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INTERVIEW

over print 山脇孝志 × AUTHORITY ZERO 座談会

2023.06.30UPDATE

2023年06月号掲載

over print 山脇孝志 × AUTHORITY ZERO 座談会

今最も勢いのある日本国内発のストリート・ブランド、over print。代表の山脇孝志氏はUSパンク・ロックに造詣が深く、自身のルーツにもパンク・ロック・シーンとの縁の深いアメリカのストリート・ブランドがあるということで、激ロックでは山脇氏とアメリカのパンク・ロック・バンド、AUTHORITY ZEROの座談会を敢行した。山脇氏の熱いラヴコールで実現した本座談会。ファッションと音楽でアウトプットは違えど、"独自のものを生み出す"両者に共鳴が生まれた有意義な時間となった。

over print:山脇 孝志(代表)
AUTHORITY ZERO:Jason DeVore(Vo) Brandon Landelius(Gt) Mike Spero(Ba) Chris Dalley(Dr)
Interviewer:村岡 俊介(DJ ムラオカ) Translator:川原 真理子 Photographer:濱谷 幸江

-山脇さんのルーツにはパンク・ロックがあると聞いていますが、どういった音楽変遷か教えてください。

山脇:僕は今38歳なんですけど、10代のときにバンドをしてたんです。ZEBRAHEADとかいろんなパンク・バンドが好きで聴いてましたし自分でも演奏してました。

Jason:ZEBRAHEADは友達だね。昔よく一緒にツアーしてたよ。

Chris:15年くらい前にZEBRAHEADのドラマー(Ed Udhus)が怪我したときに助っ人でプレイしたこともあるんだ。

山脇:最高......。

Chris:ありがとう。ところでなんの楽器をやっていたの?

山脇:ギターです。

Brandon:ギター? 素晴らしいね。

-他はどのようなバンドを聴いていましたか?

山脇:BLINK-182、SUM 41、GREEN DAY、THE OFFSPRING、PENNYWISE......。まぁ全部ですけどね(笑)。今年BLINK-182とGREEN DAYのフェスティバルをラスベガスに観に行きます。

Chris:"When We Were Young Festival"のことかな?

Mike:俺たちも行くかもしれないよ。

Chris:出演するわけじゃないけど遊びに行くかも。そのとき会おう。

-山脇さんはルーツとしてAUTHORITY ZEROも聴いてきていると思いますが、AUTHORITY ZEROとの出会いを教えてください。

山脇:バンドをしていたときに、バンド・メンバーとCD屋に毎週通って、NEW FOUND GLORYのメジャー・デビューする前のCDとか、FALL OUT BOYのインディーズのとか、人よりも早くCDを見つけてとりあえず買って、バンド・メンバー全員で聴いてるなかで、AUTHORITY ZEROに出会って聴いてました。

AUTHORITY ZERO一同:ありがとう。

Jason:AUTHORITY ZEROは未だに成長を続けているバンドだけど、ずっと昔から誰よりも早くそうやって自分たちの音楽を知ってくれていたことは本当に嬉しいよ。

-AUTHORITY ZEROのどんなところに魅力を感じますか?

山脇:疾走感が好きですし、ヴォーカルの歌い方も、ちょっとしゃがれた声も大好きです。あと自分がギターを弾いていたのもあって、イントロとかギターのリフがかっこいいなと思います。「Everyday」(2002年リリースのデビュー・アルバム『A Passage in Time』収録曲)のイントロのギターが特に好きですね。

-なるほど。ここからはAUTHORITY ZEROのメンバーのみなさんにお聞きしたいのですが、まずは去年11月の振替公演として、ついに再び日本での公演([CAFFEINE BOMB 20TH ANNIVERSARY AUTHORITY ZERO "OLLIE OLLIE OXEN FREE"JAPAN TOUR. 2023])が実現しますね(※取材は5月26日の公演前)。久しぶりの来日となりましたがいかがですか?

Jason:ずっと来られなかったからやっと来られて嬉しいよ。きっとファンのみんなもずっと待ち焦がれていたと思うから、同じくらいワクワクしているんじゃないかな。

Chris:コロナ前は毎年のように日本に来ていたのに、延期になって来られなくなっていたから、また来られて嬉しいよ。日本は人も食べ物もファンもみんな素晴らしいから大好きなんだ。

-コロナはアメリカでは日本より終息は早かったとはいえ、徹底的なロックダウンなども行っていましたので、音楽シーンにもファッション・シーンにも大きな影響を与えたと思います。今振り返ってみていかがでしたか?

Mike:ファンとの触れ合いができなくなって、でもファンに何か与えたいし、バンドもご飯を食べていかなきゃいけないし、なんとかして音楽を続けていかなくちゃってことで、ライヴ配信に力を入れてたよ。結構そういったことをしているバンドは多かったし、ファンは慣れてきちゃってテレビを観るみたいな感じで、3時半からこっちのバンド、5時からこっちのバンドってチャンネルを変えるみたいに見てくれてたね。そうやってなんとかファンとのコミュニケーションを保てていたよ。

Chris:本当は2020年にツアーをする予定だったんだけどできなくなって、だけど代わりに時間が空いたおかげでアルバム(2021年リリースの『Ollie Ollie Oxen Free』)を作ることができて、リリースしてそれに伴ったライヴが今できているんだ。

Jason:ネガティヴなことはあったけど、それをなんとかポジティヴな方向にも持っていって、その結果としてアルバムを出せて良かったと思うよ。

-分野外かもしれませんがファッション・シーンはいかがでしたか?

Chris:最近のアメリカ全体のファッションの傾向としては30年ほど前の時代にさかのぼって、90年代にNIRVANAが着ていたようなグランジのファッションに戻りつつあるよ。Dixxon(Dixxon Flannel)が、新しい戦略としてSLAYERとかMISFITSのアルバム・ジャケットやロゴをデザインに使用したシャツをリリースして、それが売れたりしたね。

Mike:コロナ前だと実店舗に行ってたお客さんも多かったと思うんだけど、コロナでそれが減ってオンラインがメインになったよね。オンラインでこの日に新しい商品を発売するよって宣伝したら、ものによってはその日に売り切れることもあって、コロナ前の実店舗がメインだった時代にはそういうことはなかったかもしれないよね。逆手に取ってオンラインに力を入れて成功した例もあると思うよ。

山脇:日本も店舗を持っているセレクトショップとかは閉店してしまうことも増えましたし、特に原宿とかかなりそういうことがあったんですよね。僕もコロナ禍になったタイミングでもともといた会社を辞めたんですよ。辞めてこのブランド1本でやっていくと決意して在庫をいっぱい作って、日本全国回って売り始めようと思って。在庫ができあがったときにパンデミックの第1波が来たんです。売る場所がなくなり家の中が在庫でいっぱいになって、すぐ潰れると思ったんですけど、みんなオンラインを見てくれていて、オンラインに出したら一瞬で在庫がなくなって、1ヶ月でむしろプレミアがつくような状況になったんですよ。ある意味コロナがあったことでover printは売り上げが大きく伸びるきっかけになりました。

Jason:それはすごいね。アメリカでもいろいろ戦略を考えてちゃんと生き延びて頑張っているショップがあるんだ。君もそのひとりで良かったなと思うよ。

山脇:生き延びました(笑)。