INTERVIEW
Zemeth
2023.07.18UPDATE
2023年07月号掲載
Interviewer:山本 真由
-4thアルバムの制作にもすでに着手されているようですが、そちらはどのような作品になりそうですか? 前作EP収録の「狂愛LONELINESS」からの流れもあり、クリーン・ヴォーカルが入ってくる、というのはかなり期待しています。
4thアルバムはZemethの集大成的なアルバムになると思います。内容は現段階ではメロディック・デス半分その他音楽半分という感じのアルバムを目指しています。個人的にもうメロデスはやり切った感覚もあり、新しい音楽にも挑戦していきたいのですが、根本のメロディアスな音楽性というのは絶対に変わることはありません。今のところ6割くらいの曲は書き終わっていて、シンガーさんを探していたりする段階なのですが、今回は絶対にスパニッシュ・メタルを作りたくてスペイン人シンガーに作詞含め依頼することも考えています。それが完成すればジャパニーズ・スパニッシュ・メタルができあがるわけですから大ウケだと思います。あとは昔「狂愛LONELINESS」の続編として作って、まだ世に出していなかった楽曲も出そうと思っていたり、もはやメタルですらないフラメンコ調J-POPのような楽曲も収録されます。自主制作ソロ・プロジェクトの強みを生かして、いくらでも好き放題をさせていただこうと思っています。
-今年はリメイク・アルバムと制作中の新作4thアルバムだけでもかなり忙しい年になっているかとは思いますが、海外からの評価が高いサイド・プロジェクト Bloody Cumshotのほうも何かアクションはありそうですか?
Bloody Cumshotは冬に2ndアルバムをリリース予定です。今年の夏から来年の夏にかけて半年おきにアルバムを出すという馬鹿なことを思いついたせいで、とんでもない多忙な日々を送っているのですが、意外と制作面は順調でヴォーカルまでほぼ録り終わっている段階です。あとはギターを録り終えればリリースできるので、今年いっぱいはZemethの4thアルバム制作に取り掛かることができそうです。Bloody Cumshotは正直立ち上げ当初は単発プロジェクトにしようという意識があったのですが、意外と海外で好評だったのでここで引くのはもったいない気がして、2ndアルバムもリリースすることを決めました。完全にZemethと同じ流れです。ブチ切れメロデスなのに変わりはないですが、デスコア的なアプローチやメタルコア風の曲なんかも収録されています。
-そのほかにも、以前は劇伴などメタル以外の制作活動もされていましたが、そちらのほうはどうでしょう? 今後挑戦してみたいことなどはありますか?
今のところ自分の制作で多忙すぎるので現段階では依頼などの制作は受けておらず、"無理を承知でどうにか"という本当にありがたいライヴのお誘いなんかもいただくのですが、やはり現段階では難しいです。 僕個人として挑戦してみたいことのひとつにゲーム音楽の制作があり、空き時間で作り溜めているゲームの戦闘曲風インストを素材集として売り出そうという考えがあります。恐らく来年になるかとは思います。
-ほかのプロジェクトも含め、Zemethのリリース・スパンはかなり短いほうだと思うので、ツアーを行わないぶん制作に集中できているのかなとも思うのですが、配信イベントなどで生の企画をやってみようと思うことはありませんか?
僕自身がインターネットで活躍しているような配信者やインフルエンサーが好きなので、自分自身がそれをやることにも興味はないこともないのですが、ふざけていないと生きていけない人間なので、たぶんそれをやるとZemethのイメージを著しく損なうと思うので自重しています。やっている音楽とは裏腹にマインドは結構硬派で面倒なメタラーなので、自分の思うアーティスト像と実際のギャップができるのが嫌なんだと思います。
あくまでも自分という人物はネット上だけでリアルの存在感が曖昧なままでいるのも面白いんじゃないかと思っていたり、下手に調子に乗りすぎてドン引きされないためのリスクヘッジの意味もあります。喋るときの声がデカすぎるので本当に問題なんです。
また、リアルな面はアーティストとしてあまり出すべきではないと思っていて、以前ラジオの出演依頼をいただいたときも僕自身の出演はお断りさせていただき、僕へのお便りコーナーになったこともあります。僕個人が露出することよりも、やはり楽曲に注目していただきたいので、今後もあくまでも裏方というか控えめでいきたいと思います。もしそういうことをやるなら、Zemethとかまったく関係ないとこでいきなりTikTokerになったりすると思います。線引きは本当に大事です。
-SNSで一時期流行っていた"#私を構成する42枚"のタグの投稿もありましたが、そちらも興味深い内容でした。メロデスだけでなく、以前のインタビューでも名前が挙がっていた音楽を始めるきっかけにもなったゲーム音楽や、歌詞を女性目線で描くことの参考にしていると挙げられていたシンガー・ソングライターの村下孝蔵さんのほか、国内のメタル系バンドも聴き込んでいるようですね。そこで、Zemethでクサメロにハマった激ロックの読者におすすめのメタル・アルバムを3つ挙げるとしたら?
大もとはゲーム音楽からの影響下にあるのですが、やはりメタルというジャンルは自分の中でも大きな存在になります。投稿した画像に挙げたものは思い出補正含めた好きなアルバムなのですが、ここではZemeth的な音楽が好きならば聴くべきだと思うアルバムを挙げてみます。
1. OPUS ATLANTICA - Opus Atlantica
Pete Sandbergによるプロジェクトで、残念ながらアルバムはこの1枚しかリリースされてません。「Falling Angel」という曲のイントロで腰を抜かしてから聴き始めたのですが、個人的にはネオクラシカル・メタルの理想形のようなアルバムです。メロディは結構似た感じの雰囲気のものが多いですが、なかなかのキラーメロディもあり、全曲安定感があり的確にツボを突いてくるところが素敵すぎます。ネオクラと言っても速弾きよりは歌メロに注力している感じで、特に「Holy Graal」という楽曲からの影響はとても大きく、チェンバロという楽器の偉大さを感じることができます。
2. FURIA ANIMAL - Azotando El Destino
僕はとてつもないスパニッシュ・メタル狂なのでこのバンドは欠かせません。直球なメロスピにあまりハマれなくて、メタル聴き始めてすぐMÄGO DE OZを皮切りに母国語パワー・メタルにドハマリしてしまいました。特にこのFURIA ANIMALは知る人ぞ知るパワー・メタル・バンドで、ネオクラ色が強く、メロディも歌謡曲のような強烈な哀愁を纏っていて、初心者でも聴きやすいスパニッシュ・メタルだと思います。「En La Oscuridad」という曲は僕にとってとても特別な曲で、4thアルバムのとある曲でオマージュ的なフレーズも入れているほどです。
3. IN FLAMES - Colony
メロデスというジャンルから1枚挙げるなら間違いなくこのアルバムになります。特に日本のいろんなメロデス・バンドがやっているサビやギター・ソロのキメで小室進行や4度進行のフレーズを入れるタイプのメロデスの原型はこのアルバムなんじゃないでしょうか。IN FLAMESは音楽性の移り変わりが激しいですが、この頃のメロディが一番好きです。「Embody The Invisible」や「Scorn」が好きなのはもちろんですが、個人的には「Coerced Coexistence」のギター・メロが本当に叙情の塊のようで好きです。こういう間奏で出した美味しいメロをアウトロにも持ってくる手法が個人的な制作でもかなり影響を受けてます。
-ありがとうございます。最後に、激ロックの読者へメッセージをお願いします。
激ロックをご覧のみなさま、ZemethのJUNYAと申します! 26曲入りの普通に狂っている過去曲リメイク・アルバムを出すので、ぜひメロディアスなメタルが好きな方は聴いてください!!!! 哀愁歌謡ノスタルジック・メロディック・デス・メタルというよくわからないジャンルを始めて数年経ちますが、今日もひとりで悲しく頑張ってます!! ファンの方がひとり増えるたび家で泣きながら土下座してありがとうと言い続ける儀式も行っているので、なんかすごいご利益があると思いたいです! 世の中の悲しみは全部Zemethが背負うのでよろしくお願いします!!!!!