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INTERVIEW

KILLSWITCH ENGAGE

2019.08.19UPDATE

2019年08月号掲載

KILLSWITCH ENGAGE

メンバー:Jesse Leach(Vo)

インタビュアー:米沢 彰

-確かに、作品への興味を引くならこの3曲かなとは思いましたが、「Us Against The World」の感情が迸るようなヴォーカル・ワークも、「Take Control」のたまらなくエモいコード進行も、「I Can't Be The Only One」のサビでの琴線に触れるようなギター・リフも、どれも最高です。選ぶのは本当に難しかったのではないでしょうか?

まぁ、俺の願望としては、アルバムがうまくいって、その3つもシングル・カットされることだね(笑)。「Us Against The World」なんかは俺も間違いなく推すよ。「Take Control」はデチューンされたギターのサウンドからブルージーな音へと脱却していくような曲だし......。様子を見るよ。どこかの時点でシングルとしてリリースされるかも知れないし、何が起こるかわからないからね。

-TESTAMENTのChuck Billy(Vo)も「The Crownless King」にフィーチャリングで参加していますね。こちらはどういった経緯だったのでしょうか?

曲を作り終わってみたら、かなりプロテスト(抗議)・ソング的な色が濃かったんだよね。政治的なリーダーたちへの(苦笑)。それをあからさまな形で書かないようにするにはどうすればいいか考えながら書いたんだ。それで"やつらが王様だったときの時代"みたいな書き方にしてね。俺は"Crownless king(王冠のない王様)"というアイディアが好きなんだ。そいつが人々の顔に泥を塗ってきたところに、その人々が権力を取り戻そう、王冠を取り戻そうと逆襲する。そういうアイディアとイメージが好きだから曲にしたんだけど、どういうふうに演出しようか考えていたんだよね。俺はネイティヴ・アメリカンの血が流れているから、ファースト・ネーション(※北米の先住民族のこと)のひとりとしてこの国で今起こっていることを考えると、あまりに切なくてさ。そんなところにギターのJoel(Stroetzel)が"この曲TESTAMENTっぽく聞こえるし、Chuckに参加してもらったらすごいと思うんだけど"って言ってくれたんだ。あの強烈な声が入ったら最高だよね。ということで打診してみたら二つ返事でイエスと言ってくれた。それで参加してもらったんだ。パーフェクトだよね。というのも、彼もファースト・ネーションなんだ。つまり、ネイティヴ・アメリカンの血が入っているふたりが、今のこの国の状態についてプロテスト・ソングを歌っていることになる。ものすごくパワフルなメッセージだと思う。と言っても、この国だけじゃなくて、恐怖症やレイシズム、偏見のある国ならどこにでも届くメッセージなんだ。今先進国で起こっていることで、俺が断固したいものに対してのメッセージだね。拳を上げて反逆の声を上げる俺なりの方法なんだ。俺たちはそういうものには絶対に屈しないし、人権を認められてしかるべき人たちのために声を上げていきたいね。

-日本にも人々を分断する問題はいろいろありますし、ヨーロッパをはじめいろいろな地域でもあると思います。

わかるよ。だからこそ大事なことだと思うんだ。

-この曲に共感する人はきっと多いでしょうね。

そうだといいね。それから、心的イメージは大切だと思うんだ。"王座を追われる王"というのは今の時代のことじゃないけど、とてもパワフルだしね。

-今の時点で作詞者、作曲者などの情報が特にこちらにはないのですが、今作でも主にAdamとJoelが作曲を担って、あなたが作詞を行ったのでしょうか?

今回は俺も含めて全員が携っているんだ。曲によっては俺だけ、Adamだけ、Joelだけ、Mike(D'Antonio/Ba)だけで書いたのもあるけど、デモを持ち寄ったらあとは全員でアイディアを出し合った。当初はひとりで書いたものだとしても、肉づけは全員がして、最終的にはAdamが決定権を持つ感じだったね。あいつが運転席に座っているんだ。誰がリーダーかって聞かれたら間違いなくあいつだね。締めの意見を出すのはあいつなんだ。メンバーは全員、あいつをすごく信頼しているからね。

-聴く限り楽曲の方法論など外形的なことに関しては大きな変化はないように感じたのですが、制作のプロセスとしてこれまでと変えたことや変えようとしたことなどはあったのでしょうか?

俺は変えざるを得なかった面があったけど、他のメンバーは概ね変わっていないと思う。"壊れていないものを直す必要はない"ってことでね。でもたいてい俺は、完璧なアイディアを生み出すのにすごく頑張ってしまうタイプなんだ。たぶん頑張りすぎていたんだと思うけど、ちょっと分析的になりすぎてしまったきらいがあったんだよね。それで、このプロセスのどこかの時点で、ラフなアイディアをAdamに持っていって、Adamに俺の手助けをしてほしいと頼んだんだ。謙虚になって教えを請う必要があったからね。それを自分に許したら、そういうことが自分の強みになることに気づいたんだ。アルバムの中でも特にいい曲はそうしたおかげで生まれたからね。完全にはできあがっていないアイディアを人に見せられるくらいの謙虚さを持つことが必要だったんだ。そんな感じで、このアルバムのために俺はプロセスを変えた。今後はもっと今回のようにやろうと思うよ。Adamとかプロデューサーの意見を俺のプロセスに取り入れることが、俺の分析しすぎ、考えすぎの傾向に歯止めをかけてくれるからね。その傾向は、時には強みにならないこともあるし。

-個人個人の作業というよりもグループ・ワークの度合いが強いからこそ、一体感のあるアルバムに仕上がっているんですね。

そうだね。みんなの努力が合わさった結果だと思う。でもAdamには100パーセント脱帽するよ。すべてをまとめて洗練させてくれて、このアルバムをあるべき姿にしてくれたからね。俺たち残りのメンバーよりも貢献度が高かったと思う。そう言ってもあいつは嫌がると思うけど(笑)。縁の下の力持ちになってアルバムの今の姿を作ってくれたわけだから。

-アルバム・タイトルの"Atonement(償い)"というワードはかなり意味深に感じました。

そうなんだよ。......ダブル・ミーニング的なものがあるんだ。その人がしてしまった状態にその人自身を追い込む、という考えが好きでね。ほとんどリベンジみたいな形で。そういう意味ですごくアグレッシヴな言葉なんだ。その人がしてしまったことの落とし前をつけさせるような感じかな。同時に俺個人にとっては個人的なあがないでもある。自分自身の欠点を認めて、自分が経験したことを認めて、そこから自己実現に繋げていく。変わらないといけないってね。自分のしたことを素直に認めて正面から向き合って、その変化を起こせるだけの謙虚さを持たないといけないときが人生にはあるということに気づかないといけないんだ。他人のことでもあり、自分の中の何かを変えることの必要性についてでもある。自分の人生、自分の存在を認めて、怯まないことだね。

-作品全体にコンセプトなどはあるのでしょうか?

いや、ないんじゃないかな。タイトルは違う曲の集まりをまとめるのに十分曖昧というか一般的な感じにしたけど、今振り返ってみてもコンセプト・アルバムという気はしないんだ。君がさっき"cohesive(一体感のある、まとまりのある)"という言葉を使っただろう? その言葉いいなと思ったんだけど(笑)。cohesiveなアルバムだとは思うね。でも一貫したテーマがあるわけじゃなくて、それぞれの曲が独立した存在なんだ。

-7月8日から北米ツアーが始まりますね(※インタビューは7月3日)。秋にはヨーロッパ・ツアーもあります。その合間、もしくはその後のバンドの予定をうかがえますか?

そのツアーの合間に、今作っているアルバム2枚に取り組むんだ。TIMES OF GRACEのアルバムをAdamと作る。それからTHE WEAPONというハードコア・パンクのバンドもやっているんだ。政治的でアナーキストな感じのパンク。それ以外はできるだけ休息を取りたいね(笑)。これからかなりノンストップな日々になるから。

-相変わらず勤勉ですね。来日もどこかで実現するといいなとこちらとしては思っているんですが。前回が2014年ですから、ずいぶん経っていますしね。

そうだね。まずはそういう需要があるかにかかってくると思う。あとは理にかなったツアー・スケジュールと採算が組めればね。理想としてはオーストラリア・ツアーと一緒にできればいいんだけど。日本にまた行きたい気持ちは全員が持っているから、うまくやれるか様子を見てみるよ。そっち方面に行くのは決してコストが低くないからね(苦笑)。

-地球の裏側ですからね。でもうまく予定が組めることを願っています。最後に日本のファンへのメッセージをお願いします。

まず、20年間このバンドを支えてきてくれて本当に感謝している。それから、思いやりの心を持つことを教えてくれたことも。世の中はヘイトや指導者たちの横暴に溢れているけど、変化を起こすパワーは自分の中にあることに気づいてほしい。自分の中にあるパワーで愛とポジティヴさを拡散して、ひとりずつの思考、ひとりずつの行動で世界を変えていこう。自分のパワーの存在に気づいて、それをますます強くしていくんだ。自分やすべてのものを疑うことを教え込まれることが多いこの世の中で、それが俺たち人間にとって超重要なことだと思う。人の中には、世界を変えることのできる愛や理解を支えられる力があるはずなんだ。