DISC REVIEW
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デビュー・アルバム『What It Is To Burn』のリリース10周年を記念するツアーをきっかけに完全復活を決意したFINCHがついに完成させた3作目のアルバム。フル・アルバムとしては実に9年ぶりとなる。スクリーモの先駆けと謳われ、その後のロック・シーンを変えたデビュー・アルバムともプログレッシヴな作風が物議を醸した2作目の『Say Hello To Sunshine』とはひと味もふた味も違うものになっているのは、彼らが過去に囚われていないからだ。FINCHのサウンドを特徴づけるNate Barcalow(Vo)のスクリームを始め、前2作でアピールしたかつてのFINCHらしさも残っているが、全体の印象はタフなオルタナ・ロック。かつてメンバーそれぞれの志向を反映させた結果、アルバムを完成させることができなかった彼らがある意味、シンプルともいえる作品を完成させたところに新たな結束を感じずにいられない。そこに大きな意味がある。 山口 智男