしてるんですか?
1stアルバムの発売を基点にして、しかも数え年なんですよ。90年を1年目とすれば、今年は25周年ですからね。
-なるほど。人間椅子は1987年結成で最初は和嶋さんと鈴木(研一、Ba/Vo)さん2人でBLACK SABBATHを含むブリティッシュ・ハード・ロックをコピーされてたんですよね?
一通りスタンダード・ナンバーを練習でやってました。LED ZEPPELINに、DEEP PURPLE、ほかにURIAH HEEP、ちょっとマイナーなBUDGIEとかもろもろやって、そういう音楽がかっこいいと思ってましたね。当時やってる人はあまりいなかったですからね。どちらかと言えばハード・ロックよりヘヴィ・メタル、あとは日本のビート・ロックをやってる人が多かった。僕らは日本語でロックをやりたいと思って、オリジナルを作り始めました。
-やはり、ブリティッシュ・ロックの湿り気や哀愁がツボですか?
そうですね。LAメタルはコピーしなかった。当時流行ってましたけど。
-1987年と言えば、GUNS N' ROSESの『Appetite For Destruction』やMOTLEY CRUEの『Girls,Girls,Girls』が発表されたり、LAメタル・ブームが吹き荒れていた時代ですよね。
そう、GUNS N' ROSESは流行り出してましたね。鈴木君はその辺も聴いてたけど、コピーしようとは思わなかった。暗くて、湿ってるものが好きですね。子供の頃に衝撃を受けたのがハード・ロックですから。僕らが中学の頃はLED ZEPPELINはまだ解散してなかったですからね。それがロックの基本だと思ってたんですよ。
-とりわけ人間椅子の音楽の根っこにはBLACK SABBATHがあると思うんですが、どこに1番惹かれました?
どんよりした暗さですね。リフ中心だし、あの強引な展開もかっこ良かった。DEEP PURPLEはマイナー・コードだけど、表現が明るいんですよ。BLACK SABBATHは異様な感じがしたし、テーマも戦争のことや狂気の話だったり、そこも好きでした。あと、KING CRIMSONの知的な暗さもいいなと。何でしょう、それに尽きますね。ロックはいろんなやり方があると思うけど、パーティー的な内容の音楽には共感できなくて。恋の歌とか日常を歌うこともいいとは思えなかった。自分たちでやりたい音楽はなぜか暗いものでしたね。
-ああ、そうなんですね。
高校からオリジナルを作り始めたけど、歌詞も狂気のことだったり、それが自然な流れでしたね。
-例えばOzzy Osbourneは"あなたたちは、なぜ怖くて暗い音楽をやってるんですか?"と聞かれて、"人々はホラー映画にお金を払って行列を作って並ぶ。怖くなりたいために人々がお金を払うなら、俺たちも怖がらせる音楽を作ろう"という発想でBLACK SABBATHを始めたと何かのインタビューで答えてました。そういう意味で言うと、人間椅子の場合は?
単純に怖そうなものがかっこいい......そっちの方が良く見えた部分はありますね。日本で流行ってる音楽もすごくいいと思ったけど、自分でやりたいもんじゃなかったんですよね。もっと気味の悪いもの、怖くて知的な歌詞......自分たちがそういうものを聴きたかったんでしょうね。僕らは怖がらせるためにやるというより、ほんとにいいと思ったからやったんですよね。
-なるほど。
曲や歌詞で何を表現するかは、人間の悩みや苦しみ、それをどうやって突破するかを考えてました。根拠なく明るいことを書いても違うだろうし、暗い視点というところからいきたかったんでしょうね。
-当時、日本語でロックをやり始めた頃は風当たりが強かったと思いますが。
ロックのサウンドに日本語を乗せる人はなかなかいなかったですね。洋楽に影響を受けてバンドを組むと、みんな英語にチャレンジするよね?でも10代そこらでの語学力だと限界があるというか......。
-それでもみんな英語で歌いますよね。
頑張ってやるよね?日本でやってる限り、日本人が聴くわけで、(語学力のない英語の歌詞だと)説得力がないと思ったんだよね。かろうじて得意に書けるのは日本語だから、それが自然だろうと。ただ、最初は難しかったですよ。