INTERVIEW
アシュラシンドローム
2018.04.03UPDATE
2018年04月号掲載
Member:青木 亞一人(Vo) NAGA(Gt) NAOKIX(Ba) 大津 一真(Dr)
Interviewer:沖 さやこ
2017年に『次回予告 俺たちが売れたのは、全部お前たちのせいだ。』をリリースして以降、同年6月には渋谷WWWワンマンをソールド・アウト、ベーシストのNAOKIXを正式メンバーに迎え入れ、フロントマン 青木亞一人の実父であるJP青木が作る青なんばんのしょうゆ漬けの"青ばん"もライヴ会場の物販のみで総売り上げ5,000個を超え、青木亞一人は打首獄門同好会の日本武道館ワンマンで宙吊りにされる......などなど話題に事欠かないアシュラシンドローム。彼らがとうとう"次回予告"が取れた『俺たちが売れたのは、全部お前たちのせいだ。』をリリースする。NAOKIXの加入はバンドのサウンドにもいい変化をもたらしたようだ。
-『次回予告 俺たちが売れたのは、全部お前たちのせいだ。』(2017年5月リリースの3rdミニ・アルバム)から今作『俺たちが売れたのは、全部お前たちのせいだ。』の約1年間でバンドにとって最も大きかった出来事というと、NAOKIXさん加入でしょうか。
NAGA:そうですね。やっと正式メンバーが揃いました。ずっとベーシストを探していたんですけど――バックドロップシンデレラの渉君(豊島"ペリー来航"渉/Gt/Vo)がサイド・バンドの韓流セレブレイトのベーシストであるNAOKIXを"ベースにどう?"と言ってくれたんです。それが2~3年くらい前です。
NAOKIX:僕も渉さんから"こういうバンドがいてベースを探しているみたいよ"という話を聞いて、"あぁ、そうなんですか"と返して......そこから1年が過ぎ(笑)、韓流(韓流セレブレイト)のライヴに亞一人君が来てくれたんです。そこで"一度ライヴを観に来てもらえたら"と言ってもらって、観に行って――そこからまた半年くらい間が空いて(笑)、"1回スタジオに入りましょう"という話になって。
-話が出てからスタジオに入るまでに2年弱かかってますね(笑)。
NAGA:単純に歩みが遅いんです(笑)。そのころは僕らもいよいよサポート・ベーシストのタカPがバンドとお店の両立が難しい感じになってきて。うまく両立できなくなってきていたんですよね。
NAOKIX:最初スタジオに入ったあとにちょっと間が空いて、"ライヴで弾いてもらえませんか?"という話を貰って、初めてアシュラシンドロームでベースを弾いたのが去年の3月くらいですね。名古屋のライヴでした。
NAGA:そのライヴが終わったあとに"また近々で連絡しますわ"と言って2~3ヶ月空いて――久しぶりの連絡が"この日のライヴで弾いてもらえませんか? 場所は台湾なんですけど"と(笑)。
NAOKIX:いきなり4~5日スケジュールを取ってもらえないかという連絡がきて......まぁ、行っちゃいましょうか! と(笑)。台湾めちゃくちゃ楽しくて。1日であんなに写真を撮ったのは初めてでした(笑)。帰国した翌日にもアシュラシンドロームはライヴがあって、それも続けて弾いてくれと言われたので弾いて。その打ち上げに渉さんも参加してて、"アシュラシンドロームでやるの? どうするの?"と問い詰められて。
NAGA:台湾のパワーもあって俺らはそのときには仲良くなってたから、ここで決めちゃおう! ということでNAOKIXの加入が決まりました。NAOKIXはうまいんですわ、ベースが。
カズマ:おまけに6弦ベースを使っているので、出てくるフレーズが"あなた本当にベーシスト?"と思うようなメロディアスなフレーズが多いんですよね。だから一緒にやっていて面白いです。
青木:バンドが4人揃うってこんなに難しいことだったかなー......と思うくらい時間がかかりました。ようやく4人揃って、気兼ねなくいろんなところにライヴしに行けますね。
-前回お話をうかがったとき(※2017年5月号掲載)に"『俺たちが売れたのは、全部お前たちのせいだ。』は2017年中にリリースする"とおっしゃっていましたが、NAOKIXさんの加入で2018年4月になったということでしょうか。
NAGA:そうなんですよ。これは今回のアルバムと同じ日にリリースする漫画が関係してくるんですけど。
-ヴィレッジヴァンガードの一部店舗で、アルバムと同じ名前の同人誌を同日リリースなさるんですよね。
NAGA:実はこの漫画、2017年中に出す予定だった(ミニ・アルバム)『俺たちが売れたのは、全部お前たちのせいだ。』の特典としてつける予定だったんですよね。だからNAOKIXが加入する前、去年の初夏から漫画家さんに発注してたんです。でも漫画の内容にはアシュラシンドロームのメンバーが関わっているので、NAOKIXが加入したことによって漫画の内容を全部変えないといけなくなって。それでこれは後ろ倒しにしないと無理だね、ということで、アルバムを出す予定だった時期にシングル(2017年11月リリースのTOWER RECORDS限定/1000枚限定シングル『男が女を唄うとき』)をリリースしたんです。それで2018年4月にアルバムをリリースすることにして。でも、漫画は描き直してもらってしまったし、後ろ倒しになってしまったぶんコストがかさんで、特典としてつけられなくなっちゃったので、発売という方法を取らざるを得なくなってしまったんです。
-同人誌といい、"青ばん"といい、JP青木さん(※青木の父)といい、打首獄門同好会の日本武道館ワンマンで宙吊りにされる亞一人さんといい、規格外の活動が続くバンドだなと思います。
NAGA:かっこいいバンドをやりたい! と思ってるんですけどねー......。これが悩みなんですよねぇ。全然ボケたくないんですよ。全然笑いが欲しいわけじゃないんですよ!
青木:本当に本当に。俺もなんも笑いを取るつもりないですもん!
カズマ:全員至って真剣ですよ!
NAGA:そうそう。どうしよう。真剣にミュージックがやりてぇ! なのにねぇ、なんかねぇ、"青ばん"とかねぇ......。
青木:真面目にやろうとすることを世間が許さねぇんだよなぁ~。
NAGA:これは巨大な陰謀が働いているとしか思えないですね! 毎回毎回こんなことをやろうとは思ってもみない方向に進んでいっている。
NAOKIX:もうねぇ、これはね......。
NAOKIX&NAGA:しょうがないんだよねぇ(笑)。
NAGA:"青ばん"がこれだけ売れたのもお客さんのおかげ。だからアルバムのタイトルもこういうことになってるんです。"次回予告"(※前作ミニ・アルバム)のころはまだ"青ばん"の売り上げは5,000個突破してなかったけど、去年の秋にめでたく5,000個を超えまして......。"青ばん"は思いのほか早く売れて、バンドはやんわり......って感じで、亞一人君はひとりで武道館に吊るされて、なんかもう全部が散らかってて(笑)。でも、これもアシュラシンドロームだなと思っていますね。
-シングルの表題曲にもなった「男が女を唄うとき」はどういう流れでできあがったのでしょう? こちらは亞一人さんのお父様であるJP青木さんが作詞を担当しています。
青木:親父が俺に送りつけてきた何十作品もあるなかから、メロディを乗せやすい、わかりやすくてまとめやすいものを選んだという感じです。今まで採用した歌詞も、曲にしやすいものを選んでいるんですよ。「男が女を唄うとき」も詞の内容を見て"メロディはこんな感じかな"とつけていきました。詞の内容も俺が書けるようなものではなく、ジジイの昭和歌謡ムードがムンムンで、曲にするのもMVにするのも色がつけやすいだろうなとは思っていて。
NAGA:この曲はみんなのアイディアがうまいことハマったんですよね。ギター・リフに僕の大好きな某映画のテーマ・ソングのオマージュを入れたんですけど、あれもうまくいって。それでMVもパロディにして、趣旨に賛同してくれる方々に出演してもらいました。いい曲だなと思いますね。
カズマ:あの映画みたいなフレーズは、レコーディング直前まで入れる予定じゃなくて、レコーディングの日にNAGAさんが"これ合うんちゃう?"って入れたんですよ。レコーディングで全体の構図ができあがったところはありますね。