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INTERVIEW

MUCC

2019.02.12UPDATE

2019年02月号掲載

MUCC

Member:逹瑯(Vo) ミヤ(Gt)

Interviewer:杉江 由紀

-そして、今作はホラーがテーマになっているというだけあって、歌詞世界の濃厚さの部分でも特筆すべきアルバムとして仕上がっております。

ミヤ:「ヴァンパイア」なんかはこのアルバムだからこそ入った曲と言えるでしょうね。サビの歌詞だけは8年前からあって、あのときは"これは今は入れられないな"と思ってボツにしたわけですけど、今回アウトテイク集を作るとなったときに、ホラーというコンセプトが浮かび上がってきたのは、こういう曲の存在があったからとも言えるので、ここでこういう機会が作れたのは良かったです。曲のタイプとしてもこういうのはあんまりないし、いつかは出したいとも思っていたから、サビ以外の歌詞を変えたりレトロな色合いを入れることで、この曲を生かしていくことになりました。

-逹瑯さんがこのアルバムの中でホラーをモチーフとしながら歌詞を書いていく際、意識されていたのはどんなことでしたか?

逹瑯:コンセプトが決まってから歌詞を書いたのは「Living Dead」だけでしたけど、ちょうどタイトル・チューンにあたるものがないなっていう話になって、俺が思うリビングデッドを描いたのがこの詞と曲です。

-こちらの楽曲はとてもドラマチックですね。

逹瑯:ミュージカルみたいな編成の曲を前からやりたかったんですよ。ふたりの登場人物が交互に歌っていって、違うベクトルのことを歌っているんだけど、歌詞を交ぜるとひとつの文章なり物語になるっていうのをね。これまでそういうのはうちのバンドになかったから。これも今回のコンセプトがあったからこそ生かせた曲でしょうね。

ミヤ:音的にはシューゲイザーっぽさとピアノをうまく融合させることで、自分の中でイメージが広がっていった曲です。

-シューゲイザーと言えば、今作中の「In the shadows」も、サウンドとしては90年代のクリエイション・レーベル的な匂いを纏ったものに聴こえました。

ミヤ:それはめっちゃ意識して、音の厚みとして出しましたね。あとKOЯNの音もすごく意識してます。これは『時限爆弾』(2018年7月リリースの37thシングル)のときのアウトテイクというか、保険で作って北海道ツアー"MUCC 2018 Lock on snipe Tour #1『北海道型収監6days』"のときにライヴでやってた曲です。レコーディングもツアーのあとにしましたけど、音源化はしてなかったのでここに入れたんですよ。

逹瑯:歌詞はですね、レコーディング前に書き直すことでちゃんと落としたかったところに落とせた感じです。情報量の多い歌詞になってます。

-それから、「積想」も厳密にはアウトテイクであるとのお話が先ほどありました。そこも少し具体的に説明していただけると嬉しいです。

逹瑯:これは北陸ツアー"MUCC 2018 Lock on snipe Tour #3『北陸型収監6days』"のときのデモ・テープのための曲出しのために作った1曲です。季節的に冬っぽい曲にしたかったし、映画音楽みたいなものにしたかったんですよね。

-その他にも、今作にはダブ要素とトランス感の強い「アイリス」や、曲をSATOち(Dr)さんとミヤさんで作りつつ、詞をSATOちさんと逹瑯さんが書かれている哀愁漂う「百合と翼」、一転して今作中で唯一メジャー感の漂うアッパー・チューン「カウントダウン」などが収録されておりますが、とにかく聴き応えという点で非常に濃密なものを感じられるアルバムに仕上がっていると感じます。

逹瑯:9曲+ピアノ・インストだから、数として見たらアルバムとしてはちょっと少ない気もするけど、このコンセプトから外れた曲や既発のシングル曲は入れなかったことによって、内容の濃さをそのまま薄めずに作ることができたのは間違いないです。この間、DEZERTのSORA(Dr)なんかは"聴いていて、映画を観ているような感じがしました"って言ってたしね。

-"壊れたピアノとリビングデッド"というタイトル自体も映画や小説のそれであるかのようですし。奥行きがあって深さのあるこの音像もまた、聴き手をMUCCならではのホラー世界へとぐいぐい引きずり込んでくれます。

ミヤ:ありがとうございます。嬉しいです。あらゆる意味で今回のアルバムはイレギュラーなものですよ。集中型ツアーと連動してるデモ・テープたちに関しては、その曲がライヴで育って、のちのちアルバムとして完成させるというところに最終的に行き着こうとしているんですけど、この『壊れたピアノとリビングデッド』は、最新のものとすごく古いものや、ハイファイなものとローファイなものを混ぜ合わせながら、今のこのタイミングでやりたいことをすべてやれました。

-さて。今後はZeppツアー"壊れたピアノとリビングデッド"(2月から4月にかけて開催)とホール・ツアー"壊れたピアノとリビング デッド feat. 殺シノ調ベ"(5月から6月にかけて開催)が控えております。これらに関してはどのようなスタンスで臨んでいくことになるでしょうか?

ミヤ:Zeppツアーはタイトルどおりにアルバムの曲を中心にやって、ホール・ツアーではアルバムの曲だけじゃないものもさらに交ぜながら、ホールではオケ(オーケストラ)を入れたまた違う見せ方、聴かせ方のライヴになっていくと思います。