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LIVE REPORT

PaleNeØ

2025.12.14 @SHIBUYA TAKE OFF 7

Writer : 山口 哲生 Photographer:らいち

2025年3月から5月にかけて、1stアルバム『SCØRE』を掲げたツアー"PaleNeØ アルバムリリースツアー「Allegro Agitato」"を開催したPaleNeØ。その興奮冷めやらぬなか、4人は7月から2ndアルバム『FORTISSIMØ』のリリース・ツアーをスタートさせた。ツアー・ファイナルとなった東京 SHIBUYA TAKE OFF 7公演はチケットが早々にソールド・アウト。それを受けて来年には本ツアーの追加公演が東京と大阪にて開催されることも決定したが、そんなバンドの好況を物語るハイボルテージなステージを繰り広げていた。

場内が暗転し、「組曲『死者の書』 - Ⅰ. Descent to Abyss」が流れ始めると、AYARI(Gt)、REOTO(Gt/Vo)、YONA(Ba)とサポート・ドラムのCHiHOが登場し、生演奏に切り替える。重厚な幕開けから一気に壮絶なまでの熱を帯びるインスト・ナンバーを豪快に轟かせると、フードを被ったほほ美(Vo)が姿を現し、手を掲げて"始めよう"と告げて始まったのは「組曲『死者の書』 - Ⅱ. Judgment」。疾走する重音の上を、ほほ美が力強く声を張り上げ、REOTOが圧巻のソプラノ・ヴォイスでゴシックな世界観を強烈に高めていくと、「組曲『死者の書』 - Ⅲ. Crucifixion」へ。伸びやかにギター・ソロを奏でるAYARIも、太い音でボトムを支えるYONAも楽しそうにフロアを眺めていて、序盤戦から場内は凄まじい熱気に満ち満ちていた。

古今東西を問わずあらゆる音楽を飲み込みながら、キャッチー且つラウドにぶっ放すのがPaleNeØの楽曲でありスタイルだ。それもあってフロアはかなりカオスな状況と化す。前方にはモッシュやサーフで興奮を爆発させているオーディエンスが集まり、曲によってはツーステップを踏んだり、サイリウムを振り回したりする人もいる。また、「REM」ではサークルが、「ギルガメシュ闘争記」ではウォール・オブ・デスが発生。「余命一日。」に関してはバンド側が振付動画を公開していて......と、本当になんでもありの状態だ。もちろんフロアの左右や後方では、時に拳を上げつつステージを眺めている人もいて、そこにいる全員が各々のスタイルでライヴを楽しんでいる。

今回のツアー・タイトル"FORTISSIMØ"は、音楽記号で表すと"ff"だが、"f"にはそれぞれの意味がある。1つはチームPaleNeØの絆。もう1つの"f"が"Øz"(※ファン・ネーム)の絆。その2つの絆が合わさって"ff"になる──この日のMCでそんな話があったのだが、この熱狂的で自由な空間こそが、まさにその証左だったと言えよう。特にほほ美がキュートな歌声と凶暴なグロウルを切り替えながらメロディを届ける「CRAZY & NOiSY & CUTiE MAGiC!」や、超カオティックな曲展開でドライヴしていく「Crowd Surf Rider」等が組み込まれた終盤戦はとにかく圧巻で、その尋常じゃない盛り上がり具合は、双方の絆を強く感じさせるものだった。

そんなアグレッシヴなステージだけでなく、エレクトロ色が強くてクールな佇まいの原曲を生々しくビルドアップさせた「Raison d'etre」をはじめ、この日の中盤で披露された重量感のあるミディアム・ナンバーもPaleNeØの強みだ。なかでも、この日のラスト・ナンバーとして「Rain Bright」を選んでいたところは大きなポイントだろう。壮大なスケール感を持つこの曲は、ここからPaleNeØが進んでいこうとしている道を示唆しているようにも思えて、未来への期待が高まるシーンでもあった。快進撃を続けるPaleNeØは、1月12日の代官山SpaceOdd公演から始まる2026年にどんな展開を仕掛けてくるのか。とにかく楽しみにしていたい。

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