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INTERVIEW

Little Lilith

2022.07.11UPDATE

2022年07月号掲載

Little Lilith

Member:LILLY(Vo/Vn) ERIKA(Gt) SHIORI(Ba) YUKI(Dr)

Interviewer:宮﨑 大樹

"ガールズジェントバンド"Little Lilithが、初の全国流通盤として1st EP『Graffiti』を完成させた。"リトルリリス"から"Little Lilith"に進化して半年あまりが経過。Djentを軸にした楽曲を武器に、ラウドロック・シーンで対バンを重ねて強靭さを増したバンドが世に送り出す本作について、メンバー全員に訊いた。

-Little Lilithに進化してから半年ほど経ちました。

LILLY:一日一日、一回一回のライヴがすごく濃いし、数もやっているので、ずっとやっている気がしなくもないんですけど、ここにきて今回のEPが盤という形、しかも流通で全国の人に届けられることがひとつの節目になって嬉しいですね。やっとここまで来ることができたなという感じはあります。

YUKI:時間が経つにつれて、出ていく現場とかもよりラウドなシーンに入り込んできていて。今までは演奏することでいっぱいいっぱいだったのが、そういう環境の変化に触発されて、もっと激しく、もっとカッコ良く、世界観をこういうふうに出したいみたいなことを、ようやく表に出せるようになってきた気がします。

ERIKA:自分たちもそうですけど、観に来てくれているみなさんにとっても変化がものすごかったと思うし、みんなノリとかを探り探りやっていたと思うんですよね。一生懸命なのはメンバーだけじゃなくて、お客さんも一生懸命応援してくださっているんだろうなと。お客さんも一緒になって日々Little Lilithを成長させていってくれている、進化させていってくれているなというのは、一本一本重ねるたびに現時点でも感じていますね。

SHIORI:メンバーだけで話せる時間も持つようにしたり、4月にはメンバー水入らずで箱根旅行に行ったりして、それぞれのプライベートな部分もどんどんお互いに見たり知ったりして、信頼感も深まっていきました。そのなかでライヴして、反省して、修正しての繰り返しを、メンバー4人で向き合ってやれていて。そういうことを深くできる関係になってきているのがすごく嬉しいし、今後が楽しみになりました。

-本当の意味で"バンド"になった。

SHIORI:うん。本当にその通りですね。

LILLY:一緒にいるのが当たり前になって、自然とコミュニケーションを取りやすい環境になりました。

-YUKIさんが言っていたように、表記変更後は、ラウドロック・シーンのアーティストと対バンをする機会が増えたと思います。

YUKI:いい意味でパフォーマンスの感じが暴力的というか、ぶつけている熱量みたいなのが、ガールズ・バンドのシーンでやっていたときと比べ物にならないなと思って。音も大きいし(笑)、最初はすごくビックリしたんですけど、そういうところに身を置いて、下手くそでもいいからとにかく熱量で負けないみたいな気持ちになりました。張り合う気持ち、強い気持ちになってきたような気がしますね。"Little Lilithを観ろ!"みたいな(笑)。

-精神面もラウドロックになってきたと(笑)。

一同:(笑)

YUKI:はい。鍛えていただいています(笑)。

-そういったアーティストと渡り合い、対バン相手のファンの前でLittle Lilithのライヴをしてみての手応えはいかがですか?

LILLY:CDを買ってくれたり、"カッコいいね"ってフロアで声を掛けてくれたりすることもあるので、このジャンルでも戦っていけるんだというのは思いますね。

-LILLYさんは前回の取材(※2022年4月号掲載)で"『Rebuild』(2022年3月会場限定リリースの"1st Demo CD")が架け橋だとしたら、EPは「新しくなった私たちを聴いてください」というものになる"と言っていました。今回『Graffiti』の完成を迎えて、改めてどんな作品に仕上がったと感じていますか?

LILLY:あのとき言っていた通りで、"リトルリリス"のときと違う、前回出した"Demo CD"『Rebuild』とも違う、これを今後の私たちの名刺代わりとして、いろんな人に聴いてもらいたいと思える作品になりましたね。

-個人的には、この『Graffiti』でLittle Lilithの世界観が広がったような気がしました。

LILLY:そうですね。まずは「LadyBug」(2021年12月)を出して、それだけが名刺みたいな感じだったんですけど、『Graffiti』はいろんな方向性からのDjentというか。1種類の似たような音楽だけじゃなくて、その中でもちょっと変わった、食いついてもらえるような曲たちが入っています。そういうところを含めて、Little Lilithというものを提示できるのかなと思っていますね。

YUKI:Djentの要素は必ず曲のどこかにちりばめられているんですけど、R&B調の曲があったり、ストレートなロックがあったり、幅広いと感じていて。みんなそれぞれに入りやすい曲があると思うので、ひとつひとつ聴いてほしいなと思います。

-EPのタイトルおよび表題曲の"Graffiti"は、壁などに描かれる落書きのことですが、"Graffiti"(=落書き)について、みなさんはどんなイメージや連想が浮かびますか?

YUKI:"自分の中に抑えきれない衝動"みたいな。公共のものだけど書いちゃうとか、一般的には良くないことだけど、それでも抑えられなくて出しちゃう衝動みたいな感じですね。

SHIORI:学生のときは教科書に落書きしていたんですけど、"ああしたい"、"こうしたい"って、未来にやりたいことを描いたりして、妄想、願望のイメージがあります。

ERIKA:衝動とか妄想の中から新しいものが生み出されることもあるじゃないですか? 私も子供のころには紙いっぱいになるくらい描いて、自分のキャラクターを生み出したりしていて。ふいに新しいイメージができあがる、みたいな感じがしますね。

LILLY:YUKIちゃんも言っていたんですけど、パッションだと思うんですよね。だって、トイレに描くんですよ? 様々なことが描かれているじゃないですか? その人がその瞬間に思ったこととか衝動だから、それを見ているのが好きで。"この人は、なんでここに、なんでこれを描いたんだろう?"とか考えちゃうんですよね。街中だと、"いつ描いたんだろう?"とか、"いけないことだからドキドキしなかったのかな?"とか、その人の心が見える気がして面白いなと思います。

-そういう"Graffiti"から連想されるようなものが、EPのコンセプトだったりするんですか?

YUKI:『Graffiti』というEPの作品としては、もちろんLittle Lilithが表現したいことではあるんですけど、軸に女の子がひとりいるんです。その女の子の想いとかストーリーみたいな繋がっているものがあって、そこに自分たちの気持ちが乗っかっている、みたいなイメージです。

LILLY:Little Lilithは「LadyBug」から始まって、一曲一曲にひとつずつ一連の想いがあって曲として出しているんです。その中でも「Graffiti」という曲が、ひとつのターニング・ポイントというか、起点、重要なポイントではありますね。「Graffiti」は、真っ白なキャンバスがあって、自分の思い通りに好きなことを描くのがいいよね、という曲になっています。そこからまた新たに出発するというか、先へ進もうと決意する感じの曲ですね。

-それはLittle Lilithとして発信したいことですか?

LILLY:自分がそういうスタンスで生きていこうとは常に思っています。自分の生きたいように生きる、その道を自分で納得して、自分を信じて進まなきゃと常日頃から自分と対話しているんですよね。いろんな人にもそうであってほしいという押しつけではないんですけど、みんなが自分の納得する人生を歩んでほしいと思っているんです。みんなに伝えたいことだったので、今回「Graffiti」で言えたのは嬉しいなと思います。

-LILLYさんが書いている歌詞ではないけど、LILLYさんの生き様が反映されているとは感じていました。

LILLY:たぶん私の性格とか話していることを汲み取ってやってくれているんだろうなと思います。だから、私が言いそうなこととか、私に刺さる言葉があって(笑)。

-イントロ、間奏、アウトロはDjent全開ですが、歌が乗るところはポスト・ハードコア調で、ヘヴィでインパクトがありつつも聴きやすい曲に仕上がっているなと感じました。

LILLY:イントロが激しいじゃないですか? メロディが入っていってサビで広がる感じがキャッチーだなって。これはいろんな人に聴いてもらえるんじゃないかなと、率直に感じました。それが第一印象でしたね。有名な格言がサビの最初のところに出てくるので、"伝われ"と思いながら歌っているのと、この曲はシャウトもあって、私のチャレンジ・パートというか、そこは頑張ったので聴いてもらいたいです。

-ギター、ベース、ドラム、それぞれの聴きどころや演奏の際に意識していることを聞かせてください。

ERIKA:ギターはリフものなので、一発目のバンド・インしたところからがっつりカッコいいギター・リフがあります。そこはギター的には一番の見せ場ですね。ドラム、ベースで縦を合わせるところはシンプルに聴こえるけど難しいなぁと。ライヴだと特に気持ちは入りますし、どうしても思うようにいかないところもあるんですけど、そこをしっかりハメていくことを意識してライヴでやっています。

SHIORI:本当にいい曲なんですけど、大変です。ドラムとベースの絡み方が絶妙でカッコいいですし、特に私は2Aのベースが好きで。高音に行ってドラムのフィルと絶妙に絡むんですけど、ハマったときはライヴでも気持ちいいポイントなので、ぜひCDでも注目して聴いてもらいたいですね。

YUKI:Djentのゾーンみたいなところはフレーズ自体も難しいし、3人でガッチリ合わせるのが難しいなぁと思いながら日々練習しています。ドラムは縦を合わせるセクションと、サビで一気に広がるので、叩き分けというか、イメージがガラっと変わって、勢いが出て広がる感じは意識しています。