DISC REVIEW
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その名にたがわず、音の面でも歌詞の面でも不穏にしてカオスな空気感が濃厚に漂っている。ポップなメロとノイジーなギターが混在する「Happy Zombies」はコロナ禍よりも前に生まれた曲でありながらそれを思わせるものになっていたことが不思議であるし、「Valhalla」は昨今の危うい世界情勢を予言していたかのような詞の内容と尖ったヘヴィな音像が恐ろしいほどにシンクロするのだ。「Elephant in the Room」で歌われる"見事に混沌たる世界"とは、フィクションとノンフィクションが交錯するなかで描かれる2022年の今そのものを指しているように思えるが、一方で作り込まれた刺激的なサウンドは快感と恍惚を得られるほどにエキサイティング。怪しくも楽しい怪物園へ、ようこそ――。 杉江 由紀