COLUMN
THE BLACK DAHLIA MURDERのバックステージ事件簿~事件は現場で起きている~ vol.3
日本の友だち諸君、こんにちは。THE BLACK DAHLIA MURDERバックステージ事件簿の最新版です。
俺たちはこの心強いワイン色のバンでアメリカを横断する大冒険をしているところだ。決して優雅な生活とは言えないが、楽しいことには違いない。しかも俺たちはそのバンを自分たちで運転してるんだ。まあ俺たちの新しいツアーマネージャーであるマイクは運転も少し手伝ってくれるんだけどね。ありがたいことに。
俺たちは、業界で言うところの「第二次市場」である小さな町に寄ってプレイしてる。例えばフィラデルフィアに行かずにピッツバーグに行く、という感じだ。カリフォルニア州出身のデスコア・マスターことALL SHALL PERISHや楽しいことが大好きな大麻をテーマにしたデスメタル・メタラーことCANNIBAL CORPSEと一緒にね。今までのところ結果や反応は非常に良いね。俺にとっては、このツアーはホームランだね。
俺は今テキサス州のエルパソっていうところでヘトヘトになりながらこれを書いている。メキシコとの国境にある街なんだけどさ。極悪の徹夜ドライブでバンのバッテリーが死んだお蔭で一時的に動けない状態になってるんだ。色んなところから引っ張ってきたバッテリーのジャンプ・スタートでなんとかバンを動かして俺たちが数時間「寝るための」カー用品店を見つけた。俺はハエが顔にたかってきたせいで目を覚ましてしまったよ。昨日の飲み会のせいで少し二日酔いでなんだかイライラしたりホームシックになっちゃったり。こんなことがたまにあるんだ。そして俺たちは遂にエルパソの古い町にあるモーテルに到着したってわけだ。ここからは何とか上手く行きそうな予感。実際これを書き始めることで、このツアーがこれまでどんなに楽しいものだったか思い出すことができたし、それでまた気持ちも上向いてきたんだよね。
今回のツアーでは最新作「Ritual」からの曲をたくさんやっててね。反応も物凄く良いんだ。最近はセットリストに「On Stirring Seas Of Salted Blood」と「Den Of The Picquerist」も加えた。既にセットリストにはSummer Slaughterツアーの時から「Ritual」の曲がたくさん入ってたんだけど、これで更に充実した選曲になったね。みんながこの2曲も気に入ってくれているのを見ると嬉しいよ。特に「Stirring Seas~」はめちゃくちゃヘヴィーだから。
俺たちのツアーはオハイオ州コロンバスで行われたショーの大盛況から始まって、東のピッツバーグに向かうところから始まった。ピッツバーグでも素晴らしいお客さんたちと出会えた。俺たちはいつもこのピッツバーグにある「Mr. Smalls」っていうライブハウスでプレイするんだけど、ここは教会を改修して作ったライブハウスで物凄く音が良いんだ。お客さんもいつも素晴らしくてTHE BLACK DAHLIA MURDERにとってはハズレなしの会場なんだよね。
一方でニューヨーク州ブルックリンにある新しくなったKnitting Factoryは期待してたよりも大人しかったな。このバンドの組み合わせだったし、正直もっと盛り上がると思っていたからちょっとガッカリしちゃった。そこから南に行ってリッチモンドとウィルミントンでやったショーは衝撃的に良かった。めちゃめちゃエネルギーに満ちたライブになったよ。ジョージア州アセンズ(ウチのギターのRyan Knightの地元でもある)でのショーは、それほどたくさん人が集まったってわけでもなかったけど、とにかくお客さんが喜んで温かく歓迎してくれて驚いたね。俺はガールフレンドのケイシーに会えたし。いつ会えても嬉しい。いつも会いたい。彼女は俺に会うために遠くから来てくれたりするんだ。ホントに俺の忙しい人生につきあってくれてありがたいと思ってるよ。
ジョージア州からの長い長いドライブを経てテキサス州に到着。コーパス・クリスティオースチンで破壊的なショーをやった。ここ2箇所でのライブが俺にとっての今回のツアーの2大フェイバリット・ショーなんだ。こんなショーをやるために生きていると言っても過言じゃないね。みんなダイブして大暴れで踊って、バンドはメンバー全員火を噴くくらいにエネルギーに満ちていて、キッズはメタルの狂気に溺れてる。俺はステージ・ダイブやハイタッチやシンガロングやサークル・ピットが大好きなんだ。俺の本によるとこれらは「良いショー」をするためのレシピだって書いてある。
俺はステージ上のスポークスマンであるボーカルとして、お客さんをできるだけ盛り上げることを目的にパフォーマンスしてる。みんなが狂ったようにヘッドバンギングして拳を振り上げるまでは絶対に満足しない。昨夜のラボックは俺にとってツラかった。下痢してたから。いつパンツにウンコを漏らしてもおかしくない状態だったんだ。どうやらこのバンドには変な虫がついて回ってるみたいで、それが俺たちに病気をもたらすんだ。俺は今日はだいぶん良いけど昨日は俺はついてなかったね。
それでもお客さんは凄くクールで、きっとラボックの人たちはみんな親切で優しい人たちなんだなと思った。でも俺たちが会場入りしてサウンドチェックしてる間ずっとビリヤードやってた田舎オンナどもは親切で優しい人たちじゃなかったな。その5人は昼間の3時からベロベロに酔っ払って大騒ぎしてて、ジュークボックスの音楽に合わせて大声で歌いながら、ウチのドラマーのShannonにヤツの伸びた耳たぶについて質問する振りして逆ナンパしてたんだ。その上、AC/DCの「地獄のハイウェイ」の替え歌で「チンコのハイウェイ」を歌ってたよ。ありえねぇ。まあ、それはさておき、俺の下痢を除いては凄く良いショーだったんだ。今夜もきっと良いショーができるに違いない。
このツアー、あと残りどうなるか全く見当もつかない。今までプレイしたことのない場所でもやるし、とにかく色々と上手く行くことを願うばかりだ。もう何年も…もう8年近くなるな…ツアーしてるけど常に大冒険だし、予想できないことが起きるからね。酔っ払いすぎて覚えてないこともあったりするけど、またリポートするから楽しみにしててくれよな。
※写真はテキサス州オースチンのTBDMファン、ロビーからもらった素敵なプレゼントと俺。
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