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INTERVIEW

Little Lilith

2025.12.10UPDATE

2025年12月号掲載

Little Lilith

Member:LILLY(Vo) ERIKA(Gt) SHIORI(Ba) YUKI(Dr)

Interviewer:宮﨑 大樹

Little Lilithがバンド史上初のフル・アルバム『RUIN』を完成させた。セルフプロデュース体制に移行した彼女たちにとって、本作は"破滅(RUIN)"から"再生(REBIRTH)"へと向かう強烈な決意表明だ。破滅的なサウンドで襲う表題曲や、バンドにとって初のバラード等、メンバー全員の挑戦が詰まった本作について、彼女たちに話を訊いた。


何かを壊さないと新しいことを生み出せない 何かを変えないと自分も変われない


-激ロックでは久しぶりのインタビューです。この3年弱の間、バンドはどのように成長、あるいは変化、進化したと感じていますか?

LILLY:前のマネジメントから離れて、自分たちでやり始めたというところが大きくて。前はいろいろ決めていただいて、それに沿ってやっていた部分もあったんですけど、今は全部自分たちで決めていく。そうなったときに、ヴィジュアル、音楽性も含めて自由になったぶん、責任も自分たちで負うことになったので、気持ちがまた引き締まったように感じましたね。

-これまでのミステリアスで緻密な世界観をどうしていくかを考えていくのは大変だったでしょうね。自分たちでやるにあたり、一番大事にした軸はなんですか?

LILLY:一番大事にしたのは、やっぱり今までやってきたものをそのまま活かしたかったので、そこを踏襲していくことです。世界観を壊さないように、でも自分たちらしい色をつけていくところを注意しながら進めていきました。

-そうして、初のフル・アルバム『RUIN』の完成、リリースを迎えます。

SHIORI:今までEPを3枚(2022年リリースの『Graffiti』、2023年リリースの『STRIKE』、今年2025年リリースの『Retribution』)リリースしてきたんですけど、フル・アルバムは制作期間も長いですし、いろいろなことが重なってできていなかったんです。でも、今年の初めに"アルバムを作って、自分たちで歩き出した後のものを改めて形にしたい"という目標を掲げて。はじめはできるか不安もありましたけど、いろんな方たちの協力のおかげで形になり、もうすぐ聴いてもらえる(※取材は11月中旬)ことが嬉しいです。

-このアルバムを完成させて、バンドに起きた変化はありますか?

LILLY:楽曲が増えたし、幅が広がった感はあるので、ライヴでいろんな見せ方ができるようになるんじゃないかと思っています。これからの可能性を提示できたことが嬉しい。

SHIORI:メンバーそれぞれがやりたいことを出し合って、"こういう曲をやりたい"、"ああいうことをやりたい"というのを詰め込んだ作品なので、制作過程で"あ、やっぱこの子はこういうの好きだよね"とか、"あ、こういう引き出しあったんだ"とか、そういう発見があったのが面白かったですね。

-制作を終えて、ERIKAさんとYUKIさんはいかがでしたか?

ERIKA:今までは決められたカッコいい楽曲を演奏して表現するのが中心でしたけど、自分たちのやりたい音楽を追求できるようになって。制作も、それぞれが"こういう曲をやってみたい"という意見を出し合ったり、作詞、作曲、アレンジをより積極的にやったりしていくようになったのは、いい意味で本当のバンド活動になったなと感じています。その上で作った一枚なので、メンバーそれぞれが楽曲に愛情をより注げるようになったのかなと。そういう意味では、ライヴで表現していく幅が大きく広がったと感じています。

YUKI:今までのLittle Lilithの楽曲は世界観がしっかりあって。もちろん今もその世界観は継続しているんですけど、今までのLittle Lilithにはなかったような表現もいろんな方向に盛り込んだ曲が増えたと思っています。曲の幅自体がすごく広がったのは、もしフリーになっていなかったとしたら起こってなかった現象だな、と。"こういう曲はもしかしたらできなかったんじゃないか"というものにもチャレンジできて、"Little Lilithにはこういう曲もあるよ"ということを、ここからまた新しく提示できたら嬉しいし、それを発展させて、どんな方向にでもLittle Lilithらしい曲をたくさん広げていけたらなと思います。

-アルバムというサイズ感だからこそ実現できたことはありますか?

LILLY:EPやシングルだと"作ろう"とならなかった曲たちが、やっぱりアルバムには必要で。それが入っているのが一般的にもアルバムの魅力ですから、そういった楽曲を作れたのが嬉しいですね。

-そんなアルバムの、まずは全容部分について。ジャケットや今後公開されるというミュージック・ビデオの部分も含めて、ヴィジュアル面で表現したかったことはなんですか?

LILLY:MVに関しては「Delete」という曲で作っているんですけど、曲のイメージが"閉鎖された空間"だったので、狭い空間の中を表現したくて。なので、あえて天井を低くしたり、そういうイメージに合った場所を選んだりしました。ジャケット写真は、アルバムのタイトルが"RUIN"="破滅"なんですけど、破滅の中でも一筋の光が見えるみたいなものを表現したくて。歌詞にも花が出てくるので、"藁にも縋る思いで見つけた花を取りたい"みたいな気持ちを出せたらいいなと思って、あのデザインにしました。

-アルバムを聴いて、「Hallucination」から「RUIN」までが1つの物語のように思えたんです。縋っているものに裏切られ、落ちていって破滅して、そこから希望に向かっていく、みたいな。曲順も含め、ストーリー性みたいなものは意識されていたんですか?

LILLY:アルバムの曲順を決めるときに、ある程度ストーリー性を持たせたかったというのはあります。ただ、全ての曲がその物語のために作られたわけではなくて、そのときそのときに一生懸命作っていった曲が、結果的に形にはまっていった、というのが正直なところです。でも、私が歌詞を書いているなかで"並び順はこうがいいかな"と考えてアルバムの曲順を決めたので、そういうストーリーに捉えていただけてすごく嬉しいです。

-表題の「RUIN」でテーマとしている、"破滅から希望を見つける"という部分が、このアルバムで特に表現したかったことなのだと思います。それは、完全なフィクションとして作り上げたものなのか、自分たちの内面の悩みを出したものなのか、どちらですか?

LILLY:内面の気持ちを書いています。ただ、自分の気持ちをストレートに言うのは恥ずかしいので、物語とか、歌詞の中の主人公に代入して言わせている感じですね。

-となると、独立後に壮絶なバンド生活を送ってきたことがよく分かります。

一同:(笑)

-アルバムを象徴する一曲である表題曲「RUIN」について、"破滅から再生していく"というテーマを一番大事にしたかったのはなぜですか?

LILLY:もともと12月にやるライヴ("Little Lilith 4th Anniversary ONEMAN LIVE「RUIN」")のタイトルに"RUIN"が入っていたんです。そのときは単に"破滅"としか思っていなくて。でも、破滅って悪いことばかりじゃないと感じるんです。何かを壊さないと新しいことを生み出せない。変わりたいなら、自分の常識や習慣を変える必要がある。何かを変えないと自分も変われない、というのを普段から思っていて。それを"破滅"にかけたときに、"破滅すれば生まれ変われる"、みたいなプラスの要素にも持っていきたいなと。楽曲はとにかく暗くしたいけど、歌詞まで暗かったらただの"破滅"でしかないから、そこに少し光を見せたいと思って作った曲です。

-時系列的にはライヴのタイトルが先だったんですね。

LILLY:そうなんです。去年にはもうライヴのタイトルを決めていました。アルバムも念頭にはあったんですけど、実際アルバムが制作できるかの不安はあって。なので、形にできたのがだいぶ後になった感じです。

-先にライヴのタイトルで"RUIN"が来ちゃったら、ファンとしては気が気じゃないのでは(笑)。

LILLY:なんならメンバーもビックリしていて(笑)。

SHIORI:そうなんです。"あ、解散を目指しているのかな......?"って。

ERIKA:ね(笑)。

LILLY:(笑)(渋谷)WWWって1つの挑戦なので、一筋縄ではいかないと思っていたんです。なので、何かを変えていかないとな、と。それに、インパクトのある言葉にしたかったというのもあって、"RUIN"を選んだというのもあります。

-では、そんな表題曲「RUIN」の聴きどころをそれぞれご紹介お願いします。

LILLY:ヴォーカルは何層も重ねていて。今までとはちょっと違う雰囲気になっています。今まで癖を入れないようにしていたんですけど、あえて癖を入れて歌っているので、そういうところを聴いてほしいです。

ERIKA:ギターは"破滅の音"がしています。機械音みたいな感じになっていて、他の楽曲とはかなり色調が違う。破滅感のあるサウンドメイクにこだわっています。

SHIORI:この曲はLittle Lilithが常々大事にしてきたジェントの要素が詰まっていて。速くもなく遅くもなくというミディアム・テンポでのジェントの演奏は一番難しくて、ミュートだったり音価の違いを出したりがとても重要なので、シビアになってレコーディングしました。なので、そこをぜひ聴いてほしいです。それと、まだライヴではやっていないので、生でもそのクオリティをしっかり高い状態に持っていけるように頑張りたいなと思っています。

YUKI:この曲は、タイトルを知らないまま曲を聴いても"破滅"だと分かる、このアルバムの象徴的なものになったと思うんです。Little Lilithらしいリズムをベースにして作られている曲なので、そこを聴いてほしい。あとは、アルバムにプロローグがあって、表題曲の最後と同じメロディで繋がっているというのがいいなと思っていたので、それを実現することができてすごく嬉しいです。結果、すごくいい世界観のアルバムにまとまったんじゃないかなと思います。

-続いて、代表曲と位置付けられている「Retribution」ですが、今回のアルバムの中でどういう役割を持っていて、この位置にしたんですか?

LILLY:自分たちでやるようになってから出した曲で、思い入れもあるし、お客さんにも浸透してきているんです。なので、自分たちが出した1つの代表曲という位置づけで、最初に持っていきたいなと。コンセプトが"RUIN"だから、SEで世界観を出しつつ、でも"ここから始まったんだぞ"ぐらいの勢いでみんなにも分かってもらいたかった、という感じです。

-自分たちでやるようになってから、サウンドのヘヴィさはもちろんですが、メロディのキャッチーさ、ポップス性もかなり意識しているように感じます。

LILLY:自分の歌いやすい部分を増やしてもらっているので、聴きやすさや声に合っている感じが出て耳に残るのかなと。それに、重低音とキャッチーさは私たちの特徴だと思っているから、そこも意識しています。

-うん。もともとの武器がより洗練された印象です。そして、ERIKAさん初の作曲となった「Phoenix」について。これは、どういうきっかけで作曲を?

ERIKA:今までは書いていただいた曲を自分たちでやっていく、という形だったのが、アルバム制作を自分たちで頑張ろうとなったなかで、"メンバーが作曲する曲があってもいいんじゃないか"という話になって。"じゃあ自分が作りたい"という話になりました。

-どういう曲を書こうというイメージだったんですか?

ERIKA:この曲は他の曲のデモが全部揃った状態で最後に制作したんです。このアルバムにもう1曲何か入れるとしたら、というのを考えた結果、「Double Suicide」のようなリフで押し切る、疾走感のあるライヴ映えする楽曲がこのアルバムに映えるかなと。それに、自分がそういう曲が得意というのもあって、このイメージで作り始めました。