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INTERVIEW

KAMIJO

2015.07.13UPDATE

2015年07月号掲載

KAMIJO

Member:KAMIJO (Vo) Meku (Gt)

Interviewer:荒金 良介

-Mekuさんが理想としていた音色というのは?

Meku:オーセンティックな往年のメタルも好きだけど、近代的なメタルが個人的に好きで。モダンな音が自分のやりたいことですね。それをKAMIJOさんの曲にいかにぶち込めるかなと。機材面を含め、自分はメタル担当だと思ってるので(笑)。曲もポップなものから攻撃的なものまで本当に幅広いので、その中でアグレッシヴ且つモダンな音を注入したい。デモの段階でもギタリストじゃないと作れないリフやフレーズが送られて来るんですよ。KAMIJOさんが作ったデモだけでもメタラーが作ったんじゃないかと思うフレーズが多くて。

KAMIJO:まあ、僕はギターを弾けますけど、基本的にデモは打ち込みで作ってますからね。それを実際に弾くのは大変ですよね(笑)。

-Mekuさんが好きな近代的なメタルというと、どのへんになるんですか?

Meku:メタルコアからDjent系全般ですね。PERIPHERY、VEIL OF MAYA、ERRAとか、Rise RecordsからSumerian Recordsにいるバンドが個人的に好きです。

KAMIJO:俺はそのへんは全然わからなくて。映画の予告編のようなエピック・ミュージックが大好きで。自分の曲は全パート作りますけど、歌とオーケストレーションを自分は出すべきだと思って。なぜ僕がバンド・サウンドをやっているかと言うと、メタルって音が整理されてるんですよ。すごく扱いやすい。バンドで言えば、KAMELOT、WITHIN TEMPTATION、NIGHTWISHとか好きだけど、そのへんの人たちもきっとエピック・ミュージックが好きなんですよ。僕はメタルから直に影響を受けているというより、シンフォニック・メタルと言われるアーティストがメタルとエピック・ミュージックを融合させてますけど、僕はそっち側(エピック・ミュージック)なんですよね。その僕がMeku君と一緒にやることで、新しい形の音楽が作れるんじゃないかと。やっぱりMeku君が持つ規則正しくもあり、叙情的なギターがすごく好きで。最初は自分がフレーズを作って渡していたけど、こういうギターを弾くんだろうな、という想像を越えたものが返ってくるから。特に「Imperial Concerto」のギター・ソロはこう来るだろうな?と思っていたものとは違うものが来ましたからね。"ああ、こういうギターもありだな"って。

Meku:メロディやフレーズを作るときは、頭で考えているもの通りのフレーズが出てくるとは限らなくて。適当に弾いたものが良かったとか、それを含めて自分でも予想できないフレーズが出てくるんですよ。

KAMIJO:それは作詞でもあるね。違う感じの歌詞を歌おうと思っていたけど、歌詞を書いてみたらなぜかドSになっちゃったTrack.9「HEEL」とか。

-(笑)

KAMIJO:僕、基本的にコンセプト・アルバムしか作ってこなかったから。それでも衝動的に出てきたものは大切にしてますね。

-コンセプト作は作品のトータル性や曲の繋がりや流れが重要になりますよね。今回のように集大成的な作品は、コンセプト作を壊してしまう側面もあると思いますが、どうですか?

KAMIJO:どこを切っても自分ではあるけど、今までのコンセプト作品だとどこか一点だけをフィーチャーしても違う。そういう意味でこの11曲はどこを切っても僕と言える作品に仕上がったと思います。それが金太郎飴的というか(笑)。そういう意味でも、今作はどの曲もシングルで出せるようなベスト盤になりましたね。

-いろんな時代を切り取っているけど、どの曲にもKAMIJOさんらしさが出ているものを選んだと。

KAMIJO:そうですね。あと、今の自分がやったら、かっこよくなる曲をやろうと。アルバム名は直訳すると、"王の血"という意味で、メロディは音楽にとって血のようなものだと思ってるんですよ。その人に流れてる特有のメロディってあるじゃないですか。それが僕にとって血だと思うんです。それがもっと広がればいいなあと思い、このアルバム名にしました。ほんとに自分らしいメロディがあれば、バンド・サウンドがないTrack.4「Aristocrat's Symphony」みたいなアレンジもありだし、「蝶の花」のようなポップなアレンジもありだし、メロディック・スピード・メタルの「Imperial Concerto」もありだし、どんな形にでも変化できる。それを今作で証明できたと思います。あと、単純に今の自分の声で歌いたい曲を選びました。

-20周年を振り返りつつ、今の気持ちもすごく投影されてるんですね。

KAMIJO:20年を振り返るだけではなく、ずっと歌い続けてきた曲たちだし、いいメロディをもっと多くの人に知ってもらいたくて。多分、今まではファンのために作っていたんですよ。KAMIJOという人を期待してくれる人を意識していたけど、今回は歌ってるときに自分の知らない人を想像してるんですよ。そういう気持ちは絶対届くと思うから。ファンはもちろん、さらにその向こう側を見ているんですよね。今回は届くイメージで作れたんですよ。それが今まで自分の中ではできなかったことですからね。おぼろげながら、もっと多くの人に聴いて欲しいという願いはあったけれど。今回はそこに向けてしっかりと音楽を発信できたと思います。

-それはこのタイミングでいろんな環境が整ったからですか?

KAMIJO:自分の気持ちが1番大きいんでしょうね。ファンのみんなのためにももっと多くの方に僕の曲を知ってもらわないとならない。そこに目を向けることができたのは、ファンのみんなとの信頼関係を築くことができたからでしょうね。じゃなければ、ファン以外の方に向けて歌ったら怒られちゃいますよ(笑)。あと彼(Meku)にこのサウンドを任せたら、めちゃくちゃかっこよくなるだろうと思ったし。僕はMeku君に対して、失礼な言い方になるかもしれないけど、巨大バズーカみたいなものだと思ってるんですよ。

Meku:えっ?!(笑)。

KAMIJO:メタルという名のね。

Meku:はははは。今回は原曲だけ聴くと、曲の振れ幅が凄まじいけど、芯の部分にはKAMIJOさんがちゃんといるんですよね。僕はただギターに集中するのみで好きにやらせてもらいました。「God Palace」とか大変な曲もありますけど、Versaillesの曲はもとがメタルなので、わりと方向が同じなんですよね。それでもアプローチを変えた曲もあるし、原曲を聴かずに好き勝手にやったものもあります。

-そうなんですね。

Meku:レコーディングが終わったら、聴いてみようと(笑)。「Imperial Concerto」の原曲は、まさに今日聴いてたんですよ。

KAMIJO:はははは。全然違うでしょ?

Meku:今の方がかっこいいなと思っちゃいます。今回のアルバムはほんとにいいですね。

KAMIJO:ありがとう! Meku君には新曲のような気持ちでやって欲しかったですからね。