LIVE REPORT
LM.C
2022.08.01 ＠渋谷duo MUSIC EXCHANGE
Writer 杉江 由紀 Photo by Mirai Yamashita (Progress-M)
多少の遠回りや、途中でひと休みをはさんだのだとしても、結果的に彼らがたどり着きたい場所に立つことができたのなら、答えとしてはたぶんそれがすべてだった。
"今回のツアーはmaya（Vo）の流行り病とか、自分の身体のこととかいろいろあって、15年LM.Cをやってきた中でこんなに予想外なことってなかったし、完走できるのか不安だったこともありましたが、最後まで諦めずにやりきることの大事さも学べたツアーでした。ほんと、ライヴをやれるっていうのは当たり前じゃないっていうことを、改めて実感しましたね。まぁ、急な振替だったんで今回は来られなくなってしまったという人もいると思いますが、来月にはLINE CUBE SHIBUYAでまたやるんで。そこでもみんなで炸裂していきましょう！！"（Aiji／Gt）
今春に久々のアルバムとなった最新作『怪物園』を発表し、そのあとは本来であれば春の終わりの段階で完了していたはずのツアー"LM.C TOUR 2022 「怪物園」"が、なんとこのたびようやくのファイナルを8月1日の渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて迎えることになったわけだが。ヴォーカリスト、mayaの体調不良によるツアーの一時中断に加え、そのあとに仕切り直してからのツアーがいよいよファイナルを迎えるとなったそのタイミングで、今度は公演前日にギタリスト、Aijiの突発性難聴が発覚してライヴが再延期になってしまうという紆余曲折な事態は、海外ドラマの脚本並みな試練を彼らに与えることにはなってしまったものの、一方では日程変更と共にライヴ会場が変更になったことによって、政府ガイドラインは遵守したうえでの"発声"が可能になる、という思わぬメリットも生むことになったのだという。これぞヒョウタンから駒、もしくは禍福はあざなえる縄のごとし的な超展開である。
"ご覧のとおり、久々の発声ありのライヴということですがイケますか？ 今までたくさん我慢してきたり、調整してきたと思うんで、その想いを今日は思い切りぶつけていってください。まぁでも、別に無理して騒ぎ散らかす必要はないし。ただ、もう我慢しなくていいっていうことではあるんでね。みなさん、好きにやっちゃってください！ よろしくお願いします！！"（maya）
アルバム『怪物園』の内容を踏襲するように、オープニングはSE「開園」から始まり、ラストもSE「閉園」で締めくくられることになった今回の公演は、『怪物園』の楽曲たちを軸にしつつも、その中身は15周年を迎えたLM.Cの真髄と真骨頂が詰まったものとなっていた印象が強い。例えば"誰も奪えないMelody 途切れないように 積み重ねる 最高のFantasy"という歌詞が高らかに響いた「DOUBLE DRAGON」や、"輝きながら 泣いて笑った この居場処は 誰にも譲れない／加速し続ける 向かい風の中 その声を守るから"というメッセージが聴き手側の心に刺さってきた「星の在処。-ホシノアリカ-」では、LM.Cがこれまでずっとブレずに貫いてきた、音楽とファンに対する深い愛情と尊き矜持が、彼らのパフォーマンス全体からあふれていたように感じたのだ。また、そんなLM.Cのスタンスに応えるべく、歌ったり歓声をあげたりして明確な意思表示をしていたファン側の発する雰囲気からも、強い心意気を感じたのは言うまでもなかろう。
昨年10月から続いてきたLM.C 15周年イヤーの最後を飾ることになる、LINE CUBE SHIBUYAでの次なるワンマン公演[LM.C 15th Anniversary Live "左耳のピアス。"]は来たる9月25日。たとえ遠回りをしても、少しくらい休んだとしても、LM.Cの頼もしき歩みが止まることはない。
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