LIVE REPORT
FINCH×FUNERAL FOR A FRIEND JAPAN TOUR2009
2009.12.04 @赤坂 BLITZ
Writer MAY-E
FUNERAL FOR A FRIEND
東京公演でのトップ・バッターは、FUNERAL FOR A FRIEND。 「Street Car」でお馴染みの電話のコール音が鳴り響くなり大歓声が沸き起り、満員の会場に大きな人の渦が出来た。 「トキオー!カモーン!」とMattが叫べば、さっそくダイバーが出現。 アグレッシヴな「This Years Most Open Heart Break」から、ベスト盤『Your History Is Mine: 2002-2009』に収録され、ファンの間で高い評価を得ている新曲「Wrench」へと流れる。オーディエンスの白熱ぶりは言うまでもない。 これまた懐かしい1stアルバムから「Bend Your Arms To Look Like Wings」のイントロで、私、なぜだか涙が出ました。 「She Drove Me To Daytime TV」ではコール&レスポンスもばっちり決まり、ファンとの絆の強さを印象付ける。そして「All The Rage」と、まだまだ初期のナンバーが続く、その中でも特に「Bullet Theory」から「Roses For The Dead」への流れが最高だった。 オーディエンスは常にヒートアップ状態である。「今日がツアーの最終日だ。みんな、最高のファンだ!」
途中、そんな言葉と共に、FINCHへの敬意とレーベル、プロモーターへの感謝の気持ちを丁寧に口にしたMatt。律儀な彼らしい一面だ。
そこから「Escape Artist Never Die」と、ここまで2ndアルバム以前のナンバーばかりをプレイしていたが、3rdアルバムから「Into Oblivion」でガラリと雰囲気を変える。激しいセットリストの中だと、雄大でダイナミックなサウンドが特に引き立ってとても新鮮だ。途中、低音のヴォーカル・パートで声につまってしまったMattはご愛嬌ということで。
それから再び初期ナンバーへと戻るのだが、それがなんと「The Art Of American Football」!私が知る限り、日本でプレイするのはおそらくこれが初めて。バンドもオーディエンスも、メーターを振り切った激しい盛り上がりを見せる。
ラストは大名曲「Juneau」。ドラムのRyanがメロディー・パートの半分をスクリーミング・ヴォーカルで歌い上げるというシングル・ヴァージョンに近いアレンジ。荒々しくも激しいプレイに感激だ。次々とダイバーが飛んでくる一方で、バンドの演奏に負けないほどの大合唱を巻き起こしていた。
今回のFUNERAL FOR A FRIENDだが、もともと演奏レベルがとても高いバンドのわりに整合性にやや欠けていたものの、これまでにない衝動的な勢いを感じた。インタビューにて、「次のアルバムは、更に一歩前進したものにしたい。余分なものを削ぎ落とし、あまり考えすぎない、ストレートでパワフルなアルバムにね」(Matt)と語っていた。ライヴにおいても、つまりはそういうことなんだろうか。今後、FUNERAL FOR A FRIENDはどんな風に進化していくのだろう。ニュー・アルバムが待ち遠しい。
FINCH
FUNERAL FOR A FRIENDのライヴの熱も冷めやらぬまま、いよいよFINCHが登場。
1stアルバムの1曲目「New Beginnings」のイントロからそのまま再現してみせた。「トキオーーーー!!」というNateのスクリームにゾクゾクする。
続く2ndアルバムから「Worms Of The Earth」で、カオティックなFINCHの片鱗を早くも見せつける。再び1stアルバムに戻りながらも「Grey Matter」というセレクト、そこから「Insomniatic Meat」という流れがもう最高。
ファン待望の復活作だったEP『Finch』から「Daylight」は、さすがオーディエンスのリアクションがすこぶる良い。スーっとチルアウトしてバラード曲「Without You Here」へ。こうやってライヴで改めて聴くと、1stアルバムにも現在のFINCHの片鱗が散りばめられていることに気付く。緊張感の漲る「World Of Violence」の見応えも、かなりのもの。
GLASSJAWのDarylからの影響を感じさせるヴォーカル・ワークと、低い前傾姿勢のパフォーマンス(実際、NateはDarylからヴォーカル・トレーニングを受けたことも)。デビュー当時のライヴ映像で見ていたよりも、当たり前ではあるがずっと歌えている。床を転げるほどにアグレッシヴな動き。オーディエンスに向けられた鋭い目つき。取って食われそうな勢いなのだ。こんなにも迫力のあるヴォーカリストに成長していたのか、Nateは。
楽器隊も負けていない。演奏レベルが非常に高く、一体感もある。特に変則的な2曲「Ink」「Brother Bleed Brother」におけるリズム隊は本当に優秀。2年間の活動停止というブランクがありながら、何故これほどまでに。衝撃である。
MCの少ないバンドだが、「君たちのためにプレイするから、シンガロングしてくれ!」という言葉でスタートしたのは代表曲「Letters To You」。スクリームを織り交ぜたヴォーカルがこれまたかっこよく、会場はクライマックスともいえる盛り上がりを見せる。そこから同じく1stアルバムのメロディアスなナンバー「Post Script」に繋がり、本編ラストを「What It Is To Burn」で飾った。緩やかながらスケール感のあるサウンドと、力強いメロディー。それだけで胸に迫るのに、Nateに向かって伸ばされるオーディエンスの無数の手が、余計に感動を誘う。
カオティックながら、ファンを惹きつけて離さないバンドの演奏力と存在感には感服である。2010年リリース予定のニュー・アルバムだが、新曲2曲を聴く限りでは、EP『Finch』の流れを推し進めたハードでダイナミックなアルバムになりそうだ。期待して待ちましょう!!
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