INTERVIEW
KISAKI
2026.02.13UPDATE
2026年02月号掲載
今の音楽業界に対する挑戦的な側面も入れたいという気持ちが明確にありました
-そう言えば。KISAKIさんは身体を壊されながらも、文字通り命がけで音楽活動を続行されていた時期がありましたっけ。
そうそう、入院しながらライヴだけ抜け出してやったりしてましたね(苦笑)。周りにはよく"なんでそこまでしてやるの?"って言われたりもしてましたけど、僕からしたら"好きだからとしか言いようがないわ"っていう話でしたね。
-ところで、「Voice in Sadness」でのベース・プレイについても伺いたいのですが、特に重視されたのはどのようなことでしたか。
いつもベースは最後に録るので、この曲でも苑君の声を聴きながら弾いていきましたね。細かい小技をちょろちょろと入れていて、ハイ・フレットのフレーズで深みを増すとかっていうところは考えて弾いてます。シンプルなようでいて、意外と手数は多い感じになってると思いますよ。あと、この曲はHIZAKI(Versailles/Jupiter)がギターを弾いてるんですね。彼はすごいいろいろ弾いてくるタイプのギタリストなんで、僕としてはその穴埋めをしながらベースを弾いていこうということも意識してました。だけど、HIZAKIからするとこれでも"曲調とかも考慮して音はかなり抜いてますよ"っていうことだったみたいです(笑)。
-HIZAKIさんのプレイは相変わらずドラマチックですよね。
それは僕もめちゃくちゃ感じました。HIZAKIにしか弾けない美しいフレーズだし、音からドラマチックさとヨーロピアンな雰囲気が伝わってくるんですよ。
-なお、このアルバムでは他にもNoGoDのサポート・ギタリスト Iyoda Koheiさんや、SYU(GALNERYUS)さん、SAKI(Mary's Blood/ex-NEMOPHILA)さん等"激ロック"でもお馴染みの剛腕メタル・ギタリストたちが多数参加されていますよね。
好きな人たちに頼んだら結果的にそうなったっていうことではあるんですけど、何気にメタルの人に結構頼んでるんですよね(笑)。何年か前にGYZEから名前が変わったRYUJINってバンドが北海道にいるんですけど、そこのRyoji(Ryoji Shinomoto)君もそうだし。ヴィジュアル系のギタリストにもやってもらってますけど、比率としては半々くらいかもしれないです。
-ヴィジュアル系界隈の重鎮であるKISAKIさんから見て、メタル・ギターの魅力とはどんなところにあるのでしょう。
やっぱり、根本的なところで自分はシンフォニックな響きとバンド・サウンドが融合した音楽が好きなので、そういう重厚感のある音の中でも主張してくるギターとか、激しいギターって大好きなんですよ。それとは別に、LUNA SEAのように上手と下手の役割がキッチリ分かれてるヴィジュアル系の教科書みたいなツイン・ギターの音も好きなんですけど、どちらのアプローチでやっていくかは曲の持ち味によって変わってきますね。
-それから、これは「Voice in Sadness」だけでなく他の新曲(「死滅回遊魚」、「Brand New World」)にも通ずるお話なのですが、これら3曲の歌詞では"夢"と"名前"という2つの単語がそれぞれに使われているように見受けられます。これは意図されてのことでしたか?
いや、あんまり深くは考えてなかったです。たぶん、同時期に作ってたから考えてたことがリンクしたんですかね。深層心理みたいなものが言葉として出たというか、自分の気持ちが率直に伝えたい言葉として出てきたんじゃないかと思います。
-曲ごとに意味合いとしてのニュアンスは微妙に違うと思いますけれど、KISAKIさんが思うに"夢"と"名前"はご自身にとって主に何を象徴している言葉なのでしょうね。
恐らく"夢"っていうのは自分の作品のことだと思います。作品とこれから自分が起こしていこうとしていることを、総じて"夢"という言葉で表現してるというか。今までやってきたり、考えてきたりしたことも、一つずつが自分にとっての"夢"だったし、夢を壊すみたいな書き方をすることがあるのも、きっとそういうことなのかなと。
-かと思うと、"名前"については"名前なんてまだいらない"、"名前も知らない"、"誰の夢に名前をつけて"と使われ方がまちまちですね。
同じ"名前"っていう単語を使ってても、自分的には全部意味が違いますね。"君"とか"あなた"に置き換えられるような場合もあるんでしょうけど、自分の心境的にこれを書いてたときに使いたかったのは"名前"だったんやろうなと思います。でも、どれも抽象的っていったら抽象的ですしね。僕としては聴く人が自由に捉えてもらっていいです。
-承知いたしました。ちなみに「死滅回遊魚」はアルバムの1曲目となりますが、こちらはEDM要素を感じる音像が特徴的です。
これは意図してそういう要素の強い曲にしました。アレンジ的にはイントロに入っているKohei君がアドリブで弾いたソロが1つのポイントになったところがあって、それがちょっとジャズっぽい雰囲気だったんですよね。そこからあの打ち込みのパートに展開してく流れが1曲目を飾るのにちょうどいい感じだったんです。僕が言うのもあれですけど、Kohei君はスキルだとかテクニックだけじゃなくてセンスがいいんですよね。最初は活動歴30周年アルバムのときにHIZAKIから紹介してもらったんですけど、結構馬が合う感じだったんで今回も参加してもらいました。こっちが求める無茶振りにも、しれっと応えてくれるところがすごいんですよ(笑)。おまけに人間性までいいんで、ほんと彼は完璧ですね。このところ病気だっていうんでLINEで少しやりとりしましたけど、大変な中でも"ギターを弾きたい"ってずっと言ってるし、これからも頑張ってほしいです。
-一方で「死滅回遊魚」を歌われているAKIRA(MIRAGE/RENAME)さんとは、もうかなり長い間柄ですよね。
彼が高校生のときからの付き合いです。ほんとにいいヴォーカリストですし、いい声の持ち主なんですけど、彼はもう僕にとって弟みたいなもんですね(笑)。"この曲、歌って"って言ったら迷わず歌ってくれるし、これに関しては"死滅回遊魚"っていうくらいだから"深海にいるような声を出してくれ"って言ったらこんな感じになったんですよ。そこにさらにEDM的なケロケロしたエフェクトを掛けたことで、さらにそれっぽい仕上がりになりました。
-なんでも、"死滅回遊魚"というのは生物学で使われる言葉なのだそうですね。
本来なら乗るべき海流に乗れず、別の海流に迷い込んで死んでしまう魚のことを指すみたいですね。そのことをYouTubeで観て知ったときに、自分が今シーンの中のどこにいるのかな? と思ったら、どこか死滅回遊魚の生き方と僕の人生が重なったんですよ。今までいろんなバンドを渡り歩いてきたし、自分の芯はずっとブレてはないつもりですけど、自分はこれからどの海流に乗っていくんだろうな? とかいろいろ考えてしまって。
-たとえご自身はブレていなくても、世の中の流れのほうが大きく変わってしまうケースというのもあるかもしれませんし。
そうですよね。そこが変わってくることによって、ともすれば自分は死んでしまうかもしれないっていう可能性も考えつつでね。新しい言葉を知ったことで、これはちょっと面白い歌詞が書けたかなと思います。
-「Brand New World」では櫻井有紀(ex-Raphael)さん、蟹江敬子(Sheglapes)さんによるダブル・ヴォーカルが聴けますが、ハモりから生まれる響きが奥行きを生み出している印象です。
美しさと儚さを表現したアルバムとはいっても、この「Brand New World」だけは前向きな感じや光が差し込んでくるような感じを醸し出したかったんで、この2人に歌ってもらうことにしました。間奏では有紀がリコーダーを吹いたりもしてます。あのリコーダーは彼の発案だったんですよ。歌を録り終わった後"ちょっとやりたいことがあるんですけど"って言い出して、いきなり笛が出てきて驚きました(笑)。でも、そうやって単に参加するっていうだけじゃなくて積極的に"絡んで"来てくれるのが嬉しかったです。
-今作『Voice in Sadness』では「Last Eve~re-recording version~」で藍(DEATHGAZE/DARRELL)さん、SHIORI(Little Lilith)さんも参加されていますし、全編にわたって聴きどころ満載ですね。
昔から縁があった人、最近知り合った人も含めて、いろんな人たちと一緒にメモリアル・アルバムを作れたのは本当に楽しかったです。聴く側からしても、きっとある種のオムニバス・アルバムみたいで面白いんじゃないかと思いますよ。
-これだけの参加アーティスト数ともなると、諸々の調整や音をいかにまとめていくかという部分でも難しい場面は多かったと思いますが、KISAKIさんはレーベルを主宰されていたこともありますし、プロデューサー的な一面もお持ちですので、この大作を完成させることができたのでしょうね。
まぁ、大変は大変でしたけどね(笑)。でも、実は今これの第2弾も考えてるんですよ。
-それは吉報ですね!
第2弾ではちょっとすごいヴォーカルも新たに参加してくれることになったんです。まだ名前は出せないんですが、大好きだった大先輩で重鎮メタル・バンドの方ですね。ダメもとで聞いてみたら"やりたい"って言ってもらえました。ただ、3月15日に大阪 BIGCATでやるイベント("KISAKI 生誕半世紀記念祭「BEYOND THE KINGDOM -Fest of Excellence-」")が終わるまでは制作のほうは一旦休止するので、実際のレコーディングはそれ以降やっていく予定です。
-"BEYOND THE KINGDOM -Fest of Excellence-"には苑さん、HIZAKIさんのほかにCERO(Gt/凛/Jupiter)さん、HIROKI(Dr/D)さんが名を連ねる当日限定バンド"THE LOCUS"をはじめとして、Psycho le Cému、SEX MACHINEGUNS、摩天楼オペラ、GOTCHAROCKA、NoGoD、FEST VAINQUEUR、椎名ひかりさん、Little Lilithといった錚々たるメンツが揃うようですね。
自分が出てもらいたいバンドに声を掛けただけなんですけど、ありがたいことにみんな快く引き受けてくれました。
-アルバムのゲスト陣しかり、これはもうKISAKIさんの人徳によるところが大きいのでしょうね。
僕、ネットとかでは性格悪いで有名なんですけどね。それでもこれだけみんなが協力してくれるんだから、もう何を言われてもいいや! って思ってます(笑)。実際、これだけのイベントを大阪で組めるのは僕の世代だと他にいないでしょうしね。ほんとにいいメンツが揃ったんで、ヴィジュアル系はそんなに詳しくないけど、メタル勢も多いしちょっと興味があるな、ぐらいの人でもこのイベントは絶対楽しめるものになっているはずです。その上で、ヘッドライナー THE LOCUSとしてイベントをしっかり締めくくりたいと思います。
RELEASE INFORMATION
KISAKI
MEMORIAL ALBUM
『Voice in Sadness』

2026.03.10 ON SALE!!
LCD-014/¥5,500(税込)
EVENT INFORMATION
"KISAKI 生誕半世紀記念祭「BEYOND THE KINGDOM -Fest of Excellence-」"
3月15日(日)大阪BIGCAT
開場 13:45 / 開演 14:30
THE LOCUS -当日限定バンド-(KISAKI(Ba) / 苑(Vo / 摩天楼オペラ) / HIZAKI(Gt / Versailles/Jupiter) / CERO(Gt / 凛/Jupiter) / HIROKI(Dr / D)) / Psycho le Cému / SEX MACHINEGUNS / 摩天楼オペラ / GOTCHAROCKA / NoGoD / FEST VAINQUEUR / 椎名ひかり / Little Lilith
※ラストに出演者による「神歌」大セッション有り!!
MC : 浅井博章
[チケット]
前売 ¥7,300(ドリンク代別)
■一般発売中
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