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INTERVIEW

浅葱

2018.09.14UPDATE

2018年09月号掲載

浅葱

Interviewer:杉江 由紀

-和楽器とロック・サウンドの融合を図っていくことの面白さと、難しさ。その両方について浅葱さんが感じていらっしゃることはなんでしょうか?

単純に箏や鼓や太鼓の音を入れれば和との融合かというとそういうわけでもなく、大和言葉を乱用すればそれっぽくなるかというとそうでもないんですよね。下手に和風にすることでチープさが出てしまう場合もあるので、手を出しやすそうに見えてかなり奥深い世界だと思います。でも大変なぶん、完成したときの喜びは大きいですね。音と詞が合わさり歌になることで、音楽から絵巻物が生まれるんですよ。ハードルが低ければ越えていくのは当然楽ですが、それ以上の世界は見いだせませんから。なんでもそうですけど、寝転びながら山の麓で山頂の景色を想像するのと、時間と労力をかけて山頂に辿り着いたうえで見る景色の違いは明らかで、僕は常に後者でありたいなということです。

-『妖狐の嫁入り』のレコーディング・メンバーについて、教えてください。

ギターにHIRO(La'cryma Christi/Creature Creature)さん、you(Janne Da Arc)君、ベースに燿(摩天楼オペラ)君、ドラムに淳士(BULL ZEICHEN 88/戦国時代-The age of civil wars-/ex-SIAM SHADE)さん、鼓・大鼓・太鼓に真矢 (LUNA SEA)さん、琴にTomoko (HEAVENESE)さんです。このメンバーは『斑』のレコーディングにも参加していただいているメンバーなんですが、今回は曲を作っているときからこのメンバーが頭にあって。こういうふうに弾いたり叩いたりしてくれるだろうなって想像したうえでお願いしました。前回もそうでしたが、予想以上の素晴らしいものが来ると思います。力強さと繊細さを併せ持った雅やかなみなさんです!

-「妖狐の嫁入り」のヴォーカリゼーションは、場面によって、艶やかさやある種の狂気を感じさせるドラマチックなものとなっています。ひとつの物語を歌で綴っていく際に、浅葱さんはどのような表現を目指していかれたのでしょうか?

自分のヴォーカル人生の中でも最も狂気を孕んだ曲かもしれませんね。ひとつの歌、物語の中でも頭から終わりまでずっと同じ気持ちを叫び続けるのって、自分としてはあまり好みではないんですよ。たった5分ほどの曲だったとしても、起承転結というか、なぜこのような結果に至ったのかという始まりと流れが欲しいんです。なのでひとつの曲の中でも感情に差は出ますし、今回であれば自分がこの妖狐そのものになったつもりで歌っていますね。歌詞にはない背景などの部分も、歌っている間は自分の記憶であり、痛みも憎しみもすべて取り入れて歌っています。

-歌詞に使われている古き良き日本語について、浅葱さんがあえてこの表現方法を取られる理由はなんでしょうか? また、それを歌っていくときに大事なこととはどういったことでしょう?

古から息づく妖を描いている場合や、世界観の時代背景が今より昔であるので、現代の言葉で表現するよりは、古語である方が自然であると感じたからです。歌い回しが難しいなと思うこともあるのですが、最終的に音と重なって合致したときの美しさは絶対的なんですよ。それに直接的だと嫌厭されがちな残酷な表現も、古語は美しく求肥に包んでくれるんです。

-楽曲の歌詞や世界観と連動したヴィジュアライズを構築していくにあたり、新衣装やアートワークにどんな要素を盛り込んでいきたいとお考えでしたか?

次はこういうコンセプトでいきたいなと思うと、だいたい曲のイメージと同時に衣装やアートワークもぽんぽんぽんっと構築されていくというか、色づいていくので、それをそれぞれの専門職の方に形にしてもらっています。もうみなさん長いお付き合いなので、僕の理想をよく理解してくれていますね(笑)。今回は"妖狐の嫁入り"でしたので、浮かびあがるイメージとしては、季節は秋、彼岸花の咲く畦道に花嫁道中、好物のお揚げを食べると見え隠れする九尾、最後は城が焼け......みたいな感じに、どんどん頭の中でキーワードが繋がっていくんですよ。

-今度のライヴでも、ギターにHIROさん、youさん、ベースに燿さん、ドラムに淳士さんという豪華絢爛なメンバーがされるとうかがっております。それぞれのメンバーさんに対しての、浅葱さんから見た印象と、それぞれの方を選ばれた理由について教えてください。

みなさんのご活躍はかねてより存じあげておりましたが、実際にコミュニケーションを取ってみると、いっそうミュージシャンとして尊敬できる部分が大きくなりましたね。みなさん優しいです! みなさんが奏でる音にその人独自の魅力って溢れていますよね。それぞれが持つ魅力的で異なる色が今回の曲にぴったり合わさったので、このみなさんにお願いするに至りました。

-百戦錬磨のミュージシャンたちとソロ公演やレコーディングを行っていくことは、浅葱さんにどのような影響をもたらしますか?

自分がリスペクトする方々にお声掛けさせていただいているので、緊張はしますけど本当にいい勉強だと思います。なだらかな海でのんびりするのもいいですが、荒波で刺激を受けた魚は身が締まっておいしいって言うじゃないですか。ミュージシャンとして、経験は少ないより多い方が絶対に自分のためになると思いますね。音楽を20年ほどやっていても、まだ新しいことに気がつけたり、新しい景色が見られたりするということは幸せなことです。『斑』の豪華ゲストの方々は総勢40人以上で、ここでは全員書き切れないと思うので、ぜひホームページを見てください。