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LIVE REPORT

ASIAN DUB FOUNDATION|2011

2011.03.04 @渋谷O-EAST

Writer 石井 理紗子

THE QEMISTS

人で溢れかえるO-EASTのフロア。19時5分。暗がりの中からスペシャル・ゲストのTHE QEMISTSの姿がノイズと共に浮かび上がっていった。

ステージ左からドラマーのLeon Harris、ベース&サウンド・プログラミングのDan Arnold、ギターのLiam Black、ゲストに2人の男性MC。のっけからの高速ドラムンベースに叩きつけるようなシャウト。攻撃的なパフォーマンスに、若干余裕があったはずのフロアはあっという間に埋まり、ぶつかり合う轟音にモッシュが起こる。そして一緒になって叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ!空気が一気に熱くなっていく。

中盤では黒いセクシーな衣装に身を包んだ黒人女性MCが登場。激しくステップを踏みながら低めのパワーのある迫力ヴォイスで圧倒していく。まさにDance&Screaming!オーディエンスも負けじとダイヴで応酬する。そしてまた2人の男性MCへ入れ替わり、今度はファルセットや幻想的なサウンドを合わせ、オーディエンスの感触をたしかめるようにじっくりリズムを刻み、うねるような心地よい音の渦へ引きずり込んでいく。

終盤はダンスビーツを効かせたナンバーを踊らせながら、ヴォルテージは全開に。完全ヒートアップしたフロアに「Stompbox」のサイレンが鳴り響く。ヴォーカルレスで魅せる彼らの真骨頂だ。そして、最後を飾るのはENTER SHIKARIとのコラボで知られる「Take It Back」。湧き上がるオーディエンスからタオルが投げ込まれた。ENTER SHIKARIのタオルだ。心憎い演出にニヤリと笑い、誇らしげにタオルを掲げ、歓声に包まれながら彼らは去って行った。

45分の短いステージだったが、メインアクトであるASIAN DUB FOUNDATIONに劣らない素晴らしいものだった。次は是非ロング・セットで魅せてくれることに期待したい。

ASIAN DUB FOUNDATION


「Bridge Of Punkara」が流れる中、ステージに上がってくるASIAN DUB FOUNDATIONのメンバーを1人1人歓声と共に熱狂的に迎え入れる。彼らにはドラムというパートが存在しない。代わりにあるのはタブラとドールだ。どちらもヤギの皮を張ったインドの民族打楽器で、ADFのエスニックなサウンドには欠かせない。

"コンバンハー、トーキョー!"MCのAktarv8rが日本語で叫ぶ。そして、"コレカラミンナデサワギマクレー!"と続け、"ワァーッ"と歓声が沸き上がる。始まったのは「Rise To The Challenge」だ。ステージのセンターでPrithpalのドールの音が響き渡る。「Rise To The Challenge!」と、サビではオーディエンスとメンバーの声が合わさる。最初から物凄い一体感だ。

Aktarv8rとMCのAl Rumjenが顔を見合わせて歌い始めたのは「Take Back The Power」。手拍子に沸く会場にドラムンベースがうねる。次々と突き上げられる拳にフロアのテンションも更に上がってきているのがわかる。そして赤いライトが点滅する中「Urgency Frequency」と畳みかける様に続く。その勢いを一度落ち着けるかのように一呼吸おいて始まったのは「Target Practice」。ミドル・テンポのナンバーにまたもやオーディエンスは大合唱だ。

続く「A New London Eye」では黄色い眩しいばかりのライト・アップも相まってまるで野外で青空の下にいるような解放感に満ち溢れていった。一方「Speed Of Light」ではステージに青いライトで渦が描きだされ、まるで海の底から見上げているかのような浮遊感にフロアのオーディエンスも右へ左へと揺れる。光と音の渦に誘われてどこか異空間に来てしまったかのような錯覚をせずにはいられない。

そして、"チュニジア、エジプト、リビアの人に捧げる"という言葉と共に演奏されたのは「A History Of Now」。彼ららしいMCだと誰もが思っただろう。更にメッセージの強い「Future Proof」「Burnig Fence」と立て続けに演奏し、フロアはモッシュの嵐で熱気を帯びていく。そんなタイミングを計ったかのようにChandrasonicがおもむろに手を広げ、空を飛ぶ真似をし始めた。「Flyover」だ。差し向けられるマイクにオーディエンスが待っていましたとばかりに"Flyover!Flyover!"と叫ぶ。この日最もメンバーとオーディエンスの心が合わさった瞬間だったのではないだろうか。

そしてライヴは一気に終盤へと向かう。Martinが歌う「Dhol Rinse Jam」、フロアがジャンプで波打つ「Naxalite」、踊らずにはいられないビートが響く「Oil」。熱気のうちに、本編は幕を閉じたが勿論、まだまだ終わらない。手拍子と歓声の鳴りやまないフロアに"Tokyo is waiting for us!"とご機嫌でメンバーが戻ってくる。

アンコールは雷のような爆音での「Fortress Europe」。フロアで起こるダイヴはもはや人を投げ飛ばしているかのような勢いだ。最後に天を仰いでなんとも宗教めかして始めた「Rebel Warrior」。タブラがエスニックな雰囲気を更に増す。そして、DJのPandit Gがステージを縦横無尽に走り回り、80分のステージをエネルギッシュに締めくくった。"Love, Tokyo!Respects!"という言葉と最後まで残ってオーディエンスと握手を交わすMartinの姿が、いかに楽しいライヴだったかを物語っていた。

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