INTERVIEW
STONE SOUR
2017.06.22UPDATE
2017年07月号掲載
Member:Corey Taylor(Vo)
Interviewer:KAORU
-私たちのメディアはヘヴィなバンドを多く取り上げていて、フェティッシュな嗜好性も強いのですが、そういう音楽をとても愛しています。ただ、近年のヘヴィなバンドのレコーディングは、Pro Toolsが前提としてあり、エディットして修正して加工して、時にはドラムを打ち込んでという工程が均一化されているような。テクノロジーが進化したことで、ハイファイでヘヴィな音像を出すことはできていても、バンドとしてのパッションが失われていくんじゃないかな? と感じることもあったんです。
そのとおりだな。いろんなバンドが特定の音のイメージ(音像)にとらわれてしまってるっていうのは感じる。テクノロジーとプロデューサーによって音の傾向が決まっちゃうっていうこともあるし、バンドによってはそういうフラストレーションも感じると思う。Pro Toolsも音の操り方次第なんだけど、どうしても音の質感が決まっちゃうところはあるし、作品のオリジナリティのなさってものに当然繋がる。もちろん、バンド自体に才能がなかったって理由もあるだろう。でも、最初はそれでいいと思うんだ。若いころは暗中模索するしね。ただ、そこからさらにいいところに進もう、目指そうと思ったら、自分らしさを追及することを始めなきゃいけない。その過程では、間違いを犯すっていうことも当然必要だと思う。それに、オーディエンスの前で演奏して反応を見ることが大事だからね。最初から完璧である必要はないんだ。そもそもこういう音楽は自分らしさの本質を追求するっていうことが根底にあるはずだから、どんどん間違いながらやっていくべきだと思う。
-だからこそ、いまSTONE SOURがライヴ・レコーディングをしたというのは、とても大きな意義がありますね。より迫力があって、生々しい。でもクオリティはまったく損なっていなくて、現代的な音像を求める人も満足する作品だと思います。
そうだね。クリックを使わない、Pro Toolsを使わない、オートチューンを使わない、ピッチシフターも使わない。生の楽器とアンプを使って、自分たちが出した音が空気を伝ってマイクロフォンから抜けていくっていうやり方を貫いたから、すごくいい音になったと思う。その工程がビューティフルだったと思うしね。実は1ヶ月で19曲できちゃって、スムーズに進んだから気持ちよかった。その快感が音に表われてると思うんだけど、順調に進んでいくからこっちの気持ちもノっていくし。そういうワクワク感もありつつ、もうひとつ見せたかったのは、これができるのはSTONE SOURだからだってこと。才能と能力があるからできるんだってことを自己証明。これだけのことができるんだっていうことが伝わってくれたら嬉しいな。
-えぇ、とてもエキサイティングですよ。曲の良さはもちろん、あなたたちのプレイヤーとしてのスキルの高さに改めて感銘を受けましたし。
ありがと! Sorry(笑)!
-音像のクオリティの高い作品を作ることは昔より簡単になったのかもしれませんが、それをライヴで再現できないバンドもいるのは事実です。でも、あなたたちはそれができることをみんな知っていますから。
もちろんさ。実際にスタジオでやるからこそライヴで再現できるんだしね。
-STONE SOURは9月に来日公演を行うことが決定していますね。とても楽しみにしています。そして、このツアーにはMAN WITH A MISSIONが参加することが決定していますが、マスクを被ってることもありますし、彼らにはシンパシーを感じるところがあると思います。とても楽しみなのですが、同時に、それぞれのファンの間のSNS上では少しいびつな反応も見かけます。日本のロックしか聴かないという人と、STONE SOURのファンのように洋楽を聴く人たちが、少しだけ対立しているような。
それってある意味では、日本の音楽しか聴かないということって、ナショナル・プライドなんだと思う。自分の国に誇りが持てるっていうのは素晴らしいことだと思うよ。実際にジャンルやテリトリーごとのこだわりを言う人って必ずいるけど、もしかしたら、いろんな音楽を聴き続けることによって、オープン・アップしていける人もいると思う。だから、ローカル・シーンというよりは、国のシーンとして考えたときに、それを応援していくっていう姿勢は何も悪いことじゃないし、逆に、海外のものにどんどん飛びついちゃって自分の国の持ってる良さをないがしろにする動きもある。そういうことよりはいいんじゃないかな。
-なるほど。STONE SOURが日本のたくさんのリスナーを驚かせてくれることを楽しみにしてます。あなたたちのライヴは素晴らしいですから。
ありがとう! 楽しみにしててね。