INTERVIEW
PaleNeØ
2024.11.11UPDATE
2024年11月号掲載
Member:ほほ美(Vo) AYARI(Gt) REOTO(Gt/Vo) YONA(Ba)
Interviewer:山口 哲生
2023年4月に結成された4人組ガールズ・バンド、PaleNeØ(パレネオ)。"古代"の意味を持つ"パレオ"(Paleo)と、"新世代"を表す"ネオ"(Neo)を組み合わせた造語をバンド名として掲げている彼女たち。その楽曲は実に多彩で、メタル、ロック、クラシック、ヴィジュアル系、VOCALOID、アニソン等、様々な音楽を飲み込んだ、ラウド且つ全方位型バンド・サウンドを轟かせていて、2024年6月に新宿 ANTIKNOCKで開催された結成1周年記念ワンマンも満員御礼と、注目を集めている。激ロック初登場となる今回は、12月4日にリリースされるデビュー・アルバム『SCØRE』の話や、彼女たち4人の音楽的ルーツ、パーソナリティについて話を訊いた。
-皆さんがそれぞれ思っているPaleNeØというバンドのストロング・ポイントや特徴はどんなところですか?
ほほ美:......(※小声で)みんなかわいい。
一同:はははははは(笑)。
ほほ美:いや、なんていうか、前に自主制作で出して完売した『ØCTAVE』(2024年6月リリースのミニ・アルバム)というCDの帯に"可愛いだけか、実力者か──。"というキャッチコピーがあって。それは私が考えたわけじゃないんですけど、自分たちながらこれは結構いいのでは? 合っているのでは? みたいな。ちょっと気持ち悪いですよね(笑)。
AYARI:言えば言うほど(笑)。
ほほ美:まぁガールズ・バンドなので、見た目を売りにするっていうのは汚い話ですけど、やっぱりあると思うんですよ。それプラス、ギターやベースは結構難しいことをしてるんですよね。そういうことをかわいい女たちができてるんだよってっていうのが強みなのかな。あと、PaleNeØという名前は"パレオ"と"ネオ"という言葉を合体して作った造語なんですけど、"パレオ"は"古代"、"ネオ"は"新世代"という意味で。曲を聴いてもらえば分かるように、いろんなジャンルの曲をやるバンドなんですよ。ちょっとV系チックというか、懐かしさを感じさせるような曲とか、クラシック要素がある曲もあるし、ピコピコ系みたいなものもあって。なんでもできてお客さんをいろいろ楽しませられるっていうのが、PaleNeØの強みかなと私は思います。
AYARI:被っちゃうんですけど、私もやっぱり楽曲の幅広さは強みだと思っていて。曲を作ってくれているのがREOTOと、あとは作曲者の方が2人(asanuko、くっきー)いらっしゃるんですけど、そもそも作曲者が違うのでそこで違いが出るし、それぞれの作曲者の中でも色がかなり違っているので、そこが楽曲の幅広さに繋がってると思います。個人的には、活動し始めてから1年半ぐらいですけど、コンスタントにお客さんに何かを出し続けられていると思っていて。みんなを楽しませられるように楽曲をちゃんと出したり、ライヴも毎月やったり、配信も欠かさずやってるので、お客さんを飽きさせないためにいろいろ考えて、みんなで提供してるところも強みかなと思ってます。
-そういう内容については皆さんでいろいろ話し合われるんですか?
AYARI:そうですね。配信は定着しちゃってますけど、最初の頃はどうすればっていうところを結構考えてました。あとはMVも、例えば「aLiVE」のストーリーは、ほほ美が結構考えてくれたんですけど。
ほほ美:バカっぽいMVにしたかったので、これは私の出番だ! と思って。
AYARI:結構いろいろ詰め込んでいて。その次にMVを出した「幻想曲第一番嬰ハ短調『旋律泥棒』」(『ØCTAVE』収録曲)でまた雰囲気をガラッと変えているんですけど、そこもギャップを見せたいなと思っていて。「aLiVE」はネオ曲だよね?
ほほ美:ネオ寄りだね。
AYARI:ネオ要素が強い曲の次に、お客さんにはまたちょっと違う面を見てほしいっていうところからパレオ曲の「幻想曲第一番嬰ハ短調『旋律泥棒』」を持ってきて、みたいな。そういう感じでやってますね。
-皆さんの中で"パレオ曲"と"ネオ曲"っていう分け方があるんですね。
ほほ美:お客さんに浸透してるかは分からないけど、自分たちもしくは作曲陣の中ではありますね。パレオ曲はREOTOが作ってくれているものが多いです。
AYARI:セトリを組むときも、全部パレオ曲にならないように、とか。
-いい分け方ですね(笑)。
YONA:良く言えば"曲の幅が広い"なんですけど、ちょっとごちゃごちゃしてるなっていう捉え方をしてしまう人もいると思うんですよ。でも、PaleNeØはとにかくいろんなことをやっていきたいので。そこはやっぱり強みですね。
REOTO:僕も似た感じにはなるんですけど、強みはやっぱり楽曲の振り幅、見せ方の振り幅ですね。ネオクラシカル・メタルとかは昔からあると思うんですけど、それとはまた違った感じで見せていけるパレオの要素だったり、ネオ曲だったらVOCALOID色が強いものとか、今回のアルバムに収録されている「CRAZY & NOiSY & CUTiE MAGiC!」も、バンド・サウンドではあまりないタイプのダンス・チューンが盛り込まれていたり。そういうサウンドの面白さがありますね。あと、お客様からも声をいただいていますが、PaleNeØはライヴがすごく映えるというか。
ほほ美:うんうん。
REOTO:メンバーのパフォーマンスもそうなんですけど、盛り上げることが得意なお客様が多い印象もあって。すごく恵まれているなって、個人的にこの1年半の活動の中で感じてます。お客様と一緒に楽しいライヴをたくさん作り上げてきた感じがありますし、まだ来たことのない方は一度ライヴを観にきてほしいという思いが強くありますね。
-ほほ美さん、頷いてましたね。
ほほ美:はい(笑)。音源もいいけどライヴをぜひ観てもらいたいです。お客さんにはBABYMETALファンの方も結構多いと思うんですけど、メタルコアとかを聴いてライヴに行ってハーコーするお客さんもいるんですよ。それもあって、最初の頃に出した「ギルガメシュ闘争記」(2023年6月15日リリースの1stシングル『PANORAMA』収録曲)はウォール・オブ・デスができる場所もあってライヴの定番曲なんですけど、それを楽しみにしている人もいるし、ツーステできる曲もあったり、歌詞もライヴでやってもらいたいと思って書いたところが何ヶ所かあったりして。なので、うちのバンドは音源だけじゃなくて、お客さんも楽しみながら観れるライヴになってます。
REOTO:うん。観ても聴いても楽しい音楽を目指しています。
-楽曲に関しては、REOTOさんも作詞作曲されていて、その中でもパレオ曲を作ることが多いと。それこそご自身の好きな音楽にそういったものが多いんですか?
REOTO:そうですね。中学生の途中ぐらいまではクラシック一本でやってきていて。ピアノとか、ヴァイオリンをかじったり、トランペットでオーケストラに参加したり、クラシックの楽器をメインにずっとやっていましたし、音楽も聴くのはクラシックのみでした。今でも作曲をするときや演奏するときの根底にはクラシックがありますし、もともとはクラシックの作曲家を目指していたのもあって、そういう経験を活かせないかなと思っていたので、このバンドのコンセプトを決めるタイミングで、クラシック要素とか昔の音楽の良さを活かせるものをやっていきたいっていうのはありました。
-ポップスだったり、バンドとかはあまり聴いていなかったんですか?
REOTO:中学2年とか3年くらいのときにやっとポップスに触れる機会に巡り合って、ちょこちょこ聴くようになって。ロックにのめり込んだのは高校ぐらいからだったと思います。
-そっち方面のルーツや好きな音楽というと?
REOTO:最初にいいなと思ったのはスピッツさんでした。ベスト盤か何かのCMだったと思うんですけど、朝学校に行く前にテレビでサラッと流れたのを聴いて、すごい素敵な声だなと思って、すぐに聴き始めました。そこから邦ロック等をお友達の勧めとかで聴いていたんですけど、軽音部に入って地区のバンド・イベントに出たときに、対バンした他の学校のバンドさんがELLEGARDENさんのコピーをやっていて。そこからパンク・ロックやラウドロックを知って、そういう音楽もいいなと思って聴き始めました。今はどんな音楽もとりあえずどんどん聴いてみて、いいなと思ったものを取り入れたいので、食わず嫌いせず全部聴くっていうタイプですね。
-そういったご自身の経験や好きなものを全て出してみようと。
REOTO:自分にしか出せない色みたいなものを音楽で表現したいなっていうのは、小さい頃からなんとなくずっと思ってましたね。僕の中でパレオ曲はクラシックだけじゃなくて、大人の世代が聴いたときにちょっとホッとするような懐かしい音楽というか。80年代、90年代の歌謡曲とか、あとはヴィジュアル系とか、そういうのもちょっと入れて、その世代の方が聴いたときにドキッとしてくれるようなものを目標にしていて。そういった音楽を令和の音楽に結びつけたら面白そうだし、あんまりそういうことをやっている人を見たことがないなと思ったので、このバンドでならできそうだなと考えて挑戦しています。
-では、YONAさんのルーツや好きな音楽というと?
YONA:私は音楽に触れたきっかけがAqua Timezさんなんですよ。そこでバンドという形態を知ってベースに興味を持ったんですけど、幼少期とか学生の頃はヴィジュアル系ばっかり聴いてました。REOTOはパレオ曲でそこの要素をいい感じに取り入れてくれるのが面白いし、聴いていた当時の記憶がよみがえってくるというか(笑)。上手く表現してくれているのはすごく好きなポイントですね。
-ちなみによく聴いていたヴィジュアル系バンドというと?
YONA:ネオヴィジュアル系と呼ばれていた世代で、バンド名で言ったらRoyzさんがめちゃくちゃ好きでハマって通ってました。ヴィジュアル系にもコテ系とかキラキラ系とか、いろんなジャンルがあるんですけど、私はキラキラ系が特に好きでしたね。
-AYARIさんのルーツミュージックとか好きな音楽はどんな感じなんです?
AYARI:ギターは7弦を使ってるんですけど、使い始めたきっかけはBABYMETALさんでした。なので、メタル系も結構耳馴染みはあるんですけど、ボカロ曲とかアニソンもちょこちょこ聴いていたし、あとは"BanG Dream!(バンドリ!)"のRoseliaさんとかPoppin'Partyさんとか、そのあたりにハマってギターを始めた感じだったので、邦ロックみたいな音楽も結構聴くし、有名どころも聴いたりするので、結構幅広いかなと思いますね。EDMとかも好きなので。ただ、ギターとなると、やっぱりBABYMETALさんだと思います。神バンドさんに憧れてスウィープとか速弾きの練習をしていたので。ギターの練習を始めて1~2年はそれをひたすらやってました。
-ギターを始めて1~2年目でBABYMETALさんって......。
AYARI:いや、もうハマっちゃったんですよ。とにかく弾きたいと思っていたんですけど、まぁ無謀な(笑)。
-それでも私はこれを弾けるようになりたいんだ! という。
AYARI:そうですね。まだきれいには弾けないですけど、いい練習になったかなと。やっぱり楽しく自分の弾きたいものを弾くのが一番ですからね。まぁ、そのレベルがたまたまめちゃくちゃ高かったっていう(笑)。
-ほほ美さんはいかがでしょう。ご自身のルーツだったり、好きな音楽というと。
ほほ美:小さい頃は親の影響で西野カナさんとか大塚 愛さんを聴いてたんですけど、実はBABYMETALさんやあんきも(Unlucky Morpheus)さんとかも聴いてたんですよ。でも、好きだけど、こういうジャンルってなんていうのか分からないなと思って、とりあえず分かりやすいVOCALOIDとかアニソンをずっと聴いていて。で、高校で軽音部入って、ヴォーカルをやっていたんですが、顧問の先生がSiMさんがすごく大好きで。その先生に"デスボやってみなよ"って言われまして、「KiLLiNG ME」を教えていただき。
-なかなかの顧問ですね(笑)。
ほほ美:そのときちょうどOBの人も来ていて。デスボ、シャウト、V系好き、あとはcoldrainさんとかめっちゃ好きみたいな感じで、"何これ、めっちゃかっこいいじゃん!"って。それで私はラウドロックとかが好きなんだっていうことに気づき、いろいろ聴いていったら、あんきもさんとかもそうだったのか! って知ったり。そこから曲をどんどん探していくうちに、私も基本的になんでも聴くんですけど、明るいよりもちょっと暗い曲が好き、ギターは多弦のほうが好き、バスドラは気持ち悪いのが好きとか、いろいろ分かってきて。だからもとを辿ると、顧問の先生が教えてくれた「KiLLiNG ME」が本当に私のスタートの曲だったなって。
-なるほど。
ほほ美:うちの軽音部が結構強くて、カバーの大会で優勝したりしたんですよ。楽器陣がすごい人たちで結構ハイレベルな曲ばっかりやっていたので、それでどんどん軽音部のモチベーションが上がり、大学に入って軽音サークルに入ったんです。そのときにAYARIと一緒だったんですけど、そのときにあんきもさん、coldrainさん、あと何やったっけ? BABYMETALさんもやったよね?
AYARI:うん、やった。
ほほ美:で、どんどんこっち系の界隈の曲にズブズブになっていき......っていう感じでしたね。だからルーツはアニソン、ボカロ、ラウドロックになるのかな。