INTERVIEW
DRAGONFORCE
2015.07.18UPDATE
2015年07月号掲載
Member:Herman Li (Gt)
Interviewer:米沢 彰
-実際のライヴはいかがでしたか?
いつも同じステージだよ。大きなステージで、そんなに何回もプレイしてきたわけじゃないけど、何となく馴染みがあるんだ。このときはカメラの位置を記した図面とか全部用意していた。クリエイティブマンが送ってくれた資料に全部目を通して、設備を把握したんだ(笑)。その時点で俺が編集を担当するってわかっていたからね。クレイジーだろう(笑)?その資料をもとにカメラをプラスしたんだ。ギターにもつけたし、キーボード・スタンド、キック・ドラムにも小型カメラを付けて、できるだけ多くのアングルから撮れるようにした。その準備に数日かけて、それからプロダクション・ミーティングに臨んだから、やっぱり前乗りが必要だったんだよね。
-改めて映像で観ても、演奏はもちろん、オーディエンスまで含めてものすごい一体感のあるライヴですよね。ライヴの一体感を出すうえでいつも気にしていることや意識していることはありますか?
DRAGONFORCEの場合結成当初からずっと変わっていないのは、俺たちとファンのインタラクションやコミュニケーションなんだ。俺たちのやり方は、ファンと"ともに"空間を作るというやり方で、"俺たちはロックスターだ、お前らは俺たちより下の存在だ"というものじゃない。それじゃうまくいかないからね。ファンたちとはよくアイコンタクトを交わすよ。DRAGONFORCEはロックスターみたいな振る舞いをしないってことで知られているんじゃないかな。楽しみたいだけだからね。ファンたちと笑い合えればいい。ホテルやショーの会場で俺たちと会ったファンなら、俺たちが愉快なやつらだって知っている。お高く止まっているやつらじゃないってね。そのへんにいるやつらと一緒だよ。
-このわずか4ヶ月前にドラマーが交代したとは思えない演奏の一体感ですよね。この短期間でこれだけ合わせられるのは何故でしょうか?また、実際に一緒に活動をしてみてGee Anzaloneの評価はどのようなものになりましたか?
まぁ、数ヶ月も一緒にツアーしていれば息も合うよ。それにリハーサル期間中、Geeは1ヶ月近く俺の家に居候していたからね。というか、全員居候していたようなものだけど(笑)。だから一緒に生活していく中でお互いを理解することができたんだ。Geeは毎晩ディナーも作ってくれてね。イタメシだよ(笑)!そんな感じでお互いのことをよく知ることができて、ユーモアまでわかり合えるようになった。俺たちはそれぞれ全然違う文化や場所の出身だけど、(世界の人々がわかり合うという)今の時代に理想的な状態を作っているんじゃないかな。国籍や文化の違いを受け容れられるようになっているからね。
-たしかに、ロンドンを拠点としつつも、メンバーの出身地は多種多様ですね。それが、懐の深い音楽性にも現れているのかも知れません。ところで共同生活をするときって、メンバーそれぞれが郷土料理を振る舞ったりするんでしょうか? 例えばあなたが中華料理を作るとか、フレデリックがフランス料理を作るとか。
(笑)実は一時期は、メンバーが交代で料理を作ることにしていたんだ。でも途中で俺が"それってフェアじゃないんじゃないか?"って言ったんだよ。というのも、Frédéric(Leclercq/Ba)はフランス料理がとても上手だし、Geeのイタリア料理も美味い。俺もアジア料理の腕は悪くない(笑)。でも(イギリス人の)Samの番になったら...ポテトとソーセージだけなんだぜ(爆笑)!
-(爆笑)
別にイギリス人に失礼なことを言うつもりはないけどさ、イギリス料理って、他のメンバーの作る料理ほど洗練されてないっていうか......。少なくとも面白味はないだろう(笑)?だからある日"これじゃフェアじゃない"って俺が言ったんだ。(笑)
-たしかにSamには不利かも知れませんね。フィッシュ&チップスとか。
そうなんだよ。いつも"ソーセージの水っぽいグレイビー・ソースがけ"とか"マッシュポテトのグリンピース添え"とか、そんなのばかりでさ。他のメンバーは豪勢なパスタとか作ってるのに(笑)。まぁいいか(笑)。
-すみません、脱線してしまいました。訊かずにいられなくて(笑)。
(笑)
-音楽の話に戻ります。このジャンルは"なんちゃって"でライヴでは誤魔化してしまうアーティストも実際いますが、DRAGONFORCEはいかに完璧に演奏するかを追求しているような印象が強いです。実際ご自身でもそういった思いや考えはありますか?
(笑)まぁ、俺たちも長年の間に大いに成長したからね。2006年辺りよりもずっと巧くなったと思うよ。成長して、一緒にプレイする機会を重ねたことによって、完璧な演奏を追求できる状態になったんじゃないかな。昔は羽目を外しすぎたと言われても仕方がないな。ビールの飲みすぎだったかも知れない(笑)。今はDRAGONFORCEも大人になったから、ライヴに対してももっと真剣に、こだわりを持って取り組んでいるんだ。このDVDがそれを反映していると思う。俺は"俺たちのライヴはキャリア全体を通じていつだってパーフェクトだった"なんて嘘をつくつもりはない。酷いショーもあったし(笑)。ひとつ確信が持てるのは、俺たちが成長したってことだね。
-ファンたちはその成長や進化にちゃんとついていっていると思いますよ。その一方でツイン・ギターでの共同プレイやギターを自在に使ってピッキング以外の音を出すタイプのプレイなど、ライヴならではのパフォーマンスやプレイも大事にしているように感じますが、実際ご自身ではどういったことを考えてパフォーマンスを組み立てていますか?
バンドの今までの経緯を説明したらわかりやすいかな?Marc(Hudson/Vo)が加入する前は、リハーサルに2日くらいしかかけなかった。2009年以前の話だね。Marcが加入してからは、リハーサルに少なくとも1ヶ月はかけている。それくらい変わったんだ。人間的に可能な限界までCDの内容を再現できるようにしているよ。ギターは2人しかいないけど、アルバムでは3〜4本と入れることができるから、そういう意味でね。今でも楽しみは追求している。テクニカルなことをやってはいるけれど、ステージの上でひたすらギターを見つめて弾いているだけで動かない、というのは嫌なんだ。DRAGONFORCEはいつも走り回ったり飛び跳ねたりしながらプレイしているのでも知られてきたしね。トランポリンも使ったし(笑)。さすがに今はもうトランポリンはやらないけど(笑)、そのときみたいな楽しい要素は今も追求しているんだ。プレイもサウンドも最高のものを追求しつつね。DVDには収録していないけど、今度9月に日本に行ったら、リハーサルのときからずっとやっている、演奏とビデオのシンクロを見せるつもりだよ。背後にプロジェクターを使ってね。すでに今回のツアーで何回かやっているから、日本でも再現したいんだ。全会場でやりたいね。バンドのメンバー全員がそのビデオ作りに関わっているんだ。ファンにとってよりよいライヴ体験ができるようにね。そんな感じで、あらゆる面でもっといい状態を目指している。