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INTERVIEW

MUCC

2017.01.23UPDATE

2017年01月号掲載

MUCC

メンバー:逹瑯(Vo) ミヤ(Gt)

インタビュアー:杉江 由紀

-素朴な疑問ですが、この歌詞を書いたミヤさん自身は実際に絶体絶命の危機に陥った経験はありますか?

ミヤ:ありますよ。それもこの歌詞を書く直前に。というか、そのことがあったからこそこの『脈拍』というアルバムができたと言っても過言ではないです。

-えぇぇっ!?

ミヤ:ある日突然、スタジオで作業をしていたら目の前が真っ暗になって、右目だけ1分くらい何も見えなくなったんです。それで、急遽入院していろいろ検査したんですけど、さすがに結果が出るまではいろいろ考えちゃいましたね。ところが、結果的には酒も飲んでるのに肝臓とかも含めてスーパー健康でした(笑)。単に、過労と睡眠不足で起きた不整脈が原因だったらしいです。

-それはなによりでした。でも、スーパー健康との太鼓判を押されたからといって、公私共に今後はあまり無理をなさらないでください。

ミヤ:いや、太鼓判をもらったことでムチャしたくなりました(笑)。悪いのは視力だけで、酒をまったく飲まない人並みに肝臓もきれいらしいんで。ただまぁ、一瞬でも死ぬかもしれないっていう事実と直面したっていうのは貴重な体験だったかなと。あと、とにかく検査入院が退屈すぎました。やることがなさすぎて、頭おかしくなりそうだった(苦笑)。

-そのような過酷な試練も経て完成したアルバム『脈拍』ですが、10曲目には"コミューン"と題された楽曲も収録されています。こちらはもしや、ミヤさんがオーガナイズしているイベント"COMMUNE"との関連性を持ったものですか?

ミヤ:あぁ、そこはほぼ関係ないですね。この曲に対するイメージを言葉にしたときに、ただなんとなく"コミューン"という言葉に行き着いただけなんですよ。表にはなかなか出てこないけど、裏で何かが成立しているような感じというのかな。そういう隠し事って面白いし、楽しいよねっていうような感じというか。まぁ、"COMMUNE"の方にもそういう意味は多少あるんですけど、それよりもこの曲に最も合った言葉というところで"コミューン"になったって言った方が正しいので。世の中で悪とされているものが必ずしも悪とは限らないよね、とか悪があるからこそ善が引き立つんじゃないのとか、そんな意味もここには含まれていたりするんです。音的な面では、この曲はサイケデリックがテーマでした。言うなればTHE BEATLESですよ(笑)。

逹瑯:普段から歌い慣れている音階とかではないけれど、この曲はシンプルと言えばシンプルですからね。歌う側としても意外とやりやすかったし、聴く側としてもこの曲はわりとわかりやすいんじゃないかな。

-わかりやすさという点では、「BILLY×2 ~Entwines ROCK STARS~」(Track.5)も実にオツだなと感じました。音的にも歌詞の面でも、遊び心が大炸裂していますよね。

ミヤ:これはSATOち(Dr)の持ってきた原曲を、作り込まずにそのままレコーディング現場に持っていってみんなでやっちまおう! ということで、スタジオで"せーの!"でやった曲でした。その場の臨場感がよく出ましたね。あんまり洗練されてない、4人だけで出した音だし、演奏的にはこの曲に対する初期衝動しか詰まってないです。

-聞き覚えのあるバンド名がいくつも出てくる「BILLY×2 ~Entwines ROCK STARS~」の歌詞からは、MUCCの音楽やロックに対する愛情も色濃く感じます。邦楽アーティストの名前を、ここまでてらいなく羅列した歌詞はとても珍しいのではないでしょうか。

逹瑯:今回は20周年のタイミングで出すアルバムなのか、と思ったときに少し考えたんですよ。この時代に漂っている何とも言えないモヤモヤ感と、それとは真逆の、バンドを始めるか、始めないか、みたいなころによく感じていたあのスッキリとした明確な感覚。それを両方ともひとつの歌詞の中に入れたかったし、そのバンド名のくだりとかも邦楽ばっかっていうのが俺っぽくていいなと思って。背伸びをしていない感じがね(笑)。

-潔くて素晴らしいですよ。そのほかにも、今作にはフォーキーなメロディをダブの手法で聴かせている「りんご」(Track.6)のような曲も入っていて、これも実に興味深かったです。

ミヤ:この曲は、ダブをやっているバンドのライヴを観に行ったときにすげぇカッコいいと思って、そこにフォークのメロを乗せてみたらどうなるだろう? っていうところから作っていきました。とはいえ、仮にダブっぽいことをやったとしても、そこはロック・バンドがやることなんで絶対に"ダブっぽい"っていう域は出ないし、どうしてもイビツな感じにはなるんですよ。だけど、逆に言えばそこがMUCCとして最大の強みでもあるんですよね。

-「りんご」の歌詞は何がテーマだったのですか?

ミヤ:子供なのか大人なのかわかんない、中途半端な時期の女の子がモチーフになってます。思春期が終わったのか、終わらないかくらいの女の子。

逹瑯:そうだったんだ。俺はね、勝手に"音楽業界はお先真っ暗だ"っていう意味の歌詞なのかと思ってた。"りんご"って、某巨大企業のことを言ってるのかと思ってたから(笑)。

-"世界を支配した"という表現もありますものね。

ミヤ:でも、遠くはないな。俺の中だと、この女の子が見ているのは音楽の世界なんですよ。決して繋がらなくはないですね。あの某企業のマークとか、聖書に出てくる知恵の実とか、そのへんの意味もうっすらと掛けてはいるので。

-どこか不穏で危うい雰囲気が漂うのは、そのせいだったのですね。

ミヤ:危ういものほど、人って魅力的だと感じやすい生き物じゃないですか。そういう意味では、女の子に固執する小児性愛者とかのことも頭の片隅には浮かんでいたかもしれない(笑)。