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INTERVIEW

FATE GEAR

2024.12.18UPDATE

2024年12月号掲載

FATE GEAR

Member:Mina隊長(Gt/Ba/Composer) 橋村 姫(Guest Vo)

Interviewer:杉江 由紀

-好きなアーティストとのコラボレーションが叶ったというのは素敵なことですね。

橋村:そうなんですよ。それだけに私は隊長が作り出した世界観を大切にしたいし、絶対にがっかりさせない表現をしようっていうのはめっちゃ思ってて。むしろ、参加する以上は、いただいたイメージをちゃんと表現しきれないようなことが起こるくらいだったら、そのときはもう死んだほうがいい! くらいの覚悟をしてます。

Mina隊長:えぇ、そこまで(笑)?

橋村:私はFATE GEARのことが好きだから貢献したいんです。ヴォーカリストとしての自分がやれることは全部やりたいんですよ。

-隊長は、名古屋と大阪で対バンしたときに、姫さんが当時そのような思いでいらしたことは知っていらっしゃいました?

Mina隊長:客席に姫ちゃんがいるなっていうのは認識してましたけど、まさかそこまでガッツリ観ててそんなふうに感じてたとは知らなかったです。後日参加してもらうことになって撮影の合間かなんかに話してるなかで、そのことを聞いてびっくりしたんですよ(笑)。

-では、前作『The Vanguard Of Hades』のときは、姫さんの心中は知らずにオファーを出されたという流れだったわけですよね。隊長が姫さんに白羽の矢を立てた理由ときっかけはどのようなものだったのでしょうか。

Mina隊長:今まで観たことがある中で透明感のある歌を表現できる人って誰だろう? と思ったときに思い浮かんだのが姫ちゃんだったんです。

-ただ、姫さんは、本来アコギでの弾き語りをされるシンガー・ソングライターでいらっしゃるわけで、メタルの世界との関わりはほぼなかったのも事実ですよね?

橋村:はい。音楽的なルーツの面ではメタルは全く通ってきてなかったので、8月にFATE GEARのカナダ・ツアーでご一緒させていただいたときには、隊長に"メタルの細かいジャンルの違いってなんですか?"と質問したことがありました(笑)。そうしたら、隊長からは、"エア・カナダの機内エンターテイメントの中にハード・ロックというジャンルがあるから、まずはそれを聴いたらいいよ"って言われたんです。

Mina隊長:どういうわけか、エア・カナダはやたらと充実してましたね(笑)。

橋村:FATE GEARと出会ったことで、私は今メタルやハード・ロックを少しずつ学ばせてもらってる感じですね。今回、RAINBOWの「Kill The King」もYouTubeで観て勉強しました。

-異なるフィールドから、姫さんという新たな可能性を持ったアーティストが参加してくださったことは、FATE GEARの可能性も広げたことになりそうですね。

Mina隊長:FATE GEAR自体がメタル/ハード・ロックなんだけど、その中ではかなり幅広くやっているほうなので、姫ちゃんがここでさらに新しいエッセンスを加えてくれるのはとてもありがたいです。

-今しがたカナダ・ツアーのお話が出ていましたけれど、そこでの手応えについてもここで少し伺えますと嬉しいです。

Mina隊長:カナダには初めて行ったんですけど、つくづくインターネットの力って大きいなと思いました。トロント、ウィニペグ、ケベック、モントリオールの4ヶ所ともいろんな人たちが来てくださってて、メタル・ファン以外にもスチーム・パンクなファッションの人たちとか、アニメ・ファンらしい方たちとかもいて、だいぶ多様性に富んだ雰囲気がすごく面白かったです。ヨーロッパともまたちょっと違う感じで、盛り上がってくれるんですけどシャイなところもあって、なんとなくカナダ人の人たちには日本人に近いものを感じたところもありました。

-姫さんは現地でのライヴでどのようなことを感じられました?

橋村:そもそも私はFATE GEARでのライヴが初だったので、もう全てが新鮮でドキドキでした(笑)。自分がレコーディングした以外の曲も含めての約15曲はどれも難易度が高いですし、曲によっては私1人でデス・ヴォイスやグロウルをやっていく必要があったから、事前にそのレッスンも受けてたんですよ。あとは、ヘドバンしながら歌うときに音程をフラフラ外すのは絶対したくなかったんで、ツアー前にジムで胸、肩、腰、脚をめっちゃ鍛えてから行きました。

-ストイックですねぇ!

橋村:でも、その分いいライヴができました。海外でのライヴ自体が初体験で、レコーディングで作り上げていく美しさとはまた違う、ライヴならではの熱さを体感することでできたのもいい経験でしたね。楽しかったです。

-ところで、今作『Kill the Shadow King』には、タイトル・チューンの他にも「沫雪の祈り feat.KOKOMI」というバラードも収録されていますので、隊長からこちらについての解説もぜひしていただきたいです。

Mina隊長:これはFATE GEARが2015年に出した1stフル・アルバム『A Light in the Black』の中に入っていた「沫雪の祈り」を、新録したというか作り替えたもので、ほぼ新曲と言っていいです。歌詞も変えているので、原曲にあった要素として残っているのはAメロとコード進行くらいかもしれません。これまでにも過去曲のリアレンジはいろいろしてきていましたけど、これが最後の1曲ということになります。

-音も詞も、このたびは一連の天使と悪魔の物語に沿ってリビルドされたようですね。

Mina隊長:『Kill the Shadow King』に収録する曲として、ちゃんと似合うように仕上げていくようにしました。過去の未熟だった自分を超えるようなものに仕上げることができたと思います。詞の内容としては、これはさっきの戦いの後に続く場面ですね。さらにここからどうなっていくかという部分に関しては、これを聴いていただきながら、CDのブックレットに載っているストーリーを読んでいただくと、この先に向けての想像も膨らませることができるんじゃないかと思います。

-姫さんも「沫雪の祈り feat.KOKOMI」は聴いていらっしゃいますか?

橋村:聴きました。この切なくて儚いメロディが美しいですよね。メタルって言うと激しいとか強いとか、今まではそういう印象を勝手に持っていたんですけど、こんなきれいなメタルもあるんだなとこれまた勉強になります。KOKOMI(MISLIAR/ex-Asriel)さんの歌は美しくて柔らかくて、聴いていると肌心地の良さを感じるんですよ。でも、キャラクターの持っている芯の強さもしっかり感じられるので、歌詞の内容もあいまって感情移入しやすい曲になっている印象です。

-その他にも今作『Kill the Shadow King』にはオープニングSEの「深淵の城」、さらにはベルギー公演のライヴ音源も7曲収録されていますが、このリリースの後に控えているのはいよいよの2025年です。FATE GEARとしては、新たな年に向けて今どのような展望を持っていらっしゃいますか。

Mina隊長:年明けには沖縄遠征の予定がありますし("Emo night"、"ジョージ紫生誕祭SP")、『Kill the Shadow King』に続く、この天使と悪魔の物語の第3弾も、そう遠くないうちにまた出したいと思っているんですけど、2025年はFATE GEARにとっての10周年を迎えることにもなるんですよ。その大きな節目を盛り上げていくための企画を、今ちょうど練っているところです。

-良き10周年になっていくことを願っております。

Mina隊長:まぁ、まだあんまり実感はないんですけどね(笑)。"もう10年経っちゃうの? 早すぎでしょ!"という感じではあるんですが、最近は個人の作曲活動として、"なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?"ってアニメのキャラソン「煉獄のグロリア」を曲提供したこともありましたし、実際に10周年を迎えたとしてもそこで満足することはないと思います。この先も止まらずに自分の音楽をずっと続けていきたいです。