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LIVE REPORT

MUSASHI ROCK FESTIVAL2020

2020.01.13 @豊洲PIT

Writer 宮久保 仁貴 Photo by (C)PFP

K-1界のレジェンドこと武蔵がオーガナイズ、"ムサフェス"こと"テレ・マーカーpresents MUSASHI ROCK FESTIVAL2020"が豊洲PITにて開催された。武蔵が自らの現役生活に幕を閉じるべく、2010年10月に開催された"ムサフェス"から約10年が経過。今回もまた、"格闘技×ロック"をテーマに掲げ、武蔵との"絆"のもとに戦友(とも)が集結した。日本の格闘技界からは、武蔵が推薦する後輩として麻原将平、T-98、山下力也。武蔵と時を同じくしてK-1の一時代を築いたアーネスト・ホースト、ピーター・アーツ、そして彼らが推薦するピエトロ・ドゥリャ、イリアス・ボカユア、バダ・フェルダオス。ロック・レジェンドとしてはSEX MACHINEGUNS、OLEDICKFOGGY、Do As Infinity、coldrain、10-FEET。この日、豊洲PITはひりつくような熱狂、そして、レジェンドたちから放たれる重圧に包まれていた。

オープニング・ムービーがステージに映し出されると共に、場内後方の"Battle Stage"リングではMCが高らかに"ムサフェス"開幕宣言を行う。ほどなくして、ピーター・アーツ、アーネスト・ホースト、武蔵がリングに並び立った。うーん、一頭身離れているどころではない。身体的にもそうなのだが、彼らは縦にも横にもデカく、みんなオーラが満ち溢れている。まるで漫画"グラップラー刃牙"シリーズの登場人物がそのまま出てきたかのようだ。

アーツとホーストが日本の兄弟である武蔵とファンへ彼らなりの"押忍"を放ったあと、本日のオーガナイザーである武蔵からもコメントが。"僕の大好きなロックと格闘技の融合、余力を残すことなく楽しんでください!"。始まる前から感極まって漢泣きする武蔵と、彼の肩をさするホースト。これもまた、同じ戦場を共に戦った戦友だからこそできることだろう。

"Live Stage"のトップバッターを務めるのは、2010年開催の"ムサフェス"にも出演し、激ロックでも武蔵との馴れ初めを語ってくれた、ANCHANG(Vo/Gt)率いるSEX MACHINEGUNSだ。「みかんのうた」、「ONIGUNSOW」と初っ端からキラーチューンを連発。攻めの姿勢を見せつける。MCでは"今日はオープニング・アクトやから~"なんておどけ、いつものANCHANG流のユルボケMCで場を和ませている。「プライド」、「桜島」と攻める姿勢を引き続き見せ、「German Power」ではSHINGO☆(Ba)が一部歌詞を"ムサフェス"に変えて熱唱する場面も。"対バン・キラー"とSEX MACHINEGUNSは昔からよく言われたものだが、この"ムサフェス"でも初っ端から見せつけてくれた。

ブレイクを挟み、ラスティック・バンド OLEDICKFOGGYがステージに上がる。この日、彼らは代表曲「月になんて」からスタート。バンジョーとアコーディオンによる牧歌的な雰囲気の中、伊藤雄和(Vo/Mandolin)の熱唱からはいい意味で西部劇的な泥臭さが漂ってくる。MCでは伊藤が武蔵に感謝を述べたあと、4曲続けて演奏を継続。新譜『POPs』収録の「日々がゆく」や、「シラフのうちに」などを繰り出し、オーディエンスの視聴覚をかっさらっていく。1月も中盤の真冬の中、6人から舞い起こった一陣の清々しい熱風が豊洲PITを貫いた。

いよいよ"Battle Stage"にて格闘技パート第1試合(ライト級)がスタート。武蔵の直の後輩でありキックボクサー/空手家の麻原将平、アーネストが推薦するピエトロ・ドゥリャが拳を突き合わす。絞り込まれたドゥリャの背面には、鬼が宿っているかのよう。かたや、麻原の眼差しはギラギラに殺意満点。1~2Rはキックの打ち合いから始まり、麻原が果敢にドゥリャのボディにラッシュを決め込む。ドゥリャは手数こそ少ないものの、緻密にヒットを狙いにいくスタイルを見せた。インターバルでは武蔵/アーネスト両陣営共に本人からの叱咤激励が! 3Rでピエトロは麻原の足を着実に攻め、彼の体力を徐々に削っていく。後半では麻原の回し蹴りが豪快にヒット。3Rが終了し、判定の結果はドロー。終わった直後にはドゥリャが麻原を抱っこしたり、リング上でお互いに腕立てをするなど、始まりから終わりまで気持ちのいい試合が展開された。

間髪入れずに再び"Live Stage"がスタート。続いてはDo As Infinity (以下:Do As)の登場だ。「Engine」では大渡 亮(Gt/Vo)がギター・ソロを弾き倒し、「GET OVER IT」ではファジーなベース・サウンドが会場を揺らし、DoAs流のヘヴィ・ロックを披露した。"10年前はムサフェスを客席で観ていて......"と、MCではヴォーカル 伴 都美子が"絆"を感じさせるエピソードを話す。続く「僕たちの10th Anniversary」では、若かりし頃から現在に至るまでの武蔵の映像と共に演奏がスタート。そして、小野正利(GALNERYUS/Vo)がゲスト参戦し、彼の代表曲「You're the Only...」を伴とデュエットする。曲に入る前に、伴の口からDoAs結成のきっかけは、オーディションで「You're the Only...」を歌ったことだったと告げられた。小野からは過去GALNERYUSの「絆」のMVに武蔵が出演、そして、一時期小野のヴォイス・トレーニングの生徒として武蔵が通っていたことも発表。こんな深い"絆"の演出をされるなんて、もはや今日のクライマックスかな......? とも思わせられる。その後、DoAsは「冒険者たち」、「本日ハ晴天ナリ」と往年の名曲を披露し、着実にフロアのヴァイブスを高めていった。

興奮が冷めないまま、続いては"Battle Stage"第2試合(ミドル級)開始だ。ムエタイゴリラ歴10年と豪語するのは、武蔵が推薦するT-98。かたやピーターの選出により選ばれたのは、オランダからの刺客、イリアス・ボカユア。ここでMCは交代し、なんと2010年の"ムサフェス"にも出演したマキシマム ザ ホルモンからダイスケはん(キャーキャーうるさい方)が登場した! 武蔵の"絆"の深さを改めて感じられる。

R1ではボカユアの派手な大振りが目立つなか、後半では着実にT-98がリードを取っていく。インターバルでのピーターのアドバイスにより、R2は、ボカユアはより精密な攻めとカウンターを見せる。汗が派手に飛び散る瞬間に、思わずこちらも握り込んだ拳から手汗が止まらない。R3では激しいイン・ファイトでの打ち合いが行われ、T-98が確実に場を制する結果となり、第2試合はT-98の判定勝ち。ダイスケはんからトロフィー授与が行われたあと、"これを機会に、キックボクシングの応援にも来てください!"とT-98からオーディエンスと格闘技への感謝の意が述べられた。