LIVE REPORT
アルルカン
2025.10.26 @渋谷CLUB QUATTRO
Writer : 杉江 由紀 Photographer:川島 彩水
あの頃、葛藤だけでなく悲痛さまでをも滲ませていたその歌は。今宵、眩しい程の希望を湛えた誓いの歌としてこの場に力強く響き渡った。
"今日で丸12年。日付が変わった途端、いっぱいメッセージを貰いました。「出会えて良かった」って。自分のやっているバンドが、誰かの何かのきっかけになってるんだって、それだけのパワーを自分たちは持ってるんだっていうことを、改めて急に感じられて。なんか誇らしい気持ちです。数年前までは......愛されることに対して少しの後ろめたさというか、そういうものはいつか消えてしまうというんだろう、というなんとも言えない想いを持ってました。でも、今はこうして愛されていることに対してとても誇らしい気持ちしかなくて。
「見つけられて良かった」って言われると嬉しいし、自分たちはそれだけのものを「此処」から発信してきたけど。でも、それは鳴ってるときにはもう音でしかないから。僕たちが発信したものは、君が受け取ってくれて初めて価値が生まれるんだと思う。きっとこの音が僕たちを都合良く救ってくれることは一生ないし、僕も君を救うために歌ってるわけじゃない。俺は俺のために歌ってる。その音を君が自分自身の握力で掴んで、それが君の役に立ったとき、僕等は初めて誇らしい気持ちになれるから。これから最後に歌う曲を、今日も受け取って帰ってね"
こう語ってから本編最後に暁が歌い出したのは「世界の終わりと夜明け前」。何かと不条理な出来事ばかりがまかり通っていた、コロナ禍真っ最中の2021年夏に発表されたこの曲は、ここに至るまでの間にライヴの場で歌詞の一部がその時々により変化してきた特徴を持つ。例えば、"君は 何処へ行く"という歌詞は"君を 連れて行こう"ときて、今回の記念すべき"ΛrlequiΩ 12th Anniversary Live「声息」"では"君と何処へ行こう"という形に。また、もともと"照らせよ 照らせよ 僕の世界を"だったところも、この日は能動的な"照らそう 照らそう 僕らの未来を"という詞にて歌われたのである。
また、そうした自信の程は、最新シングルの表題曲になっている「ARTIST」や同作のカップリング曲「SP4RK」の完成度およびライヴでの表現力にも、如実に反映されていた印象だ。端的に言えば、フロントマン 暁だけでなく、ギタリスト 奈緒&來堵、ベーシスト 祥平もそれぞれに逞しさを増したということなのだと思われる。
だからこそ、アンコールで来年の情報が発表されたときには、ただただ期待だけを感じることができた。なんでも年明けには東名阪ツアー"DAWN"を行った後、3月1日にはEX THEATER ROPPONGIにて甘い暴力、キズ、DEZERT、MUCCを迎えての主催イベント"束の世界-SONOSEKAI-2026"を開催。さらに、3月25日にはニュー・アルバム『imagine』をリリースし、それに伴った全国ツアーで25公演を経て、9月6日にはZepp Haneda(TOKYO)でのファイナルを実施することが決まっているそう。
加えて、このライヴの終了をもって2023年秋から約2年の間"ΛrlequiΩ"と表記していたバンド名をもとの"アルルカン"表記に戻すことが告げられた上、"ダメ人間"(アルルカンファンの名称)たちへの素直なメッセージが込められている楽曲「DROPLET」がアンコールの最後に奏でられたのも、非常に重要なポイントだったと言えるはず。
"2026年はマジで野心を持って攻めにいくから。今まで以上にアルルカンとして君たちをその気にさせてみせます。しっかり着いてこいよ、お前等!!"(暁)
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