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INTERVIEW

彼女 in the display

2014.12.02UPDATE

2014年12月号掲載

彼女 in the display

Member:武藤 海 (Dr) 稲木 亮介 (Vo)

Interviewer:村岡 俊介(DJムラオカ)

-英語も入りつつも、基本的には日本語詞ですね。

稲木:そうですね。英語もあえてわかりやすいものを使っています。僕自身英語を話せないんで、やっぱり僕自身が使ってきた言葉で表現できるものをみんなに与えたかったんです。そういう想いがこのアルバムでしっかり形になったかなと思います。

-日本語で歌ってるバンドって最近増えてきてると思うんですよね。ただ歌詞カードを見ずに何を歌ってるかが分かるバンドって非常に少ないと思います。マキシマム ザ ホルモンのように独特の譜割りで日本語を英語のように聴かせるテクニックもすごいですが、KIDのスタイルは、歌詞カードを見ないでも1度聴いたらスッと頭に入ってくる分かりやすい言葉を使っていることを意識してるんだろうなとは思ってました。

稲木:そうです、そう言ってくれるとめっちゃ嬉しいです。僕自身、才能があったり、言葉の深い言い回しができるタイプではないので、そこを変に繕っちゃうと自分で自分を潰しちゃいそうだったから、自分が感じたもの、見たものをそのまま書くようにしてますね。自分でも分かるように作ってます(笑)。そこに関してこだわってるというより、自分の勘を頼りにしてる感じです。

-曲はセッションで作って歌詞は亮介君が、同じアニメを見てインスピレーションで作ると、以前の『GOLD EXPERIENCE』時のインタビューで答えてますが、それは今も変わっていないのでしょうか?

稲木:あんまり変わってないですね。漫画、映画は多いですね。

武藤:みんなでテーマにする作品を出しあって、"このアニメの曲作りたいよね"って言ってアイディアをLINEで飛ばし合うみたいな。それで各々で作品を観るってことをします。

稲木:テーマとなる映像が定まっているとみんなでしっかりシェアできるので分かりやすいですよね。

-あんまりそういう楽曲制作方法バンドって聞いたことないですよ(笑)。

武藤:枠があった方が簡単じゃないですか?

-珍しいスタイルだなと思います。歌詞も同様ですか?

稲木:いや、歌詞に関しては書きたいように書いてますね。完成したものをみんなに見せて、いろんなアイディアをもらいます。

-曲と歌詞の間にギャップが生まれることも多いのでは?

稲木:そうですね。そういうこともあります。でもそれがハマれば全然いいので。

-以前から聴いてて感じたのが、亮介君の歌詞ってリスナーに近い目線で感情移入しやすいものが多いんですよね。難解すぎず、政治的になることなく。

稲木:昔はそこがすごいウィーク・ポイントだと思ってたんですよ。僕は特別強く社会的な言葉を言える人間じゃないと思ってて。でも同じ立場に立てることが僕の強みかなとふとしたときに思って。飾りすぎたくもないし、そのままでいる僕でも、音楽やって誰かを動かせるっていう凄みがない部分をみんなにも感じて欲しくて。安心して聴いて欲しいなって。でも、今年に入ってからですね、安心とか余裕を見せられるようになったのって。だから難しい言葉も使わないし、"僕が分かるからみんなも分かるよね"っていうニュアンスのものを選んでます。

-とても等身大ですね。

稲木:そうですね。

-悩みつつも立ち向かっていく歌詞も多いですよね。

稲木:好きな作品もそういうものが多いんですよね。そこは自分の人間性かもしれないですし。

武藤:でも、今作はあえてそれを外したんです。今までだったら10曲あったら10曲ポジティヴだったんですよ。それを、2曲ポジティヴで8曲ネガティヴとか。ネガティヴとまではいかないですけど、ちょっとダークな部分、人間の弱い部分とか、そこも歌っていきたいなって思うようになったんです。

-資料にもJ-ROCKと書いてありますが、今作は従来のスクリーモやポスト・ハードコアのような音楽性の楽曲を収録せずに、よりオーソドックスなロックやポップに寄せてきたなと感じました。

武藤:そうですね。外したというよりは、今その音楽をやりたくないっていうのが正しいですね。2、3年経ったらまたスクリーモっぽいのをやっているかもしれない。でも、今は、今回のアルバムのような音楽をやりたい。

稲木:僕もそうですね。

-以前のKIDのひとつの要素であったスクリーモ的なサウンドは実際他のバンドでもできるんじゃないかって。そういうことも含め、自分たちのストロング・ポイントを把握しており、いい意味ですごく振り切ったなと思いました。

稲木:今作でようやくやりたいことが定まったとは思ってて。そのやりたいことが定まった僕らの挑戦作だと思っていただければ嬉しいですね。

-それではいくつか曲をピックして聞いていきますね。まずはTrack.1の「PLATINUM」ですが、ドラマティックでアッパー、且つ即効性もあって非常にいい曲ですね。これはリード・トラックとして当初から制作していたものなのでしょうか?

武藤:そうですね。1番最初に作りました。アルバムを作るときはリード・トラックは1番先に作らないと。これは久石嬢さんと同じ作り方です(笑)。

稲木:久石さんが13曲のオーケストラを作るときに、先にリード・トラックを作らずに12曲作っていった結果、結局全部ボツにしたっていう話があって。その後、リード・トラックから作ったらすんなりできたらしいんです。

武藤:主役を作ってあげないと、脇も固められないですからね。