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INTERVIEW

矢島舞依

2022.05.10UPDATE

2022年05月号掲載

矢島舞依

Interviewer:杉江 由紀

-さて。そうしたなかで、このアルバムの最後を締めくくるのは、先ほども少し話題に出ました矢島さん初の作曲作品となる「Silver Bullet」です。なお、作曲自体についてはこれまでもトライをされたご経験はあったのですか? それとも、今回がまるっきり初めての作曲だったのでしょうか?

そこは答え方がちょっと難しいんですけど、昔私は小学生の頃にピアノをやっていたことがありまして。その当時に、ちょっと自分なりに好きな曲のメロディを変えたりとか、そこに歌詞をつけて曲のようなものを作って遊んだりしたことはあったんです。でも、ちゃんと自分の曲として作ったという意味からいけば、「Silver Bullet」が初めての曲ということになると思います。

-となりますと、この「Silver Bullet」もピアノで作られたのですか?

今回はコードとドラム・パートから作っていきました。メロスピのアルバムに入れる新曲であるという前提がありましたから、先にリズムを固めて曲の方向性を定めるところから始めていったんです。方向性としては3拍子で始まってサビだけ4拍子で駆け抜けるメロスピにしよう、という案が自分の中にはまずありました。さっき、3拍子の曲は今回のアルバムから外したというお話をしましたけど、3拍子と4拍子を交ぜることでメロスピ感は保ちつつ、他とはまた違った質感を持った曲にしたかったんです。というのも、基本的に矢島舞依の曲はどれも闇とかヴァンパイアをコンセプトにしているぶん、全部ちょっと雰囲気は暗いんですね。それもあって、自分で初めて作るならここはあえて明るめな楽曲を作ろうって決めたんです。

-作曲作業はスムーズに進みました?

いや、難しかったです(苦笑)。ここまでカッコいい曲たちをブレーンの作曲家の方たちにたくさん書いてきていただいているので、それに勝るような曲やメロディなんていきなり自分には作れるわけがないだろう、って思ってましたしね。ただ、今までと違うことでなおかつ自分が前からやりたいと思っていたことだったら、自分なりに頑張ることはできるかなと思って、その気持ちを持ちながら作っていったのが「Silver Bullet」でした。もちろん、だからといって全編を明るくしちゃうと、メロスピ・アルバムの中から浮いてしまうし、矢島舞依のこれまで作ってきた世界観とも乖離してしまうので、イントロもAメロもBメロもちゃんとダークなんだけど、サビではすごく明るくなる! という1曲の中にギャップがある展開にしていきました。それと、今はまだコロナのことがあるので、ライヴで実現するのはちょっと難しいだろうなとは思いつつ、いずれはお客さんたちとのコール&レスポンスができたらいいなという願いも込めて、そういうパートもこの曲の中には入れました。

-近い将来に向けた願掛けのようなものにもなっているわけですね。

以前にも、コール&レスポンスの入った曲があるといいのになと思っていたことはあるんです。でも、その当時はそれが似合うような曲がちょっとなくて。自分で作るんだったら、それを実現できるって思ったんですよ。結果的にいろいろなものをたくさん詰め込んでしまったので、アレンジャーの方にはご迷惑をおかけしてしまいましたが(苦笑)、おかげさまでこうしてなんとか1曲として仕上がりました。

-「Silver Bullet」の中には光と闇が混在していますね。そこに深い説得力がこもっていると感じます。また、この曲がアルバムの最後を飾ることによって激烈な流れを乗り越えながら、新境地へ上手く着地したような締めくくり感も生まれているように思いました。

そう言っていただけると嬉しいです、ありがとうございます。実はこの曲、デモ段階の仮タイトルがまさに"光と闇"だったんですよ。そこが伝わったのは本当に良かったです。

-ちなみに、コール&レスポンスという部分に関して言えば、現状でも政府のガイドラインによると、ハーフキャパであれば声出しOKというふうにはなっているようですし、実験的にそのようなライヴをしているアーティストもいるようではあるのですが、まだなかなか諸々の問題もあり、コール&レスポンスが頻繁に行われる状況は整っていません。とはいえ、確実にそこに向けた歩みを続けている経過過程が今だとも思いますので、ここは諦めずに希望を持っていたいところですね。

本当にそうですね。いつかはみんなと「Silver Bullet」で一緒に声を出しあって盛り上がれたらいいな、と私も心から願ってます。

-かくして、このシンフォニック・メロスピ・ベスト・アルバム『METAMORPHOSE』は、激烈で濃厚な内容に仕上がったわけですけれど、これは赤唐辛子か青唐辛子かで例えて言えば後者のような味わいの仕上がりだと思うのですよ。刺激的で辛いことには変わりないものの、聴き終わったあとの感覚はとてもスッキリしていますね。

だったら良かったです。自分で作ったアルバムなんですけど、客観的に見るとかなり狂気の沙汰な内容になっちゃったし、内心ちょっと"みんな最後までたどり着けるかな!?"って心配だったんですよ。なんなら、歌の録り直しをしたときに"あれ? この曲ここまで速かったっけ?"って自分の曲なのに若干驚いたこともありましたし(笑)。

-なんとまぁ(笑)。

ライヴで歌ってるときは、アドレナリンが出まくってる状態なのでたぶんあんまり気づかないんでしょうね。でも、いざ改めてスタジオで歌うとなると"ここまで速かった!?"って感じたんだと思います。歌うためのスタミナは相当必要なので、今回のレコーディングに向けても、コンディショニングは万全なかたちで整えていくようにしました。

-そうなりますと、今作の発売後には、6月19日に赤羽ReNY alphaでのワンマン・ライヴ("Sabbat of Metamorphose")が控えているそうですから、ここからはそこに向けてのコンディショニングもされていくことになるわけですか。

矢島舞依としてステージに上がり、その空間を支配するヴァンパイアとしてやるべきことを貫くには、心身ともにパワーが必要なのは間違いないので、6月19日のライヴでもいいパフォーマンスができるように準備していきたいと思ってます。そして、このライヴをもって矢島舞依は一般的に言うところの活動休止期間に入るんですよ。もちろん、これは後ろ向きなものではなくて、いったん充電期間に入らせていただきたいということなので、その前に、今回こうして自分の活動を集約するかたちで『METAMORPHOSE』を出せることによって、改めて自分のさらに究めていきたい道もはっきりと見えてきたのは良かったですね。ここから次の扉を開けていくためのさらに強い力を自分に備えていくという意味で、準備の時間をとりたいと思ってますので、とにかく今はひとつの節目となる6月のワンマンに向けて、体力作りもさらにしていきたいですし、不健康なヴァンパイアのイメージとは真逆な行動かもしれないですけど、ビタミンとかもめっちゃ取ります(笑)。