INTERVIEW
THE STARBEMS
2015.09.10UPDATE
2015年09月号掲載
Member:日高 央(Vo)
Interviewer:荒金 良介
-へえ、興味深いですね。
俺もそこは共通点がわからなかったから、理由を聞いたら、"ダカさんがこんなに伸び伸びしてるのを久々に観ましたよ"って。なるほどなと。音像ではなく、バンドへのモチベーションがインディーズ期のBEAT CRUSADERSみたいだと。いたずらっこがキャッキャッしてるように見えたんでしょうね。
-言われてみたら、そうかもしれない。
悪く言うと、リスナーのことを全然気にしてない。その不親切さはインディーズ期のBEAT CRUSADERSが1番ありましたよねって。たしかにそうだなと。決して無視してるわけじゃないけど、そもそもパンク・ロックのやんちゃな部分を抽出したのがインディーズ期のBEAT CRUSADERSだったから。お面を被ったり、かっこつけているんだか、面白いんだかわからない感じとか、あと何より下ネタコールとかね。
-最近、10-FEETがライヴで使ってました(笑)。
言ってるみたいね? 印税払ってもらわないと(笑)。そういう尖ってることを暴力的にやるんじゃなく、ユーモアにくるんでチクチクやる方法論はBEAT CRUSADERSに近いんじゃないかと。メジャー期のBEAT CRUSADERSはでかくなっちゃったから、お客さんのニーズに合わせることを過剰に意識して、疲弊しちゃったところがあったけど、THE STARBEMSで疲弊しないのは、そういうところなのかなと。良くも悪くもお客さんのニーズどうこうでやってないから。そこを潤が客観的に見てくれていたのは嬉しかったですね。
-なるほど。そして、今回無料配信の2曲はどういう基準で選んだんですか?
ただでさえテレビ、ネットを見ても嫌な話しかないじゃないですか。音楽界にもいいニュースが少ないし、シンプルにいいニュースを持って来れる音みたいなイメージでした。それにこの2曲が1番近かった。ネットで流れても嫌な感じがしない曲というか。
-とはいえ、Track.1「FIGHTING FATE」はTHE STARBEMS流のハードコア・サウンドという仕上がりですが。
うん、今回エンジニアにGacharic Spinで一緒だった秋葉(知伸)君にお願いしたんですよ。録り音も変わったから、自分たちでも斬新な感じがしますね。こういう音だから、軽やかに聴こえちゃダメだけど、軽やかさは欲しいなと。キックは軽いけど、ベースは重いとか、そのバランスは考えました。ヘヴィさと軽やかさを同時にやりたくて。真ん中から下のバランス感は意識しました。面白かったのは、Track.2(「JINGLE JANGLE SONG」)は珍しくクリスマス・ソングにしてみたんですけど。
-「JINGLE JANGLE SONG」ですね。季節的には少し早い気もしますけど。
レコ発が終わったころにはちょうどいいかなと(笑)。その曲を聴いた越川が鍵盤を入れたらいいんじゃないかとアイディアを出したり、シャンシャン音が鳴る楽器も入れてみました。BEAT CRUSADERSをやっていたころは当たり前のようにやっていたけど、THE STARBEMSはパンク・バンドだからと思って、自分も視野が狭くなって、なるべく余計なことをしなかったけど。潤が入ってきて、客観的なことも言い合えるようになったから。クリスマス・ソングならそういうものも入れていいんじゃないって。パンクスだからそれはやめよう、と言うのは逆にパンクスじゃないなと。
-こんなに男臭いクリスマス・ソングも初めて聴きました(笑)。
ははは、たしかに。俺のイメージはBLINK-182、SUM 41あたりのポップ・パンク勢がクリスマスに出すシングルのB面みたいな。ツアーが10月から年末にかけてなので、ハロウィン始まりのクリスマス終わりみたいなイメージもあったから、出音のポジティヴさと一緒にリスナーに楽しさも届けばいいなと。
-THE STARBEMSのライヴは以前からハードコアの激しい音像ではありながら、観ている人が笑顔になれる、ハッピーになれる空気感もあるじゃないですか。今作の音源はそのライヴの雰囲気にもっとも近い感がしました。
最近みんなMCが長いでしょ(笑)? 俺は音だけでポンポンと行きたい気持ちがあって、それはBEAT CRUSADERSのころから変わらない。
-音だけでポンポンというのは?
音の印象だけで明るい、暗い、怒ってるとかが伝わる方がいいじゃないですか。MCはおまけでしかないから、そこだけ大きく捉えられてもバンドの本意じゃないし。ウチはどんどん削ぎ落としたいんですよ。曲だけで喜びや怒りが伝わるのがいいから。ライヴのハッピー感もこの2曲で言えたらいいなと思いました。まあ、安心してください、3曲目はいつも通り暴力的ですから。
-「ANTI-ROCK'N'ROLL」ですね。この曲はまだ聴いてないんですが、紙資料には"激烈ヘヴィソング"と書いてます。
この曲だけはDIYにしようということで、越川が絶賛ミックス中です。(日高が携帯から曲を流す)