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INTERVIEW

アルルカン

2022.08.08UPDATE

2022年08月号掲載

アルルカン

メンバー:暁(Vo) 奈緒(Gt) 來堵(Gt) 祥平(Ba) 堕門(Dr)

インタビュアー:杉江 由紀

事実は小説より奇なり。突き刺さってくる、赤裸々な言葉。胸に響いてくる、説得力しか詰まっていない音。アルルカンが今この機に世へと放ったシングル『PICTURES』の表題曲は、ある種の問題作だとも感じられるほどに大胆な内容ではあるが、これはあくまでもノンフィクションな作品となった。現実は時に残酷で、真実は作り話よりも圧倒的な印象を持つ。アルルカンの辿ってきたここまでの約9年という日々の中で起きてきた様々な出来事。その時々で、フロントマン 暁が感じてきたこと。あるいは、バンド内で起きていた事態のあれこれ。彼らがここから先の未来へと進んでいくための、これはひとつの大事な関門なのかもしれない。


賛否両論が出るのは最初からわかってましたよ(笑)


-先だって、7月11日に「PICTURES」のMVがYouTube公式チャンネルにて公開となった途端、Twitterではアルルカンの名前が賛否両論の巻き起こるかたちで盛大にバズることとなりました。ちなみに、その状況に対して奈緒さんは、"早速PICTURESが賛否両論で話題になってるようでありがたいです"とコメントされていましたけれど、今回のあのようなリアクションはバンド側からしてみるとある意味では想定済みであった、ということになるのでしょうか。

暁:そりゃあもう、最初からわかってましたよ(笑)。

奈緒:この曲メロディがサビ以外ほとんどないですからね。もともとうちの歌メロが好きだっていうタイプの人たちからは、ちょっと拒否反応が出る可能性もあるのかなと僕も予測はしてました。ただ、たまにはこういう曲があってもいいと思うし、ひとつの話題作りとして考えたら面白いんじゃないかとも考えてたんです。

-たしかに、今回の表題曲「PICTURES」は、全5分21秒のうち大半が暁さんによるポエトリー・リーディングによって綴られていく斬新な構成です。最新アルバム『MONSTER』(2022年2月リリース)の表題曲でも、大胆なかたちでのポエトリー・リーディングを聴くことができていましたが、これはそこからさらなる新境地へと大きく踏み込んだようなかたちですものね。

奈緒:この「PICTURES」がアルルカンのすべてというわけじゃないし、これよりいい曲だってうちにはいろいろありますけど、その代わり現時点でこれがうちの曲の中で最もぶっ飛んでる曲なんですね。今回はあえてそこを思い切って打ち出したかったんですよ。

暁:こういう曲を作ることになった直接的な切っ掛けとしては、やっぱり去年"武道館(日本武道館)に立つ"って公の場で口に出したことが大きかったと感じます。もちろん、口から出任せとかで言ってるわけじゃないし、マジで狙っていこうっていうモードに今このバンドがなっているなかで、次にどんな作品を世に出すかと考えたら、『MONSTER』の単なる延長線上に目指すべきものがあるとは思えなかったんですよ。あのまま進めばいいだろうとはメンバーの誰もならなかったし、もっと自分たちのオリジナリティを高めなきゃいけないのはよくわかってたんで、新たな挑戦ありきの曲が今このタイミングで必要だったわけでね。具体的には、前回の『MONSTER』で獲得した自分たちの強みの部分=ポエトリー・リーディングを、さらに前面に打ち出すことにしました。聴く人の心を、より強く動かすことができる曲が欲しかったんです。

-ヴィジョンがそれだけ明確だったなかで、この曲の成り立ちとしては、まずどのような原形からいかなる進展をしていくことになったのです?

奈緒:原曲は僕が作ったんですけど、当初の時点ではまだ実はノープランな状態でスタートしたんですよ。決まってたのはスケール感くらいで、広いイメージの曲にしたいっていうことくらいしか見えてなかったのもあって、そこから何曲か作ってはボツにしてっていう状態が続いてたのかな。それで、4、5曲目くらいの段階でプロデューサーから"これだったらいけそうだね"っていう言葉が出てきたのが、今回のこの曲だったんです。もっとも、その時点だと僕はまだそれでも"見えて"ませんでした。

-そのプロデューサーというのは、昨年の『世界の終わりと夜明け前 / サイレン』から ずっと共同作業をしているYUTARO(ex-LAID BACK OCEAN/sads)氏のことですね。

奈緒:まぁ、最初のうちはYUTAROさんも"これ、めっちゃいいじゃん!"って言うほどではなかったし、自分としても、いつもだったら早い段階で浮かんでくるはずのサビメロが、なぜかまったく浮かんでこなかったんで、正直"ほんとにこの曲でいいのかな?"って若干疑問に思いつつではあったんですよ(苦笑)。でも、とにかくまずは暫定的な状態の曲をメンバーに出してみることにしたら、案の定それに対する反応も"すごくいいじゃん!"っていう感じではなかったんです。そして、とりあえず歌詞を乗っけてみますかということにもなったけど、その段階でも全然まだピンとこない感じでした。

暁:そのときに乗せた詞はこの完成形とはまた別のものだったんですよ。そもそもこの曲にはメロディがついてなかったし、ポエトリー・リーディング主体でいくっていうことも決めてましたけど、最初に書いたその詞はまだ核心に届いてなかったんですよね。でも、そのあとメンバー間で話を詰めていくうちに、音がだんだんガツンとしたものになっていって、それに触発されるようなかたちで、自分ももっと曝け出すような詞を書いてみようとなったところから、ようやく「PICTURES」のこの完成形に近づきだしていったという流れでした。

-そうなりますと、まずバンドとして「PICTURES」のオケを作っていくときに、"掴めた"感を得られたのは何がきっかけだったことになりますか。

奈緒:基本的にサビまでは同じフレーズをずっと繰り返していくような曲なんで、客観的に考えると「PICTURES」は結構"つまんない"曲ではあるんですよ。ただ、今までの自分たちがやったことのないタイプの曲である点では、どうなるかわからないっていう面白さがあったことは間違いないんですよね。そこを各メンバーが意識していったときに、この曲はこの曲ならではの力を持っていったことになるんじゃないかと思います。

-リズムを担う堕門さんは、この「PICTURES」と向き合っていく際にどのようなことを特に意識されましたか。

堕門:とにかく「PICTURES」の場合、歌詞にこれだけパンチがあるっていうことが一番大事だと思うんですよ。だから、ドラマーとしてはその詞をどこまで際立たせることができるのか? ということを意識してました。16分をしっかりと刻んでいくことで、あまり目立つことはせずに淡々とプレイしていった感じというか。この曲に関して言えば、昔みたいな"俺だ! 俺だ! 俺だ!"っていうスタンスの叩き方はしてません(笑)。

-では、ベーシストである祥平さんが「PICTURES」を弾いていくうえで、大事にされたのはどのようなことでしたか。

祥平:曲調そのものは単純なんで、まずはノリをどう出していくかが大事でしたね。キッチリただ正確に弾くというよりは、いわゆる人間臭さみたいなものを醸し出していくようにしたかったし、のちのちライヴでやったときに楽しめるようにっていうことも予測して、考えながらレコーディングしていきました。実際にこの間初めてライヴでやってみたら、自分のイメージしていた雰囲気にかなり近いものを感じたし、まだまだここからやり込んでいく必要はあるにせよ、下でどっしりしたノリを出す方向を目指したのは間違ってなかったな、という手応えを感じることができたんで良かったです。

-その一方で、ギター隊のアンサンブルは、來堵さんと奈緒さんの間で原形からいかにしてこの完成形へと辿りついていくことになったのでしょう。

奈緒:サビ以外では同じことをしないのが基本姿勢でした。感覚的にポエトリー・リーディングの後ろでは、ギターを弾いているというより、シンセのシーケンス・フレーズみたいなものを、ギターでウワモノ的に鳴らしていくイメージですね。そして、サビに関してはバンドでドーン! といく感じになるので、そこはあくまでもギターらしい音でしっかり弾いていくようにしました。暁の声とギターが無駄にぶつかり合わないように、こっちはこっちで地味にやってます! という意識で弾いていきましたね。

來堵:最初は僕もアルペジオを入れたりしようかなと考えたことはあったんですけど、奈緒のフレーズがどんどんシンプルになっていったんで、俺もシンプルなストローク感を大事にしていこうってなりました。普段だと、リフものの場合は結構シビアに精度を高めてふたりで合わせていくことも多いんですよ。でも、今回は奈緒がそのへんのジャッジをあえて少し甘くしてくれて、俺の個人としてのストローク感や音を生かせたのかなと思いますね。すごく"生きてる"感の強いギターを弾けた気がしてます。

-「PICTURES」では何よりも暁さんのヴォーカリゼイションの存在感が強いので、どうしても聴き手の耳はそこに引っ張られがちになってしまうのですけれど、それでいてこの曲がそれでもなおアルルカンの作品として見事に成立しているのは、まさにメンバー全員の発する力強い音が"生きている"からなのでしょうね。

暁:(※深く何度も頷く)