COLUMN
THE BLACK DAHLIA MURDERのバックステージ事件簿~事件は現場で起きている~ vol.4
Cannibal Corpse/Suicide Silence/The Black Dahlia Murderツアーの話。
この素晴らしい南アメリカツアーが近づいてくると、こんな凄い機会を与えられたことにただただ嬉しさと感謝の気持ちがこみ上げて来た。そして音楽でメシを食ってて良かったなぁと思った。もう既に10年経ってるからね。その各年が良い思い出なんだ。Cannibal Corpseと対バンできるってことは常にご褒美なんだけど、今回はまた特別で。俺たちは彼らの生き様を見ることができたよね。バンや飛行機でも彼らと一緒になり、食事も全て彼らと一緒にしたんだ。最高にクールだったよ。メタルブレイドのレーベルメイトだということもあって俺たちはCannibal Corpseとツアーする機会が今までにも4回あったんだけど、俺のヒーローである彼らとリラックスした状態でずっと一緒にいるなんて初めてのことだったんだ。人と人として関わるっていうのがね。
例えばツアー初日の夜、何時間もジョージ(96年以来Cannibal Corpseメンバーである2代目ボーカル)がMonstrosityやCannibal Corpseに加入した経緯について話してくれたんだよ。彼にとっては相当エキサイティングな出来事だったみたいで。彼はアレックス・ウェブスター(Cannbal Corpseのリーダーでベーシスト)から電話が掛かってきた時のことを詳しく教えてくれたんだけど、当時彼は叫ぶは飛び跳ねるは走るはお母さんに電話するはで…相当盛り上がったらしい(笑)。彼はホントに良い人で。ある意味大きな子供みたいな。俺もそうだけど。彼はもう何年も経った今でもデスメタルに対する情熱を持ち続けてるんだよね。そこを心底尊敬するよ。
飛行機と煙でいっぱいの会場の中を移動し続けていたせいで、なんだかツアー全体が常にボヤけたような感じだったんだけど、全部のショーが前回のツアーよりヤバかった。全てが上手くいっていたんだ。エクアドルのキトに着くまではね…。ドラムトリガー、クリックトラック、サンプラーとかが入ったハードウェアが荷物置き場から出てこない。無くなってたんだよ…。それから何日かはローカルバンドが貸してくれた壊れたトリガーをいじくりまわしてキックドラムを録ったりっていう。ここでフラストレーションマックス!こんな状況で冷静に対応してたシャノン(TBDMのドラマー)は称賛に値するね。何とか切り抜けてくれて助かった。強烈なスポンサーである南アメリカのファンも満足してくれたようだし。
俺がこのツアーで学んだことはリンゴ1つとゲータレードのボトルでボング(マリファナを吸う道具)を作る方法と、マイクグリル(マイクの先についている金属のカバー部分)に入った汚い汗を取る方法だ。ジェームズ・リンチ、それからスーサイド・サイレンスのミッチ、ありがとう。
ツアー最後のショーはメキシコシティーだった。これはツアー中最大のショーになるだろうってことだったんだけど、正にその通りだったよ。無くなってた荷物も戻ってきて、素晴らしい会場で演奏できたしね。サウンド・チェックもできたんだ。ツアー・パッケージで最初に出るバンドだからってことでさ。通常はスタートも遅いしローカル・バンドが出るからサウンド・チェックできないことが多いんだよね。それまでの1週間よりもだいぶん快適な気分でステージに登場することができたし、結果も上々だったよ。2500人のオーディエンスがどういう反応をするのか心配だったけど、The Black Dahlia Murderはまたしても彼らを取り込んでしまったのだ!ショーは信じられないくらい素晴らしいもので、この日のショーは今後も忘れないだろう。Cannibal CorpseとSuicide Silenceとの組み合わせじゃないとこんな凄い化学反応は起きなかったと思う。今回の聖戦で俺たちは確実に新しいファンを獲得することができたんだ。
物凄く楽しいツアーだったけど、それでも家は良いね。ヘトヘトに疲れてるし、酒も飲み過ぎちゃったし、しばし避難ということで。この雪の降らないクリスマスを両手と腹を広げて歓迎することにするよ。友よ、ステイ・メタル!
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