INTERVIEW
バックドロップシンデレラ
2016.05.10UPDATE
2016年05月号掲載
Member:豊島“ペリー来航”渉(Gt/Vo) アサヒキャナコ(Ba/Cho)
Interviewer:沖 さやこ
-そうだったんですね。それもカバー・アルバムだからこそできることかもしれないです。ロマ民謡は日本人の感覚と違うと言えども、メロディは日本の歌謡曲と通ずる部分があって。もしかしたら似た感性を持っている民族同士なのかも......なんて思いました。
豊島:そうなんですよね。日本の歌謡曲とロマ民謡のメロディはかなり通じてると思います。そこがいい。
-Track.2「ジンギスカン」は今までバックドロップシンデレラが作ってきた池袋ネタ楽曲の総集編のような歌詞ですが、"埼玉化が収まりだす ブクロ"という新しいネタも入っていて、現在の池袋事情を知ることもできました(笑)。
豊島:新しい観点も盛り込んでみました(笑)。――昔の曲は全体的に構成がいい加減で。「サウスポー」もそうなんですけど、1番と2番を順番にまるっとやって終了、という曲が多いんですよ。「ジンギスカン」もそんな構成なので歌詞に悩み、"この構成の曲に歌詞をつける場合、1番の歌詞を2番に引っ張ってはいけないな。2番で新しいことを完結させるように書いた方が面白い"と。それで"池袋には埼玉県民しかいない"みたいな歌詞を書いてたんですけど、ふと"本当にそうなのかな?"と思ってネットで調べたら、最近埼玉県民は池袋に来てないらしくて(笑)。"え、そうなんだ!!"と思って歌詞を180度変えました(笑)。
-私にとって「ジンギスカン」は小学生のころよく踊った曲なんですけど、もともとは1970年代後半にディスコなどのダンス・シーンで人気を博した曲らしいんですよね。幅広い世代が知っているし、踊れる曲なのではないかと。
豊島:「マイム マイム」も「ジンギスカン」も学校で馴染みのある曲ですよね。僕も激ロックさんのイベントでDJをやらせていただくときに「マイム マイム」や「ジンギスカン」を流すんですけど、結構みんな反応があって"あ、やっぱりみんな知ってるんだな"と。昔の曲だから"もうちょっとBPM速ければいいのにな"、"もうちょっとガシッとしたアレンジだと聴こえ方がいいのにな"と思っていたので、今回はそれをやっています。
-どんどんテンポが速くなっていく曲が多いのもそういう理由なんですね。
豊島:そういうのがバックドロップシンデレラっぽいのかなと。「マイム マイム」も有名な曲だからいろんなバージョンがあるんですけど、僕らの「マイム マイム」はDJで流したら楽しいだろうな......と思うアレンジにしたので、激ロックDJさんにも流していただかないと(笑)。
-そうですね(笑)。そしてTrack.10「にっぽん昔ばなし」は原曲と比較するとかなり斬新なアレンジですが、どういう発想でこうなったのでしょう? まずイントロに驚きました。
豊島:LUNA SEAみたいなイントロですよね(笑)。サルサっぽいクラブ・ミュージックの雰囲気のものにしてみたらカッコいいんじゃないかと思って、ちょっとオシャレになるようにやってみました。アウトロのフェードアウトも、スパニッシュなギターの部分は、長年ギターを弾き続けてるおじさんをイメージしてやりました(笑)。
-「だんご3兄弟」(Track.1)はタンゴ、「サウスポー」はフラメンコ・アレンジ、「シュラバ★ラ★バンバ」はファンク、「マイム マイム」はフォーク・ダンスの代名詞とも言える曲ですし、「ジンギスカン」なんて1970年代における現代のEDMのような存在の曲だったわけで。今回の『いろんな曲でウンザウンザを踊ってみた』は最近の主流以外のダンス・ミュージックを幅広くカバーしたアルバムだと思いました。
豊島:主流のダンス・ミュージックは他の人たちに任せます(笑)。
-(笑)ヴァイオリンとアコギで踊ろうと思った、そして踊れる曲を作ってきた先人たちは最高にカッコいいなと気づかされました。それにもっといろんなダンス・ミュージックに触れたいなと思いましたし、ワールド・ミュージックへの興味も湧いてきました。
豊島:ああ、ありがとうございます。世の中にはいろんなダンス・ミュージックがあることをたくさんの人たちに知ってもらいたいですし、ワールド・ミュージックへの興味が湧いてきたと言ってもらえると、作った甲斐があったなと思います。
-バックドロップシンデレラはこの先15年、20年と続いていくのでしょうか。
豊島:いや~......そのときになってみないとわからないですね(笑)。今は10周年のためのいろんなことを考えているところです。自主レーベルを立ち上げてちょっと音源を作りすぎたところもあるので(笑)、お客さんがついていけてない部分もあるのかな......と思うんですよね。ずっと走ってきたので、今回のカバー・アルバムで入り口を作って、僕らは少し足踏みをしながらみんなが追いついてくるのを待とうかなと(笑)。しんどくなったらやっていても意味がないと思うので、このバンドが面白いと思う限りは続けていくんだろうなと思います。