INTERVIEW
HYDE
2020.11.20UPDATE
2020年11月号掲載
Interviewer:荒金 良介
-それを具現化できたと。「LET IT OUT」はクレジットに元TOTALFATのメタル・ギタリストであるKubotyさんの名前が入ってます。
アルバム作りに入るタイミングでスタッフから紹介してもらって、何曲か作ってくれて、そのデモの中の1曲がこの曲です。
-この曲のどこに引っ掛かりました?
リフがかっこ良かった。コード進行もいい感じだったので、これはいけるなと。原曲のメロディはゴシックだったのでそれは違うなと思って......たぶん、彼は僕のことをゴシックのイメージで作ったんでしょうね(笑)。だから、僕はそこをなくして、合唱系にしました。リフはかっこ良かったので、そのまま使おうと。
-海外は特にシンガロングする観客が多いですからね。「LET IT OUT」を通して、HYDEさんが伝えたいメッセージは?
わかりやすく"目覚めろ(Wake it up)"からスタートしているんですけど、全部を吐き出すように歌って、みんなで叫べば次の未来が待っているんじゃないか。そういうイメージはありました。
-現在はコロナ禍の状況もあり、ライヴハウスでシンガロング禁止になっているので、あえてそういう曲をぶつけようと?
そうですね。もちろんライヴが再開できることを前提にしているので、そのときにつらかった気持ちを吐き出せたらいいなと。
-そして、カップリング曲「GLAMOROUS SKY」のクレジットにはPay money To my PainのPABLO(Gt)さんの名前があります。イントロからPTP(Pay money To my Pain)を彷彿させる切ないギターの音色が印象的ですけど、この曲を取り上げた理由は?
フェスに出る機会が増えて、やっぱりメジャーな曲をやるとパッと会場が爆発するんですよね。じゃあ、この曲をフェス・バージョンにして、激しくしたら、もっと盛り上がるんじゃないかと。それでPABLOにアレンジしてもらってライヴでやってたんだけど、どうせならレコーディングしようと。実際の自分のやりたい音楽とは違うんだけど、フェスの起爆剤として入れたくて。PABLOは"結局、みんなこういう曲が好きなんでしょ?"と言ってました(笑)。日本人はメジャー感があって、速い曲が好きですからね。今のアメリカでは明るくて速い曲はあまり流行らないけど。
-アメリカはロック自体が隅っこに追いやられている状態ですもんね。
何年も前の話ですけど、向こうの作曲陣にも明るくて速い曲なんて誰もやらないよと言われましたからね。ダークじゃないと、速い曲はやっちゃダメって。
-改めて歌詞を読むと、"あの雲を払って 君の未来照らしたい"の描写は今の状況ともリンクするなと。
あぁ、そうですね。この歌詞は似て非なるフレーズが多くて、なかなか覚えられないんですよ。それは中島美嘉ちゃんも言ってました。この歌詞は覚えられない、間違えずに歌うのは至難の業だと(笑)。
-それと、アコースティック・ツアー(2020年12月26日より開催の"HYDE LIVE 2020-2021 ANTI WIRE")も予定されているそうですね?
9月にロックとアコースティックの、配信+お客さんを入れたライヴをやったんですよ("HYDE LIVE 2020 Jekyll & Hyde")。で、どうせ席ありにするならアコースティック・バージョンならホールでもできると思って。それならばどこの地方でもやれるなと思ったんですよ。もともと抑えていたぴあアリーナMMがあったので、そこを皮切りに2021年に向けて全国ツアーを組みました。
-9月にアコースティック・ライヴをやった手応えはいかがでした?
配信に興味はなかったんだけど、思ったよりも面白いなと。カメラを意識するのも得意なほうだから、僕には合ってるかもしれない。
-配信ライヴはミュージシャンによって、もうやりたくないと言う人もいますが、HYDEさんの場合は......。
僕はここで生き残れますね(笑)。
-新たな表現スタイルを見つけたぐらいの気持ちですか?
そうそう。逆にこれを武器にして、アメリカでもやれるかもなって。コロナ禍で何もライヴができないんじゃなく、この映像で攻撃できるだろうと。アメリカでもこんなことをする人はいないと思うから。この映像を向こうで配信したら、こんなクレイジーな奴が日本にいるんだ! って。今回のツアーのアコースティック・ライヴもみなさんが思っている静かなものとは違って、ドコドコやってるような騒げるアコースティックなので、これは新しい世界観を作れそうだなと。前回は東京の人だけだったので、結構地方のファンからジェラシーがすごかったんですよ。"ずるい、東京だけ"って。ごめんね、成功したら次があるからって約束したので。それで地方でもやろうと急ピッチで準備しました。
-わかりました。作曲作業は継続してやっているんですか?
ずっとやってます。アルバムに向けて曲を集めたりして、何曲かできあがっているものもあるんですよ。
-あまり詳細は言えないかもしれませんが、サウンドの方向性は?
まぁ、ジャンル的には今回と同じですね。リフものでハード且つヘヴィな曲がメインです。ポップなものもありますけど、基本的にはライヴでガーッと盛り上がるような、アメリカのバンドに負けない感じを目指してます。
-HYDEさんの今のモードはよりヘヴィでアグレッシヴな音楽性に向いている?
そうですね。IN THIS MOMENTやSEVENDUSTと一緒にやっても負けない曲というか、特にフェスに出たときに勝てる音楽にしたいんですよ。
-これまでのお話と被る部分もあるかもしれませんが、HYDEさんが思うフェスで勝てる音楽の必須条件とは?
僕もいろいろな音楽が好きなので絞ったんですよ。オルタナティヴなものはバンドが多すぎるし、ここでは無理だなと。だから、アクティヴ・ロックか、メタルに絞って、そこで勝てる音楽をやろうと。その勝てるというのは見た目で盛り上がってるかどうか。モッシュ、ダイブが起きるかとかですね。そこで勝つためにはまさに「LET IT OUT」みたいな曲が必要だなと。今これを読んでる人も偏見があると思うけど聴いてから判断してほしい。
-よりフィジカルに訴える音楽を目指して?
日本はテンポ感を上げれば盛り上がるんですけど、向こうはテンポを上げればいいわけじゃないので、SLIPKNOTみたいな腹にグンと来る音楽のほうがノリやすいと思うんですよ。それこそ"KNOTFEST"に出たいですね。そこでこいつらすげぇなと思われるのが目標です。
-最近、HYDEさんが聴いているメタル・バンドはいます?
BRING ME THE HORIZONは好きですね。
-BRING ME THE HORIZONの単独公演(HYDEがゲスト・アクトとして出演した、2019年8月19日新木場STUDIO COASTで開催の"SUMMER SONIC EXTRA")も観に行きました。
そうなんですね! あと、メタルじゃないけど、FEVER 333も好きです。
-彼らもかっこいいですよね。BRING ME THE HORIZONに関しては完全に突き抜けましたね。
そうなんですよね。アルバムごとに色合いが違うから、ライヴでジャンルがぐちゃぐちゃになるじゃないですか。ハードコアもあればポップな曲もある。あのライヴ展開は僕も参考にしたいですね。それでポップなフェスだったら明るめの曲を、メタル・フェスだったらハードな曲を増やして、どんなフェスにも出れるバンドでありたいなと。