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INTERVIEW

KISAKI

2023.04.25UPDATE

2023年04月号掲載

KISAKI

Interviewer:杉江 由紀

-ところで。今回『Providence』収録の「Mind Collapse」では、椎名ひかりさんが歌だけでなく作詞にも唯一の参加をしていらっしゃいます。これはどういったところから実現したコラボレーションだったのでしょうか。

椎名ひかりちゃんとは、何年か前に彼女の事務所から、"曲を作ってもらえないか"という依頼をいただいたのがきっかけで、初めて会ったんですよ。話をしたときに彼女からはすごく深いヴィジュアル系愛を感じたし、僕が前にやっていたPhantasmagoriaというバンドの音をよく聴いてくれていたみたいで、今回のソロ・アルバムの話が決まったときも"参加したい"って言ってくれたんです。ただ、これまでは彼女の要望に応えて僕が曲を書いていましたからね。その点、今回はあくまでも僕の作品なので、"そこはいつもとちょっと違うよ"ということは説明してから、詞も書いてもらうことになりました。細かい言い回しとかは僕が少し直したところもありましたけど、詞の内容も歌い方も基本は彼女が自分で考えてやってくれてます。

-歌詞と言えば、今回の30曲の内、ほとんどをKISAKIさんがご自身で書かれていますよね。これだけの歌詞を生み出すこともまた大変だったのではないですか?

この取材の最初のほうで話題に出た、それぞれのアルバムに対するキャッチフレーズみたいなものがあったじゃないですか。まずはそれが先にあって、そこから各曲に対するキーワードみたいなものを探していきつつ、そこから曲調やサウンドのイメージも考慮しながら歌詞は書いていった感じでしたね。結果的に、詞の面でも自分の想いをたくさん詰め込んでいくことになりました。

-ここまで30年間の出来事を、半ば自伝のように各曲の中で表していくことになったとも言えそうですね。

そうですね。自分が経験してきたこと、自分が考えていること、そういう主観的な内容になっていると思います。

-この歌詞たちを読み、この歌を聴いていると......KISAKIさんの辿ってきた30年の日々は紆余曲折の多い日々であったことが窺えます。

おそらく、周りの人が思っている以上に僕にとっては苦しいことのほうが多い30年でしたね。もちろん、楽しいこともたくさんありましたけど、決してそれだけではなかったですから。そして、30年間こうして音楽活動を続けてこられた以上は、この節目で何かかたちとして残しておきたかったので、それを歌詞でも作品にできたことは本当に良かったです。だから、別に僕はこのアルバムたちが一般評価とかされなくても別にいいや、自己満足でもいい! って最初は思ってました。

-なるほど。"最初は"ということは――

3枚がほぼ完成して、これだけたくさんの方たちに協力してもらったことを思ったり、自分としても納得のいくものができたなという自信を持てるようになったりした今は、単なる自己満足だけでは終わらせたくないと思い、こうして激ロックさんの取材でもこの作品について自分の気持ちを話すことにしましたし、これをきっかけにしていろいろな人たちに聴いてもらえたらいいな、とも思っているんですよ。なんだかんだで、足掛け3年くらいの長い時間も費やして作ったアルバムたちですしね。

-なお今作たちについては作曲、作詞、アレンジ、全体プロデュースに加えてKISAKIさんはベース・プレイまで全曲されているわけですけれど、いち奏者としてこの30曲と向き合ってみたなかで感じられたのはどのようなことでしたか。

いやもう、何が一番大変だったかって言ったら絶対そこですね。この30年間で最もたくさんベースを弾いたのは、間違いなく今回のレコーディングでしたもん(苦笑)。また、みんなにいったんベースを入れたデモを渡すでしょ。そうすると、めちゃくちゃギターとかたくさん音を入れてくるんですよ。そうなると、音的に"当たっちゃう"ところが出てくるから、ベースのほうのフレーズを変える必要が出てくるわけでね。そこからの録り直し、というパターンが多々ありました。おまけに、去年の年末は年明けのライヴに向けたリハーサルも重なってたんで、一瞬これは腱鞘炎になったんちゃうんか? っていうくらいの状態になってましたね。なんとか乗り切りましたけど。

-その修羅場を乗り越えられた原動力は、KISAKIさんにとってなんでしたか。

そこはもう、ヴィジュアル系と自分がやってきた音楽に対する愛があるからというところに尽きますね。そして、自分が生んだ子供たち=曲たちをこの世に残したいっていう気持ちも強かったですし、もちろん力を貸してくれたアーティストたちの期待に応えられなければ意味がないとも感じてました。

-『Providence』、『Afterglow』、『Preuve d'etre』の3作はそれらをすべて叶えたものに仕上がりましたね。

作っている途中は精神的に落ちて行き詰まることもとても多くて、つい"自分、ドMなんか!?"って思う瞬間もありましたけど(笑)、こうして満足いくものを完成させられたことは実に感慨深いですね。そう思うと、結果的に、自分は恵まれた音楽人生を30年間にもわたって過ごしてくることができたんだなぁって、今改めて感じてます。この3枚は僕のバンド人生、音楽人生そのものですからね。ヴィジュアル系の良さっていうものも徹底して追求しているのと同時に、激ロックのメイン読者層である、メタル・ファンが聴いても楽しめるものになっているとも思うし、僕としては、ジャンルの壁を越えていろんなミュージシャンたちと音楽で繋がっているところを、みなさんに味わってもらえると嬉しいです。


KISAKI 30周年企画フル・アルバム参加メンバーからお祝いコメント到着!

KISAKI 30周年企画フル・アルバム参加メンバーからお祝いコメント到着!


AKIRA(MIRAGE/RENAME)

<『Providence』、『Afterglow』、『Preuve d'etre』半分以上のヴォーカル担当>

レコーディング開始時期がコロナ禍位だったのでかなり長期にわたってのプロジェクトでしたが、ずっと一緒に居た、というのが1番印象にあります(笑)

多種多様な曲を唄わせてもらったので自分の未開拓な扉も開きました。

KISAKIさんとは、めちゃくちゃ長い付き合いの中でずっと一緒に居た訳ではないけど、俺が心折れるというか"もう無理。辞めようかな"位まで落ちるタイミングで必ず現れてくれた人です。何故か毎回。


ほぼ全て新曲(書きおろし)で構成されてるのに何かこうベスト盤という印象を皆受けるんじゃないでしょうか。

元々培われたものを変えるって凄い難しいことだと思うんですけど、それをやってのけて迎えた30周年。

次は40周年ですね!その時はまた唄いますね(笑)

カッチン(THE FLYNG PANTS)

<『Preuve d'etre』収録「From Paradox」楽曲提供>

少年期にある喜怒哀楽の楽といいますか、キーたんが貫き続けてる様式美の世界でのKISAKIそのもののままを、

まだROCKも知らない子供の頃の、神になる前の"少年KISAKI"の音に引き摺り込んだイメージ、ってな感じとでも言いましょうか。

30年のKISAKIを想いながらご自由に聴いてみてください☆

KISAKIとの思い出はTV「神言基地」のMCを一緒にやって以来、公私ともにニコニコな付き合いが17年。

圧倒的に"私"の絡みが占めますが思い出と言うならどれくらいあるかわからず溢れ出る数多のいたずらっ子という言葉に集約されます(笑)

ホンマいたずら小僧でドッキリ系のいたずらを食らって心臓が止まりかけた事があります。


30年間色々並大抵の苦労もあったと思うけど第一線で活動してきた軌跡はホンマ見事っス!!

キーたんがV系最前線で突っ走ってくれてる内は俺もまだまだ若くおれるよ。

その度キーたんの衣装のお下がりを俺が着ていけるからねー(笑)


まだまた通過点やろ?まだまだ演ってこう!!

とりあえず30周年アッパレ、おめでとう。

乾 誠太朗(レコーディング・エンジニア)

<『Providence』、『Afterglow』、『Preuve d'etre』全曲のミックスダウン、マスタリング担当>

30曲すべて各楽器のテイクや歌のニュアンス、MIXまで基本お一人で細部まで耳を配っていました。

特にボーカルのニュアンスにはこだわりを感じました。

この3年間はお互いのスケジュールが空いていればお会いすることが多く次はどんな曲が来るんだろう!?とエンジニアとして毎回楽しみでした。

これだけの楽曲を制作するパワーと情熱には感服するばかりです。

全編聴きどころありまくりですが多数のゲストが参加され、バラエティに富んだ楽曲が並びますがそれでいて統一感があります。

それをまとめるKISAKIさんのプロデュース力、アーティストとしての世界観を存分に堪能していただければと思います!

そしてこのプロジェクトに参加できて光栄でした。ありがとうございます!