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INTERVIEW

MUCC

2016.06.09UPDATE

2016年06月号掲載

MUCC

Member:逹瑯(Vo) ミヤ(Gt)

Interviewer:KAORU

-この歌詞を表現するにあたって、どんなことを意識しましたか?

逹瑯:爽やかなんですけど、爽やかになりすぎないというか。クセとかニュアンスを抜いてった方が寂しく聴こえたり、虚無感を表現したかったので、そういう方向で。この曲も歌詞によって空気感と色が変わりますよ。内容によってはただの明るい曲に聴こえるかもしれないし。

-そういう部分にも注目して聴いたら、さらに深く曲を楽しめますね。本作のレコーディング、演奏面はどのようなことを意識しましたか?

ミヤ:「ハイデ」に関しては曲がシンプルなので、それを生音でラフにやっちゃうと気持ちよく乗れないビートになってしまうから、そこはしっかりグルーヴ重視で練習を重ねていきました。あと今回は全部一発録りなんです。

-え! そうなんですか?

ミヤ:はい。だからその場その場でグルーヴ感を調整しながらテイクを重ねて、いいテイクを選んでいきました。リズムが速い曲が多いので、粋のいい音を録るには3、4回が限度なんですよね。特にドラムは自分で叩いていてもわからないようなんですけど、3、4回通したあとはどんどん音が悪くなっていくんですよ。だから、なるべく若い音、最初の方のいいテイクが出せるように前日の練習を多めにして、本番のレコーディングは1時間で終わらせることにこだわりました。バンド感を出したいという思いもあったし、"せーの!"でやると緊張感が音に表れるので。

-複雑な展開の曲もありますし、特に「KILLEЯ」はめちゃくちゃ速いので大変そうですね......。

ミヤ:そうですね。テンポ・チェンジが5回くらいあって、転調が8回くらいあるので、最初のころは譜面を追いながらやるしかないってくらい複雑だったんですけど、それを身体に入れる時間をちゃんと作って。

-一発録りということは、すでにライヴ・アレンジができているということでしょうか?

ミヤ:そうですね。「ハイデ」は、ロケーションが良ければ日比谷野外大音楽堂とかの――俺が想像しているのは、夕暮れから夜に向かっていくというか、夏に向かっていくような空気感にしたいんですけど......うちは雨バンドなので(笑)、雨が降りそうな気がするな。前回の野音も台風だったし(笑)。

逹瑯:雨が一滴も降らなかった野音がないですからね(笑)。

ミヤ:でも"雨が上がる"という歌詞の曲をやった瞬間に雨が上がったこともあったので、奇跡が起こりそうな予感もしています。

逹瑯:雨バンドって多いですよね。みんな大事なところで雨降ってる気がする(笑)。

-さて、6月25日の日比谷野外大音楽堂を皮切りにツアー"MUCC TOUR 2016 GO TO 20TH ANNIVERSARY 孵化 -哀ア痛葬是朽鵬6極志球業シ終T-"がスタートしますね。どんな内容になりそうですか?

ミヤ:今回ツアー・タイトルが読めないんですよね(笑)。これまでのアルバム・タイトルの頭文字を並べたんですけど。20周年に向かっていろいろな企画を考えていて。やっぱり20年もバンドをやってるんだから、その20年ぶんの歴史をいろいろ楽しめるようにするんですけど、単純に早くから昔の曲を演奏するツアーをやっていかないと、もたないんですよ。新曲も4曲ありますけど、20周年ツアーのリハをしながら今回のツアーをやっていく感覚かな。いろんな時代のMUCCをセットリストに入れていくことになりますね。それから、20周年を前にアルバムも出すことになると思うので、さらに新曲も披露すると思います。

-楽しみにしてます。ところで、最近MUCCの後輩でもあるギルガメッシュを始め、解散の発表が相次いで悲しくなることが多いのですが......。MUCCは来年20周年を迎えます。ここまで長く続けてこられた秘訣はなんだと思いますか?

ミヤ:優しさみたいなものが真逆に作用することもあると思うんですよ。メンバーに対して優しいことが、逆に仇となってバンドがブレることもあるから、とにかく俺は言いたいことを言うようにしてるし、いい意味で俺は気を遣うことはしないです。他のメンバーは別の部分でそうしてくれてるのかもしれないけど。俺の場合は気を遣った時点で負荷がかかるし、ストレスになるじゃないですか。だから、長く続けてこられたのは気を遣わないでやれてるっていうことなのかなとは思います。

逹瑯:バンドが続くとか続かないとかって、わからないんですよ。まぁMUCCしかやったことがないですし。バンドが解散する理由ってバンドによって違うからわからない部分もあるけど......でも、好き嫌いの話だと、どうもね。バンドよりも、個人が先に出てきてるバンドがあまり好きじゃないというか、"自分がいるバンド"という感覚が見えるバンドがあまり好きじゃないんです。"バンドの中にいる自分はどんな役割なのか"とか、"このバンドのために何ができるのか"というバンドの方が、長く続いているような気がする。さっき言ったような個人が先に出てるバンドって、どんどんなくなるなぁって思います。必ずしもそればっかりじゃないですけどね。ギルガメッシュはそうじゃないし。理由はそれぞれだと思いますけど、そういうバンド感をはき違えてる人が続いていかないのかなって気がしますね。

ミヤ:個々の個性がぶつかり合って化学反応を起こしているバンドであれば、ずっと化学反応を起こし続けることはつらいだろうし。うちらのいいところって、活動が止まってないところなので、逆に止まってみたいなって気持ちも常にありますけどね。やったことがないことをやりたいという意味では"止まる"ことをやったことがないし。でもわからないですよ。20周年まで止まらずに来ただけで、もしかしたら20周年を終えたら疲れちゃうかもしれないし(笑)。